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KADOKAWAとドワンゴがKADOKAWA・DWANGOに 経営統合発表記者会見の全文書き起こし

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 日経新聞の飛ばし記事に始まり、その後、実際に発表されることとなったKADOKAWAとドワンゴの経営統合。

 映画からライトノベル、アニメまで日本のコンテンツ産業をけん引してきたKADOKAWAと、インターネットの動画プラットフォーマーの雄であるドワンゴが経営統合するというのは非常に大きなことだと思います。

 経営統合会見の内容をすべて書き起こしている媒体がないように見えるので、僕が書き起こしてみました。

 →角川・ドワンゴ経営統合 アニメなど「ニコ動」で海外へ(日本経済新聞)

 →株式会社KADOKAWA 株式会社ドワンゴ 合同発表会 - 2014-05-14 1700開始 - (ニコニコ生放送)

 →角川会長「ようやく、川上さんという若い経営者を手にした」 新会社「KADOKAWA・DWANGO」の目指す姿は(ITmedia ニュース)

 →株式会社ドワンゴと株式会社 KADOKAWA との 統合契約書の締結及び株式移転計画 の締結及び株式移転計画 の締結及び株式移転計画書の作成について

 

▼佐藤「世界を舞台に進化したメガコンテンツパブリッシャーを目指していきたい

司会 それでは統合持株会社の代表取締役社長に就任予定の佐藤(辰男)より、このたび両者が経営統合に至った経緯やストラクチャー、今後の展開についてご説明させていただきます。

 

佐藤 株式会社KADOKAWAと株式会社ドワンゴは両社対等の精神に基づきまして、共同株式移転によりまして、両社の完全親会社となる株式会社KADOKAWA・DWANGOを設立する方法により、経営統合することにつき、合意に達しました。

 本日、それぞれの取締役会の決議に基づきまして、統合契約を締結するとともに統合持ち株会社設立のための株式移転計画書を作成いたしました。

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 新設する親会社の概要はこのスクリーンにある通りでございます。商号は株式会社KADOKAWA・DWANGO、資本金は200億円、資本準備金も200億円、本店所在地はKADOKAWA本店所在地であります千代田区富士見でございます。

 就任予定の役員は代表取締役会長に川上量生、代表取締役社長に佐藤辰男、私でございます。取締役相談役に角川歴彦、取締役にドワンゴの社長をされている荒木隆司、KADOKAWAの社長をしております松原眞樹、KADOKAWAから取締役として浜村弘一、ドワンゴから取締役として夏野剛、小松百合弥。社外取締役の3名の方は船津康次、星野康二、麻生巌ということになっております。

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 KADOKAWAはスクリーンの「角川グループの歩み」にありますように、1945年の創業以来、時代の変化に対応しながら成長を重ね、中堅出版社から業界をリードする地位を築き、今日に至っています。

 2013年10月にはグループ傘下の出版8社を合併して、ワンカンパニー化を実現しました。その目的はIP(知的財産)を核とした多種多様な事業領域をカバーするメガコンテンツパブリッシャー、デジタルコンテンツプラットフォーマーということで、時代に確固たる地位を築くことにあります。そして今、この地点でドワンゴと出会いまして、コンテンツ統合プラットフォーム企業に進化をとげるというところまで来ました。

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 一方、ドワンゴは同じように歴史年表風に表現すれば、3つの時代に分けることができます。

 1997年にオンラインゲームのシステム開発会社として設立されましたが、iモードの普及に合わせてハイクオリティな着メロ、着うたフルで一世を風靡しました。そして、2006年12月にニコニコ動画をスタートし、その扱うコンテンツの独自性やユーザー同士のコミュニケーションから生まれる創作文化が圧倒的な支持を受け、次世代ネットワークエンターテインメント分野で独自の地位を築いています。

 niconicoは2014年3月末現在で登録会員数3936万人、有料プレミアム会員223万人を有するプラットフォームに成長してまいりました。そして今、ドワンゴも次のステップを踏もうとしていると理解しています。

