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スズキオンライン

なにか役立つことを書きたいです

第三回電王戦第1局後に流れた第2局PV後半とその後の会見内容書き起こし

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注:この件について3月19日にニコニコ生放送で会見が行われ、その内容も書き起こしたので参考にしていただければ(→「ニコニコ生放送「第3回将棋電王戦 第2局の対局方法に関する説明」書き起こし」)

 いよいよ始まった第三回電王戦。菅井竜也五段と将棋ソフト「習甦(しゅうそ)」(開発者・竹内章氏)が対戦した第1局は、熱戦の末に習甦が勝利しました。どちらが勝っているか分からない状況が夕食休憩ごろまで続いていて、僕も目を離すことができませんでした。

 →「第3回将棋電王戦」第1局はソフト先勝、菅井五段「あまりいいところがなかった」(マイナビニュース)

 佐藤紳哉六段と将棋ソフト「やねうら王」(開発者・やねうらお(磯崎元洋)氏)が対戦する第2局以降でプロ棋士側の逆襲なるかというところですが、対局後に流された第2局PVに異変がありました。前半はコメディ風の流れだったのですが、後半ではやねうら王が、予選の電王戦トーナメントに出場した時のプログラムに修正を入れた形で対戦することになった経緯を説明していたのです。

 →第3回 将棋電王戦 第1局 菅井竜也五段 vs 習甦(PV後半とその後の記者会見は12:10:14ごろから)

 →電王戦PV | 第3回将棋 電王戦 HUMAN VS COMPUTER | niconico(現在、第2局のPVは非公開になっている)

 この件についてのドワンゴの発表はこちら。

 →電王戦第2局「やねうら王」の修正対応について(ニコニコインフォ)

 そして、この件について説明する開発者のやねうらおさんのブログやTwitterはこちら。ソフト修正の経緯について、関係者の間に認識の違いがあるようです。

 →やねうら王のPVの件(やねうらお-俺のやねうら王がこんなに弱いわけがない。 (第2期))

 →やねうらお (yaneuraoh)さんはTwitterを使っています

 最初は盛り上げるためのプロレスなのかと思っていたのですが、どうも様子が違っているようです。ただ、はっきりした資料なしに関係者の話が錯綜するのは良くないと思うので、タイムシフトをもとに第三回電王戦第1局後に公開された第2局PV後半とその後の記者会見の内容を書き起こししておきます。

 

(第2局PV後半)

佐藤紳哉六段 はっきりウソをついて、ソフトを入れ替えて、それからこうしてください、ああしてくださいだとか、開発者は最低の人だと思います。ただ、きっと将棋の神様は見ていると思うので。

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佐藤 まず、3月1日に開発者の人がウチにきたのは、ソフトの動作を安定させる、そういうソフトに入れ替えたい、将棋の指し手や棋力には一切関係ないけれどもそこを入れ替えたいという話があったらしいんですね。私としては「ルール上の判断はできないけども、ルール上問題ないのであれば私は受け入れます」という答えをしたんですね。

やねうらお 簡単に言うたら、やねうら王ってもともとは強かったんです。3年前は。3年前の大改造を始める前は強かったんです。それが今回の電王トーナメントのためにいろいろ作り直して、作り直した時にバグがいろいろ仕込まれてしまいまして、突貫工事だったのでいろんなバグがありまして、それで弱くなっていたと。

 局後学習は修正して、それがちゃんと正しく修正されていないと正しく局後学習できていないような状態だったので。そこまで強さが変わらないかなと思っていたのですが。

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佐藤 ちょっと読み筋とかを調べてみたんですね。何かちょっとおかしいので、以前指した将棋をそのソフトで検討させてみたり。そうするとまるで違う答えが返ってくるんですよ。

 私が普段指しているから気付いたとかそういうレベルではなくて明らかに違う、もう中身が明らかに入れ替わっている。すごいビックリして、力が全然違う。非常に強くなっているんですね。

やねうらお 開発者側からみたら、そんなに指し手の性質って変わるものなのかと。逆に驚きがあるんですよ、そこは。評価関数がまったく同じなのに、指し手が違うと別人に見える、微妙に見えるみたいなそんな話ってあるのかと。

佐藤 「指し手や棋力にはまるで影響を与えていません」という返事をしてきたんですよ。明らかに白ばっくれるというか、それでその後、こういう特徴が変わったとか伝えたらようやく、棋力が変わる、バグをとると変わることもある、だからこっちでやってくれないかみたいな話に移っていったのです。

やねうらお 言ってみれば、もとの強さになったみたいな部分がありましてですね。で、別に私としては勝ったところでギャラが変わるわけではございませんから、別に勝ちたいとかそういう意図は全然ございませんで、そういうバグとかで負けるのはちょっと見ている方も興ざめでしょうし、そういう意味で私的には勝ち負けの問題ではなく、良い将棋が見せられるのかなと思っていたのです。

