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北村薫著『ターン』は小説界の『CROSS†CHANNEL』

書評

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 “ループもの”といえば、ノベルゲームの定番テーマ。RPGで全滅してもセーブした場所から再開できるというシステムが、同じ時間を繰り返すという“ループもの”の構造と親和性が高く、プレイヤーにとっても馴染みやすいものとなっているからです。

 有名なループもののゲームとしては、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(1996年)、『Ever17 -the out of infinity-』(2002年)、『ひぐらしのなく頃に』(2002年)、『CROSS†CHANNEL』(2003年)、『STEINS;GATE』(2009年)などが挙げられます。厳密にはループしていない作品もありますが、Wikipediaでループものの項目を見ると、もっとあるようですね。

 小説界にもループもの作品は多くあり、北村薫著『ターン』も、そのひとつ。ただ、同じ時間を繰り返すという意味では類似作品は多いですが、ループ世界に閉じ込められているのが限られた人数ということに特徴があります。多くの作品では、世界はそのままで、主人公だけがループの記憶を持っているという設定ですからね。

 そういう意味では、高校の放送部のメンバーがループ世界に閉じ込められる物語である『CROSS†CHANNEL』と似ているのですが、『ターン』は1997年発表と6年先輩。もしかすると『CROSS†CHANNEL』の脚本を書いた田中ロミオさんも参考にしていたのかなと思ったりもしました。

 誰にとっても、幸福だった時期はあるもの。それを繰り返し経験することは、つらい現実から目を背けられる甘美な体験にもなります。ループものの物語を楽しんでいるうちに、いつの間にか自分が年をとっている現実を見ると、時々、やりきれない気持ちにもなったりしますが。