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 本経営統合はデジタル化とインターネット技術が進展する中、ドワンゴの有する技術力およびプラットフォームと、KADOKAWAの有するコンテンツおよびリアルプラットフォームを融合させ、ネット時代の新たなビジネスモデルとなる、世界に類のないコンテンツプラットフォームを確立することを目指すものです。また、中期的には進化したメガコンテンツパブリッシャーとして、ネット時代に新たなメディアを築いてまいります。

 次に経営統合の日程についてはこのようになっています。本日の取締役会の決議を経まして、KADOKAWAは6月21日、ドワンゴは7月3日に予定されている株主総会において、これを承認いただければ、今年10月1日に新会社がスタートすることになっています。

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 次に統合の意義について、5つの視点でお話をしてみたいと思います。

 1つ目はグループのあり方としてということです。IP創出企業KADOKAWAと、IT企業ドワンゴの融合により、技術を持ったコンテンツ会社が誕生する。これが一つ目の意義だと理解しています。両社が保有している最先端のネットプラットフォームと魅力あるコンテンツを融合させてniconicoを強化する。

 それからただ今、KADOKAWAはデジタル対応を急いでおります。その中でドワンゴのエンジニア力、エンジニアリングのグループ内製化は、計り知れない武器になると考えています。エディターの隣の席にエンジニアが座って一緒に仕事をするというイメージを持っていただければと思います。すなわちコンテンツとテクノロジーが融合するインパクトというのが1つ目だと思っています。

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 2つ目。コンテンツ視点から言いますと、プレミアコンテンツを生み出す編集力がKADOKAWA。デジタルネイティブ時代のUGC創出力がドワンゴのことですが、この融合を図るということです。UGCというのはUser Created Content、ユーザーが作る、あるいはユーザーが参加して作る作品ということで、niconicoではすでに初音ミク、カゲロウデイズといったコンテンツが次々に生まれています。

 ドワンゴのプラットフォームの上でUGCとして創出される多様なコンテンツを、KADOKAWAの優れたコンテンツ編集力を生かしてプレミアム化していく。メディアミックスを含めたKADOKAWAの販売流通施策を通じて、コンテンツ販売事業を最大化することができると考えています。

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 3つ目。プラットフォーム視点から出版映像コンテンツのプラットフォームを構築しているKADOKAWAでは、BOOKWALKER、dアニメストア、ムビチケといったプラットフォームを今、作っています。それから左側には当たり前ですが、リアルプラットフォームとして書店、イベントといったものがあります。

 ドワンゴの方では右側にニコニコ動画、それから超会議ですとか町会議といったリアルなプラットフォームを構築している。これが融合することによって国内のeコマース、あるいは海外の物販配信といったことが新たに生まれてくる。そういうシナジーを期待しています。

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 4つ目。情報メディア視点から一般論としてコンテンツをアグリゲートするというのがネットメディア、ニュースのまとめサイトなどはそういうことだろうと思います。従来のネットメディアに対して、既存のメディア、つまりKADOKAWAの情報取材力や編集力を取り込んで、新たなネットメディアに転換するための融合です。

 ドワンゴのネットプラットフォームにおける情報展開力とKADOKAWAの情報取材、編集力を生かして、ほかのマスメディアを補完するネット時代の新しいメディアを構築する。それからこれは大変期待しているところですが、両社の紙媒体とネットメディアの融合により生まれる莫大なPV、それからUUを背景にした新しい広告のメニュー、サービスを増設していく。そのことによって飛躍的に広告収入を伸ばしていきたいと考えています。これが4つ目の情報メディア視点です。

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 最後にグローバル視点として、niconicoのような新しいメディアとKADOKAWAのようなクールジャパンコンテンツホルダーが融合して起こる化学反応を期待しています。世界的なトレンドとしてキーワードはヤングアダルト、それから先ほどから申しているUGCが小説、マンガ、アニメの世界で非常にトレンドになっていて、この傾向はこれからも続くと思っています。

 欧米ではヤングアダルトの小説やマンガがハリウッドを侵食しています。日本でも当然のことながらKADOKAWAを中心としてライトノベル、コミックが非常に売れています。それからアジアでも軽小説という名前で大変もてはやされていますし、UGCも非常に盛んだということでこれが1つのトレンドであります。