佐藤 開発者ですから、いろいろログをとったりして、棋力が変わらない、それが分からないということはないですよね。明らかにその時点ではっきりとしたウソをついているわけなんですよ。

やねうらお 佐藤先生に関しては、研究が無駄になってしまっている部分とか本当申しわけないなと思うので。そうですね、佐藤先生にエルグランドを私がもらえたらあげてもいいかなという気はするのですが(笑)。まあ、あげませんけどね。

佐藤 非常にそういうやり取りを楽しんでいるというか、こちらを刺激して楽しんでいるなと私はそういう風に感じたのですが。

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佐藤 なので、こちらも向こうは本当に汚いことをやってくると思うので、でもそれに対抗するのに、こちらもうバカみたいに正々堂々と戦いたいかなと。とにかく勝って、「もうこういう将棋に携わるのをやめてほしい」と早く言いたいかなと思っていますね。

やねうらお 男ですよね、輝いてますね、頭だけじゃなくね……みたいな、そういうのを入れといてほしいんです(笑)。マジでちょっと男らしいなと思ったので。いや、そうか。バグがあるなと気付いたのは最近なんです。バグってて弱くなっていた部分もありますし、局後学習とか特にそうですね。

 

(第2局PV後半が終了して、有明コロシアムの会場での記者会見に戻る)

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司会 後半は音声だけのやり取りで微妙なやり取りのように私には聞こえましたが、佐藤六段にはのちほど決意表明を新たにお願いすることとして、ここで第三回電王戦第二局に関して、川上(量生)会長よりご説明をさせていただきます。

川上量生ドワンゴ会長 はい、今、ビデオでご覧いただいた内容の通りです。

 今回の第三回の電王戦はいったん編集したソフトの以後の変更は一切認めないというレギュレーション、主催者の私どもが決めたルールでさせていただいたのですが、今回、やねうら王さんの方より、「いくつかの致命的なバグの修正のために変更したい」という申し出があり、「棋力は一切変わらないものです」ということでしたので、その修正を特別に認めることとしました。

 そうしたところ、実際には棋力が大幅に変わって、非常に簡単に言うと「強くなってしまっている」という指摘がございました。

 これに関して、主催者、そして関係者の方といろいろ協議をいたしましたが、主催者の判断といたしまして、安定した対局のために今回、やねうら王さんの変更を受け入れることにいたしました。こちらの改訂版の方で対戦を行うこととしました。こちらについて今回、もともと決めたレギュレーションと違う条件で佐藤紳哉六段が対戦されるということをみなさまにご承知いただきたいと思います。以上です。

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司会 ありがとうございました。それでは日本将棋連盟、片上(大輔)理事からもひと言ございます。

片上大輔理事 今日、これみなさん、恐らく初めてご覧になって、大変驚いたり、中には怒ってらっしゃるような方もいるかもしれないのですが。

 私もこの話を聞いた時は非常にびっくりいたしまして、それでちょっと補足させていただきたいのですが、貸し出されたソフトというのはすべて私自身も自らの手で対局をして、確認しておりますし、また私以外の棋士も、コンピュータ将棋のことを知っていただきたいということで、対戦していただいています。

 それで私自身、10数局、それ以外の棋士も含めると、かなりの数、対局が行われているのですが、公式の電王戦の対局に支障が出る、例えば止まってしまうですとか、そういった致命的なバグというのは見つかっておりません。

 ただ、見つかっていないのですが、そういうのがあるんだろうという風に、「バグがあるので修正したい」と言われたら、そういう風に思うのが普通の感覚だと思うのですが、ちょっとどうだったのか分かりかねる部分もあります。

 対局者の佐藤紳哉さんも私も非常に戸惑っている部分もあるのですが、最終的にはこの川上会長を中心に、ドワンゴさんの方で今回のレギュレーションというのを提案いただいたわけですが、この第二局に関してのみ特例ですね。それ以外の対局でこういうことは一切ないのですが、この対局に関してはそういう風にしていただきたいという川上会長のお話を受けまして、分かりましたということで受け入れた次第です。

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司会 ありがとうございました。それでは今、いろいろご説明がありましたが、そのような状況の中、第三回電王戦第二局でやねうら王と対戦する佐藤紳哉六段から現在の心境や、あるいはさらに深めた決意などを表明していただければと思います。

佐藤 今回は本当にお騒がせしてすいません。

 第二局は楽しい対決になるんじゃないかなということを期待されていた方もたくさんいらっしゃるかと思いますし、僕もそうなるかなと思っていたのですが、突然変わってしまって、私も本当に驚いていますし、開発者の人に対してはもう私は怒りの気持ちでいっぱいです。

 まず最初からウソなんですよね。指し手に変更がないと言っておきながら、明らかに変更されたもの、棋力も指し手も違うものを入れ替えて、その入れ替えたという形を作って、それから虚実織り交ぜた説明、また挑発的な提案などもありまして。

