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スズキオンライン

なにか役立つことを書きたいです

「支持政党なし」が全国の比例区で立候補していたら当選者は5人、政党助成金を年2億8000円もらえていた@衆院選2014

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 前回に続き、与党の圧勝で終わった衆議院選挙。

 その中でひっそりと話題を集めた政党がありました。それは「支持政党なし」。立候補したのは北海道の比例区だけだったのですが、4.2%もの得票率を獲得したのです(画像はNHKオンラインより)。

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 得票率の順位を見ると、既存政党の社民党や次世代の党を上回っています。Webサイトで「政策一切なし」を標榜しているので、間違えた、もしくは「私は支持できる政党がありません」という意思を表明するために有権者は投票したのでしょう。

 ねとらぼなどでは「間違えて投票した人が多かったのではないか」と示唆していますが、今回の選挙の特徴を考えるに、個人的には後者の理由も少なくないような気がします。

 →政党名が問題視された「支持政党なし」、獲得議席ゼロも得票10万超 「これは騙される」「悪質な引っかけ」(ねとらぼ)

 →「支持政党なし」党、10万票獲得 比例区北海道 - 選挙(朝日新聞デジタル)

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 それにしても、4.2%の得票率というのは、かなり大きな割合です。衆議院の定数である475人を純粋に得票率で割り振ったら、19人が当選していたことになります。それなのに1人も当選しなかったのは、北海道の比例区の定員が8人と少なかったからです。

 では、他地域の比例区にも候補者を擁立していたら、どうなっていたのか? 各地域ブロックの比例区で1人の当選者を出すために必要な得票率は次の通りです。

北海道(定員8人) 9.9%

東北(定員14人) 5.6%

北関東(定員20人) 4.3%

南関東(定員22人) 3.8%

東京(定員17人) 4.7%

北陸信越(定員11人) 7.2%

東海(定員21人) 4.1%

近畿(定員29人) 3.1%

中国(定員11人) 7.6%

四国(定員6人) 11.6%

九州(定員21人) 4.2%

 北海道以外でも4.2%の得票率を獲得すると仮定すると、南関東、東海、近畿では余裕で当選者が出ます。そして、他政党の票を奪うと考えると、北関東と九州でも当選できるレベルなので、計5人が当選することになります(お笑い100万票が期待できる近畿では2人が当選する可能性さえあります)。驚きですね。

 もちろん、「支持政党なし」が北海道の比例区にしか候補者を立てなかったのには理由があります。支持政党なしのWebサイトによると、政党要件を満たしていない政治団体の場合、ブロックの定数の2割の候補者を擁立しないと比例区に立候補できないため、2人を擁立するだけで良い北海道を選んだとのこと。

 「支持政党なし」の佐野秀光代表は問題提起で立候補したようなので、できるだけ供託金をおさえるための、この選択は理解できます。衆議院選挙の比例区の供託金は1人あたり600万円と非常に高いですからね。

 仮に各ブロックに定数の2割の候補者を立てるとすると、北海道2人、東北3人、北関東4人、南関東5人、東京4人、北陸信越3人、東海5人、近畿6人、中国3人、四国2人、九州5人、計42人の候補者が必要となります。必要な供託金は2億5200万円と巨額。

 しかし、しかしです……当選するとなると状況が変わってきます。なぜなら衆議院比例区の場合、当選者数の2倍の分の供託金が戻ってくるからです。つまり、当選者5人×2で10人分の供託金(6000万円)が戻ってくるというわけです。

 それでも2億円弱の供託金の赤字があるのですが、実は黒字になる可能性があったりします。なぜなら5人の国会議員がいれば政党要件を満たせるため、政党助成金をもらえるからです。

 NHKによると政党助成金の総額はおよそ320億円(政党助成金 自民173億円 民主78億円に(NHKニュース))。

 総務省の示す政党交付金の配分(下画像)に議員数5人、衆議院選挙比例区での得票率4.2%を当てはめて計算すると、議員数割で1億1157万円、得票数割で1億6800万円、合わせて2億8000万円ほどをもらえることになります。しかもこれは年間なので、衆議院が3年ぐらい解散されないとすると、8億4000万円をもらえることになります。供託金の赤字を埋めるには十分な額ですね。もちろん議員報酬だってもらえます。

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 人によっては、「こんな政党に貴重な血税を費やすなんて!」と怒る人もいるでしょう。ただ、僕はある意味で、今の政治に問題意識を持つ人たちにとっては勇気をもらえる結果だとも思うんですよね。つまり、選挙で多額の資金を費やして借金を背負わなくても、全国で5%くらいの支持さえ得られるコンセプトさえ打ち出せれば国政に参加できるということで。

 正直、それが良いことが悪いことかは分からないのですが、こういう道もあるんだなとちょっと面白く思った次第です。