 私たちのプラットフォームをオールジャパンプラットフォームとして、その上で我々が世界を舞台に進化したメガコンテンツパブリッシャーを目指していきたいと考えています。

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 こうした統合の意義を速やかに具現化すること、すなわちスピードが大事だと私たちは考えました。統合の意義を速やかに具現化するため、両社が経営資源を持ち寄って、互いの強みを活用して、補完性を高め、既存事業の強化、新規事業創出を実現させることをスピード感を持ってやっていこうと考えています。

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 これが持ち株会社と各事業の概念図ですが、KADOKAWAはKADOKAWAとして既存事業を大事にしながら、ドワンゴとの融合の中でネット時代の新たな表現方法を作っていく。ドワンゴもドワンゴとして既存事業を大事にしながら、コンテンツを作るプラットフォームへ進化していく。

 そして、この両社の間に、このような両社のシナジーとして必要なこういうような事業を今、想定しています。統合の意義を速やかに実現するために両社の間にシナジー事業をおいて、互いのリソースを持ち寄って両社単独では実現できない事業を具現化していこうと思っています。

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 もちろんこれから協議しますが、このような事業について今考えていることをお話しいたします。

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 1番目がゲーム情報ポータル事業。ゲーム雑誌というレベルでは、KADOKAWAはほぼ独占的な状態です。この市場占有率と、ゲーム実況が非常に盛り上がっているドワンゴのゲーム分野における紙とネットの融合。その先にあるのがこのゲーム情報ポータル事業ということで、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。

 2番目はゲーム事業です。KADOKAWAには角川ゲームス、ドワンゴにはスパイク・チュンソフト、ドワンゴに最近グループ入りしたMAGES.、これからグループ入りが決まっているフロム・ソフトウェアと、いずれも強いブランド力を持って、個性豊かな事業を展開しています。

 この各社については非常に個性的な会社なので今まで通りの体制で進めていきますが、各社緩い連携を模索していこうと思います。4社合わせると150億円くらいの事業規模になるので、新たなゲームでの勢力が生まれたとご理解いただければと思います。

 それから電子書籍事業。これについてはドワンゴの技術力を我々が今やっている電子書籍事業に注入していきます。電子書籍の新しい体験をもたらすサービスのフロントエンドをドワンゴさんにお願いしたいと思っています。これもしっかりと時間をかけてやっていきたいと思います。

 それからUGCクリエイタープラットフォームと、地域情報プラットフォームというものについては両社がすでに紙でもネットでも実績をあげている事業です。これについては、どうしたらさらにシナジーを高められるのかということをこれから協議してまいりたいと思います。

 最後に両社事業の強みを相互に活用し、補完性を高めて、既存事業の強化、新規事業創出を実現させることができれば、私たちはネット時代をリードする世界に類のないコンテンツプラットフォーマーとなりうると考えています。

 今日ご出席のみなさまにおかれましては、この新生KADOKAWA・DWANGOに多大なるご支援をいただきますことをお願いしまして、私のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

 

▼川上「コンテンツとプラットフォームが融合することで新しい世界を切り開ける

司会 ありがとうございます。では次に統合持ち株会社の代表取締役会長に就任予定の株式会社ドワンゴ代表取締役会長川上よりごあいさつをさせていただきます。川上会長、演台の方にお進みください。

 

川上 ドワンゴの川上です。ただ今、ご紹介にあずかりましたように新会社の方でも会長を務めさせていただくことになりました。今回、こういうような発表ができて、非常に僕自身も興奮してワクワクしております。

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 このKADOKAWAとドワンゴの合併、この新会社がどういう風になるのかということを客観的に、両社をよく知っている方がどういう風に思うのかということを考えますと、多分こういう風じゃないかなと思います。

 KADOKAWAというと「相談役といういったん退いたような役職を名乗っている角川歴彦会長が本当に経営の一線から今後も退く気が本当にあるのか?」という会社と、ドワンゴの方は(川上会長が)スタジオジブリの鈴木プロデューサーのところに弟子入りして、今、私はNHKと一緒に宮崎吾朗監督とアニメを作っているわけなのですが、こういう「本当に経営を引き受ける気があるのか?」というドワンゴと、こういう2社の合併ではないかなと思われているのではないかと思います。