 そうやりながらも、そのやり取りを楽しんでいるような。本当、そういうような人で、本当にこの電王戦、真摯に立ち向かわれている開発者の方、他の方みんなそうだと思うのですが、そういう人に対しても本当に失礼な話だと思いますし、ちょっと本当にあきれるくらいな感じなんですね。

 それで先ほど片上理事の方から話もありましたし、動作の安定性ということなのですが、それも私も練習対局を数十局やっているのですが、そこで途中で止まるとか、動作に不安定なことがあったことは一度もありません。

 一度だけバグといいますか、コンピュータが詰みと判定したのに、詰まなかったということはあったんですね。それも動作が止まるわけではないのですが、確かにコンピュータからしてみると大きなバグなのかなという気がしたのですが。ただ、それも数十局指して1局だけという。ある意味人間がポカをする確率の方が大きい。自分からするとそのくらいの確率なんですけど、そのくらいのバグがあったと。

 3月1日に家に入れ替える日が来たのですが、その日はまさかそれが直っているとは知らずに、僕はちょっと提案しようと思ったんですよ。こういうのがあるから、こっそり主催者に相談して直すのはどうかなと相談しようとしたのですが、そうしたら「大丈夫、大丈夫」みたいな変な反論をされまして。その時、僕はまさかすでに直っているとは思っていませんでしたので、もしそういうのが本番で表れてしまっても、それはもう仕方ないことだと。そういう意味の、潔い意味の「大丈夫」なのかなと思いまして、そのまま何となく流れてしまったのですが。バグとか、動作的に問題があるかというのはその1回だけですね。私が感じたのはですね。

 本人を家に上げて、本番用のソフトを入れ替えるという作業を認めたということで、すごい脇が甘い部分はあったのかもしれませんが、まさかこんなことになるということはまるで想定もしていませんでしたし、将棋界にずっといますと、そういうスポーツマンシップといいますか、フェアプレーは当たり前すぎるようなところってありまして、僕もちょっと最初は本当にビックリしてという感じで。

 最初は間違えたのかと思ったんですよ。指してみて全然指し手が、指し手の強さだけでなくて、時間の使い方の特徴だとか、今までランダムに初手が入っていたのが1通りになっていたりだとか、その辺がまるで全然違うソフトになっていたので、ビックリして間違えたんじゃないかという、そういうのを将棋連盟を通して確認してもらったのですが、そこでも先ほど白ばっくれるという私の言葉がありましたが、そこに至ってもまだ「指し手には影響は与えていない」というような説明だったんですね。

 その後いろいろありまして、私の立場としましては、相手の提案した新しいものでやるというルールを受けるかどうかという話ですけど、僕のスタンスとしては、ルールは自分で決めることではないので、決められたルールに従いますと。私としてはそういう考えでした。

 それでもちろん、今までずっと前のやねうら王と指してきて、ずっと指していると愛着というかそういうものもありまして、ちょっと僕の中ではライバル的な関係かなというような理解だったのですが。負けると悔しい、負けてもちょっと相手を強いとは認めたくないなというような関係で、本番頑張ろう、お互い頑張ろうねと。もちろんソフトはそういう気持ちはないですが、自分としてはそういう気持ちで、お互いそういう気持ちなんだろうなみたいな感じで戦っていまして。

 もちろん前のソフトと指したいというのは前提としてあるわけで、それは言うまでもない話だったと思うのですが、ルールは主催者の決めることだと思いますし、それでもし新しいソフトで指すという決定になったとしても、それは明らかに強くなったソフトなので、強いソフトだから指したくないということは、やっぱりプロ棋士として、僕はこんなんでも少々のプライドはあるので、それは口が裂けても言えないことかなというのがありまして、どんなルールでも受け入れますと、私はそういうスタンスでした。

 それで今回、新しいソフトでやるという決定になりましたので、新しいソフトと頑張って戦おうと、このごたごたがあった時は本当にちょっと精神的に大変でしたが、今はもうそのソフトと戦って勝つんだと。

 非常に優秀なソフトになっているんですよ。なので、大変なことだなと思っていますが、何とかそこは先ほど将棋の神様という話がありましたが、神頼みになってしまうというわけではないですが、気持ちでカバーして、何とか頑張っていきたいなと今は思っています。

司会 はい、複雑な心境ですが、潔く明るく元気に語っていただきました。佐藤六段ありがとうございました。あと、一週間ですがご健闘を祈ります。みなさまありがとうございました。本日はお忙しい中、第三回電王戦第一局、記者会見にお集まりをいただきまして本当にありがとうございました。記者会見は以上とさせていただきます。来週3月22日の第二局もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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注:この件について3月19日にニコニコ生放送で会見が行われ、その内容も書き起こしたので参考にしていただければ(→「ニコニコ生放送「第3回将棋電王戦 第2局の対局方法に関する説明」書き起こし」)