 そしてその2つの会社が合わさった時に誰がどうやって運営していくのかというところが、多分いぶかしく思う方がたくさんいらっしゃると思います。大体、そういうような懸念がありましたら、結構その懸念は当たってるんじゃないかなと僕は思っています。

 新会社の方なのですが「プラットフォームをやっているドワンゴとコンテンツをやっているKADOKAWAの2つが合わさった」と理解されると思うのですが、この理解というのは僕は「少し違うんじゃないかな」と思っています。実は、もともと両社ともコンテンツとプラットフォームの両方をやることを目指してきた会社だということではないかと思います。

 1つはKADOKAWAさんの方も、出版社というものも、雑誌というのはリアルな世界のプラットフォームだと思うんですよね。リアルな世界のプラットフォームで販売網、書店に対して、例えばKADOKAWAの棚があるわけなのですが、これも実はネットのプラットフォームと同じように対比させられるリアルのプラットフォームだと思います。つまり出版社もリアルな世界でのプラットフォームとコンテンツの両方を扱う業態というのが、正しい理解ではないでしょうか。

 普通、ネットの世界だとプラットフォームだけを提供する会社が多いのですが、実は僕ら自身はコンテンツを常に作り続けてきて、新しいコンテンツを作ろうとしてきたIT企業ではないかと思います。

 実際、今日、日経新聞さんの一面に記事(「角川・ドワンゴ経営統合 アニメなど「ニコ動」で海外へ」)が出て、僕もそこに書いてある図を見てびっくりしたのですが、KADOKAWAさんのところに出版の会社と書かれていて、ドワンゴの方にイベントと書かれていまして「我々はIT企業じゃなかったのか」と。「イベント企業だと日経さんに認識されているんだ」ということで非常にびっくりしたのですが、これは非常に大変、光栄なことだと思っています。

 僕らは今年のゴールデンウィークにはニコニコ超会議というイベントをやりまして、これが多分非常に印象に残って、そういうことを言っていただけたのだと思いますが、実はネット企業の中では、僕らはずっとコンテンツを作り続けてきた会社です。

 そしてネットの世界とリアルの世界で、コンテンツとプラットフォームを両方提供してきた会社が一つになるというのが、非常に相性がいいんじゃないかと思っています。

 普通、ネット企業というのはどちらかというと「専業で一つのことだけに絞っていく」というのが、これまでの趨勢だったわけですが、それが正しいのかということに関しては僕はずっと非常に疑問に思っていまた。

 例えば今、ITの世界でも、昔はPCといえば、コンパック、デルというPCだけを作っている会社がありまして、それがOSとハードの両方を作っているアップルという会社のモデルよりも優れていると言われていたんですね。でも、現時点でITの覇者はどこかというと、この立場は完全に逆転していまして、垂直統合のアップルが完全に優位になっているわけです。

 ですから、専業で行くのか組み合わせていくのかというのは、絶えず、恐らくはいろんな時代の流れというのもあるでしょうし、周りの環境によって必ず変わるものだと思っています。そして、日本でこれからコンテンツをネットで展開していく上では、そのコンテンツとプラットフォームを両方提供するモデルというのが僕は恐らくベストなモデルではないかと思っています。

 実際に日本でも、一番プラットフォームとコンテンツを作って成功しているところは任天堂さんだと思います。今は若干、状況は厳しいかもしれませんが、トータルで見ると、日本で非常に成功しているプラットフォーム、恐らく唯一と言っていい世界で競争力を持っているプラットフォームというのが任天堂さんだと思います。

 なぜ競争力を持っているかというと、それはプラットフォームとコンテンツを両方持って、その上で競争をしている。そして絶えず競争の軸を変えていくことで生き残ってきたということだと思います。

 そういうことで新しい会社で、そういうコンテンツとプラットフォームが融合することによって、他の会社との直接的な競争を避けて、新しい世界を切り開くことができるような体制が作れるのではないかと思っています。

 そして、このドワンゴとKADOKAWAが一緒になることの持つ意味なのですが、これは決してコンテンツとプラットフォームを囲い込むというような話ではないということがひとつ大きなポイントだと思います。これは双方に言えるのですが、KADOKAWAさんはコンテンツを作っている立場として当然、これまで通りYouTubeさんにもコンテンツはきっと提供するでしょうし、我々もKADOKAWA以外のコンテンツもやります。

 これは基本的には囲い込むための新しい統合ではなくて、基本的にはオープンな統合なわけです。そして、そのシナジー効果が発揮されるのは、新しいコンテンツとプラットフォームを組み合わせて何かを生み出すというところに、この新しい統合会社の意味があるのではないかと考えています。

 この新会社の方にみなさんご期待いただけますように、よろしくお願いします。

 

▼角川「私はようやく川上くんという若き経営者を手にした

司会 ありがとうございます。続いて統合持株会社の取締役相談役に就任予定の株式会社KADOKAWA取締役会長角川よりごあいさつをさせていただきます。

 

角川 KADOKAWAは、出版社から出発し、映画、アニメ、ゲームとメディアミックスの先駆者としての役割を果たしてまいったと思います。そしてコンテンツ、IPで幅を広めて、最終的にはデジタルネット企業になりたいと思って努力してきました。

 ドワンゴは先ほどからお話がありますように、3900万人のファンを持つ、ニコニコ動画の大変な資産を持っている優れた技術者集団だと認識しています。

 そして日本を代表するネットと日本の知的IPを多く持つ両社が、コンテンツ視点でプラットフォームを作ろう、これは先ほど川上君が言った通りであります。両方ともプラットフォームを持とうとしているのですが、しかしその両方ともが補完関係にあると思っています。いわば日の丸プラットフォームを両社で作ろうということだと思います。

 もうひとつは21世紀の新しいメディアを作りたいと思っています。川上君はあまりメディアという言葉が好きじゃないらしくて、滅多にそういうことを言わないのですが、私はニコニコ動画というのはメディアそのものだと思っています。世界のYouTubeに対抗できる、日本のマーケットでのYouTubeができたということが、私にとっては大変うれしいことです。

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 そのKADOKAWAとドワンゴの共通のテーマというのはサブカルチャーです。サブカルチャーに基盤を持っているということが、我々が文化が違うように見えて実は文化が同じだというところにあると思います。今の流行りの言葉で言うとクール・ジャパンというのをリアルの立場から推進してきたKADOKAWAと、ネットの世界から推進してきたドワンゴが一緒になろうというので、異質の両社ではあるんだけれども、実は両社をくっつけるにかわの役をするのが企業文化で、目的が共通だということだと思います。

 現に新会社の社長に就任する佐藤君はドワンゴの十何年来の社外役員をやっていましたし、川上君もKADOKAWAに貴重な意見を言ってくれる社外役員を務めていらしたので、その点ではまったく違和感が我々にはないわけです。

 そしてこの二社が一緒になるのであれば、やっぱり今、我々は21世紀のイノベーションというのを実現しないといけないと思っています。

 このイノベーションはどんな形になるかワクワク感があるのは、このイノベーションというものに期待しているからです。私は川上君とは未来志向のビジョンでは、まったく完全に一致をみました。

 思えばYouTubeが日本に上陸した時、私はYouTubeをJASRACに紹介して、「日本の市場できちんとした存在になってほしい、海賊版を排除したきちんとした存在になってほしい」とGoogleにも話をしました。

 そして川上君もその時にYouTubeと軌を一にしてJASRACに入って、彼の方がはるかに誠意を持って海賊版、模倣品を排除したわけです。海賊品、模倣品のサイトであったniconicoが非常に品のいい、業績のいい、行動のいい動画になったことから、期せずして新しいコンテンツ、若いクリエイターを輩出し始めたのです。

 これを川上君が計算していたのか、計算していないでそうなったのかは、天才・川上君のことですから、ゆっくり話を聞いてみたいと思っています。

 そして新しいコンテンツ、新しいクリエイターを多数輩出し始めて、それがなんとKADOKAWAのリアルな紙の出版物の重要な部分を占めるようになってきています。これもまた統合の大きなきっかけになったと思います。ボーカロイド小説というのが、角川文庫の非常に重要な一角を占めるようになってきています。

 最後に川上君の複雑系の発言、みなさんが理解しにくいところを翻訳し、伝えるのが私の仕事だと思っています。それが相談役という立場であります。

 しかし、本当のところ、冗談でなくて真面目な話を申し上げれば、私はKADOKAWA・DWANGOという新しい事業形態、社員3000人を超えるというコンテンツ業界の中では本当に大きな所帯です。KADOKAWA・DWANGOの3000人以上の社員諸君が活き活きと仕事をしてもらえるように、私はようやく川上くんという若き経営者を手にしたんだと思います。

 ですから川上君が、単にniconicoを作ったことで終わらないで、新しい仕事をしたいという気持ちも大事にしながら、だけども同時にこのKADOKAWA・DWANGOという所帯の大きさをきちっと認識してもらって、これからの時代の変化の中で、彼が大洋に乗り出して行き先を示していく経営者としていくことを支持しております。

 そして最後に彼が言ったオープンな統合。プラットフォームといってもスティーブ・ジョブズやそういう人たちが考えた、私はそれをエコシステム1.0と言っているのですが、我々は読者の囲い込みもコンテンツ事業者の囲い込みも、コンテンツそのものも囲い込まない、オープンなプラットフォームを作っていこうという夢を持っています。もし、みなさんから「最近、KADOKAWA・DWANGOの夢はどこに行ったのか」ということがありましたら、ぜひ直接その志について聞いていただきたいと思います。

 この会社は本当にいろいろな可能性を持っている。WINWINという言葉ではかえって矮小化してしまうような大きな期待をみなさんに持っていただけるようにお願いいたしまして、私の言葉にしたいと思います。ありがとうございました。

 

▼質疑応答

ーー(朝日新聞)角川歴彦会長にお尋ねしたいのですが、合併比率が1対1.16くらいですが、売上高や利益の規模で随分開きがあると思います。かなりドワンゴを高く評価しているように見えるのですが、その点いかがでしょうか。

 

角川 おっしゃる通りです。高く評価しています。そう受け止めてご理解していただければありがたいです。具体的な裏付けについては松原の方から紹介したいます。

 

松原眞樹KADOKAWA社長 プレスリリースにもはっきり書かせていただいている通り、当然のことながらこういうお話ですと、第三者算定機関の算定結果を踏まえて、両社の株価水準、財務状況、資産の状況、将来の見通し等、すべて兼ね合わせて客観的な意見を頂戴して、一定比率を作っているということでございます。それを各々の取締役会が承認した上で比率決定合意に至ったとご理解いただければよろしいかと思います。

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ーー(朝日新聞)もう一点、角川歴彦会長にうかがいたいのですが、伝統的なメディアと新興メディアの統合というのは過去にAOLとタイムワーナーのケースとか、実現しなかったですがTBSと楽天、ライブドアとニッポン放送とかいろいろありましたが成功例があまりないような印象を受けます。その点をどういう風にご覧になっているのでしょうか。

 

角川 先ほどの僕の説明を申し上げた中に入っていると思いますが、まず敵対的な合併みたいなものを目論むことは、大概ダメになると思います。ですから、今のご質問のうち半分はそういう形だったと思います。タイムワーナーとAOLについては、今日になってみれば時代的な評価として無理だったなということにあると思います。

 その点では本当に今、KADOKAWAがリアルなプラットフォーマーとしてきちんとした成果を出したいと思っている時に、そこにドワンゴがいたわけですし、またドワンゴはプラットフォームから輩出している若きクリエイターたち、UGCというのはもう卒業しているような大きな存在になる可能性、才能を持っている人たちがKADOKAWAの舞台で仕事してくれる。こういうことが積み重なっていけば、この異質の会社だと思われるようなものが実は一卵性双生児だったなと思っていただける日が近いとは思っています。

ーー(朝日新聞)最後に川上さんは経済産業省のクールジャパンとかご担当されている女性官僚と結婚されたとうかがいまして、そこに角川歴彦さんも来賓でご出席されたと思うのですが、その結婚式辺りから今回の統合の話が出ていたのでしょうか。

 

川上 すいません、まったく関係ありません。ドワンゴはまだ上場する前の社員数も十数人くらいの時から、実は今回の佐藤社長が役員として入っていただいていまして、役員としての歴史が一番長いのが私で、二番目が佐藤さんということで、実は本当に昔から気心が知れた仲だったというのをお伝えしたいと思います。全然関係ありませんので、はい。

 

ーー(日経新聞)まず川上会長、「イベント会社にしてすいませんでした」というのを言いたかったのと、角川会長にうかがいたいのですが、両社は2011年から資本提携を結んでいらっしゃったと思うのですが、そうではなくて経営統合という形をとった意味というのはどういうことかというのが一点と、いつ頃から経営統合ということを視野に入れ始めたのかということをうかがいたいと思います。

 

角川 2011年に持ち株ということを始めたのは非常に大きかったと思います。その折も、ドワンゴが非常に株価が高くて僕も辟易したのですが、だけどもそれを受け入れる中で、ドワンゴというのは非常に大きな可能性を持っているという気持ちを持って、現場でいろんなプロジェクトチームを走らせて今日に至ったわけです。

 ですから、僕から見れば、本丸に行くまでに外堀も埋めたし、内堀も埋めたし、そういう手続きは相当取っていると思っていますので、2000人の社員で夢だと思う人はまったくいないと思います。

 その点では明日はKADOKAWAの社員総会がありますし、今日はドワンゴさんで社員総会をして、非常に拍手が出たという話ですから、そういうのが明日もKADOKAWAから起こるのではないかと思います。

 本当のところはあまり茶化さないで申し上げれば、3年くらい前から川上君には「そろそろどうだろう」と、「そういう事業提携もあったし、本当に一緒になっちゃった方がいいんじゃないの」ということは言っていました。

 しかし、川上君のところもそれなりの問題を抱えていたし、KADOKAWAも抱えていた。川上君の方の問題というのは僕はあまり関与するつもりはありませんし、ただKADOKAWAの場合は9社の事業統合をしないといけないと思っていましたので、今日のこの発表にいくのが一つの目標になって、僕のモチベーションになって、社内でみんなで一緒にしようよということにできたんだと今、思います。これは真面目な話として、お答えします。

 

司会 具体的な両社の協議はというところでは、ドワンゴの荒木社長からでよろしいでしょうか

 

荒木隆司ドワンゴ社長 そういうことがあったようで、「あったようで」というのは私もドワンゴに入ったのが2年弱前ですので、入った頃に川上の方からそういうお話をKADOKAWAさんからいただいてはいるんだというのはうかがっていましたが、具体的な構想にはなりませんでした。

 当時、ドワンゴの方もちょっと利益の出ない体質であったり、いろんなことがございまして、そういうことを解決する方が先決だなということで、KADOKAWAさんが9社をONE KADOKAWAにされる時期に、我々なりにマネジメントの方をしっかりやろうということでやってまいりました。

 今年の1月半ばくらいに「正式に具体的に検討をしましょう」というお話をいただきまして、当初はそれじゃあ検討して、来春だとか、秋口だとかいろんなお話があったのですが、「こういうお話はあまり長くなってもなあ」ということをいろいろお話しするうちに、3月くらいですかね、「もう思い切ってゴールデンウィーク明けあたりで発表してはどうか」というお話をいただいて、「それならもう決めたんだから動きましょう」ということで一生懸命やって、こうやってお集まりいただいているような日に至っております。

 

ーー(フリーランス)先ほど川上会長からも角川会長からもオープンな統合というところをかなり強調されていたと思います。これまで両社がされてきた事業のイメージからするとその方向で間違いないんだろうと感じるのですが、今回大きな会社が新しくできるということになりますので、業界的にたとえ新会社がオープンな考えを持っていたとしても、周りから果たしてそう見てもらえるのかというところがあるかと思います。平たく言うと、今まではドワンゴだったから動画やコミックを提供したけど、KADOKAWA・DWANGOとなると「あそこは角川系列だから」と見られて、ドワンゴの立場からするとコンテンツを逃してしまうという懸念というのがあるかと思うのですが、そういう懸念というのは川上会長の方にはなかったのでしょうか。

 

川上 多分そういう風にはならないと思います。というのは今、プラットフォーム間の競争というのがグローバルになっているからですね。例えば、この新会社というのがある程度の規模になったとしても、じゃあそれが世界的に見てどうなんだというと、これはもうごくちっぽけな存在なわけです。

 その中で日本のコンテンツ業界、メディア業界も含めて、グローバル化をどうやっていこうかというのが現在の状況ですので、多分そういう懸念されたような状況というのには僕はならない。むしろ信頼されるプラットフォームになる方がいろんなご協力を得られるんじゃないかと思っています。

 

ーー(TBS)今回の統合によるシナジー効果は金額にしてどれくらいの規模になるものを目指しているののでしょうか。また、出資資本比率に関して資料に明記はされていませんが、一部報道にあるようにドワンゴが51%、角川49%ということで間違いないのでしょうか。

 

佐藤 私もKADOKAWAの相談役でございますから、非常に意欲的な中期計画を既に発表していて、これはチャレンジングな方向だと思います。それからドワンゴの取締役として、ドワンゴさんの将来的な成長というのも、これも非常にチャレンジングだと思います。間でやる事業につきましては、これはかなり新規事業、かなりといいますか新規事業が多くて、これはかなり投資もしていくことになります。

 いずれにせよ、このKADOKAWA・DWANGOと真ん中でやる事業と合わせると数字で表すのは非常に難しいのですがかなり成長していくと。成長がこの両社の合併の大きな成果になるだろうと思っています。

 

松原 法律的に申し上げますと、今回、共同株式移転という形をとっていますので、これはまったく平等、対等ということで、どちらかの比率がどうということでは全くございません。

 ただ会計処理上、どういう方法を使うかによってその比率が変わるということですが、今回はパーチェス法を使うということにおいて、ドワンゴの方が会計上の取得企業になるということなので、こういう形になったとご理解いただければよろしいかと思います。

 

ーー(アドバンスリサーチ)株式市場で仕事をしているもので、その立場から質問させていただきたいのですが、事業規模でいえばKADOKAWAの方がはるかに大きいですが、株式市場の評価という意味だとドワンゴの方がはるかに高いわけですね。バリエーションでみたら明らかなわけで、なぜ高いのかというと、やっぱりニコニコ動画のメディアパワーとか、動画広告とかそういうマネタイズの方法が新たに出てきて、先の成長に対する高い期待が今のバリエーションに結びついていると私は考えています。それがKADOKAWAと一緒になることで、KADOKAWAサイドのメリットは非常によく分かるのですが、ドワンゴがKADOKAWAと一緒になることのメリットが良く分からないです。株式市場から見ると、規模は大きくなるんだけど成長率が鈍化するという風に見えてしまうので、そこについてのドワンゴサイドから見たメリットをより明確にご説明いただきたいです。

 

川上 まずメリットはあると思っています。というのは、すべてのコンテンツというのは今後、ネット化、デジタル化していくと思うんですね。KADOKAWAでも例えばBOOKWALKERという電子書籍の文庫があります。

 恐らく今後はコンテンツを持っているところでも、そういうプラットフォームを持つことで実際その収益を得られるんだけども、プラットフォームがない場合は恐らくは従来より多分減るんだと思います。その時にカギになるのは、そのデジタルプラットフォームのネットワークを開発する部隊を自前の開発チームで持っているか、それとも外注に依存せざるをえないのかというところで大きな差が出ると思っています。

 そうすると、電子書籍においてもプラットフォームを自前で持っていることによって、KADOKAWAのデジタル時代の価値というのは大きく変わると思っていて、そこにドワンゴは貢献できるのではないかと思っていますし、そのことによって成長というのも得られる。実際に今、そういう評価の差はありますが、そのこと自体がポテンシャルを生んでいると思っています。

 

ーー(アドバンスリサーチ)そのポテンシャルは理解できるのですが、それが今のような緩やかな資本関係だとやはりダメなんですか。完全に経営統合しないといけないのか。そのへんのどこにギャップがあるのかがよく分からないんですね。

 

川上 それはやっぱり自前のコンテンツなのかそうでないのか、そういうところの違いだと思いますね。