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社会が死ぬほどつらいので9月1日朝に鎌倉市図書館に逃げたら結構面白かった

 夏休みが終わる直前、鎌倉市図書館のツイートが大きな話題になりました。

 ツイートした司書の河合真帆さんによると、2学期が始まる9月1日、子どもの自殺が多いことを知り、その防止のために投稿したとのこと。

 →学校死ぬほどつらい子は図書館へ… 司書のツイート拡散(朝日新聞デジタル)

 →鎌倉市図書館のツイート「学校がつらい子は図書館へ」 一時は削除も検討(ハフィントンポスト日本版)

 しかし! しかしです!

 つらいのは子どもだけではありません。大人だってつらいんです! 日曜日も終わりに近付くと、どれだけ月曜日を憂うツイートが増えることか。

 そこで社会が死ぬほどつらい大人代表として、鎌倉市図書館に行ってみることにしました。向かったのは学校の新学期が始まる9月1日の朝。

 東京駅から東海道線に乗り、大船駅で横須賀線に乗り換えると、1時間ほどで鎌倉駅に着きます。東京からの下りなので空いているかと思ったら、めっちゃ混んでて、社会へのつらさが倍増。僕は知らなかったのですが、横須賀線だと1本で東京から鎌倉まで行けるので、交通の便は良いです。

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 古都鎌倉とあってJRと江ノ電が並んだ駅舎も風情があります。街全体に古式ゆかしい雰囲気が漂っており、開発が進んでいる京都より好きだという人も多いかも。

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 鎌倉市図書館は、中央図書館、腰越図書館、深沢図書館、大船図書館、玉縄図書館と5つあるのですが、中央図書館は鎌倉駅から10分ほど歩いた場所にあります。

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 中央図書館には8時10分ごろに到着。しかし、開館は9時なので、館内に明かりはついていたものの人影は見当たらず。

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 そこで開館までの間、ちょっと周りを散歩してみることにしました。

 中央図書館のすぐ隣には御成小学校があるのですが、門や建物が木造でレトロな感じ。僕が通っていた小学校は普通のコンクリート造りだったので、うらやましいです。

 ただ、中央図書館のすぐ隣にあるので、子どもが図書館に逃げていたら、すぐにバレるんじゃないかと心配したり。

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 京都や浅草にもいる人力車も走っています。ただ、最短区間でも1人3000円、60分貸切だと1人1万3000円なので結構お高いです。

 物価が高めなのは鎌倉全体の特徴で、ランチは1000円以上が普通。観光客価格なのかと思ったら、不動産屋でワンルームの部屋を6万円前後(東京西部と同じくらい)で紹介していたので、観光客に限ったことではないのかもしれません。

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 謎の演歌ポスターが張ってあるのは地方都市の特徴でしょう。

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 8時50分ごろに図書館に戻ると、入り口の前に開館を待つ10人ほどの集団ができていました。内訳は半分は定年退職後のおじさん、残り半分は主婦という感じ。学校から逃げてきたのかは分かりませんが、小学生くらいの女の子も1人いました。

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 雨だからか少し早めの8時58分過ぎに開館。

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 中で写真を撮るのは控えましたが、基本的にはどこにでもあるような図書館。1階に和書、洋書、児童書などが並んでおり、2階には新聞を置いているほか、レファレンスルーム、PCコーナーとなっていました。蔵書は45万冊とのこと。

 ツイートで触れていた、マンガやライトノベルが置いてあるのは入り口左奥のエリア。6つくらいの棚に、マンガやラノベがそれぞれ500冊くらい並んでいました。僕の地元の図書館では、サブカル系の本を置いていなかったので、ちょっと新鮮な風景。

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 ラインアップをみると、ライトノベルでは『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『ソードアート・オンライン』『涼宮ハルヒの憂鬱』『デュラララ!!』、物語シリーズといった定番から、ややマイナーなものまでそろっています。

 『ロウきゅーぶ!』『のうりん』が入っているのには、ちょっと攻めてるなと思ったり。

 2000年以降の作品が中心だったライトノベルと違い、マンガは1980~1990年代の作品が中心で『名探偵コナン』『H2』『風の谷のナウシカ』『瞬きもせず』などが並んでいました。『鎌倉ものがたり』『青い花』など、鎌倉ゆかりの作品も意識して入れているようです。

 CLAMP作品が多めで『ツバサ』『聖伝』『魔法騎士レイアース』『CLOVER』があったのですが、さすがに『カードキャプターさくら』を置く勇気はなかったようです。個人的には図書館に置くなら『東京BABYLON』だと思うのですが。

 少年マンガでは『ドラゴンボール』『スラムダンク』がないのに、『るろうに剣心』『封神演義』があることからして、間違いなく30代の腐女子が選定に関わっているはずです。

 40分ほど館内を回って、入り口近くのテーブルに腰を落ち着けると、奥の方のテーブルで制服を着た中学生くらいの女の子が本を読んでいました。

 授業のない9月1日とはいえ、始業式が終わるには早い時間帯なので、親には「学校に行く」と伝えて家を出たものの、学校に行かずに図書館に来ているというパターンなのでしょうか。僕は結構学校が好きなタイプだったので、こういう世界もあるんだなと思ったり。

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 ひと通り図書館は見たので、せっかく鎌倉に来たということで観光に行くことに。鎌倉、特に江ノ電沿線はアニメの聖地が非常に多いのです。絵として映えるような昔ながらの風景が多いですからね。

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 鎌倉は本当に景観に気を遣っていて、セブンイレブンや自動販売機もほかとはちょっと違うデザイン。

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 江ノ電の車内では『鎌倉ものがたり』とコラボしたポスターが。

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 まず江ノ電で向かったのは鎌倉高校前駅。鎌倉駅から15分ほどの駅で、ホームのすぐ向かいには海が広がっています。あいにくの雨で曇っているのですが、晴れていたら良い景色になったでしょう。

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 鎌倉高校前駅のホームは『ふたつのスピカ』の唯ヶ浜駅のモデルになっています(駅入り口は極楽寺駅がモデル)。

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 そして鎌倉高校前駅を出て、すぐの場所にある踏み切りは『スラムダンク』のアニメOPに出てくる場所。

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 撮影しているのは僕のほかにもたくさんいて、後ろにさがって撮ると次のような感じ。

 日本人ではなく外国人観光客がメイン。特に中国や台湾、韓国の若者たちが聖地巡礼に来ているみたいなんですよね。

 →「スラムダンク」世代のアラサー中国人、こぞって鎌倉高校前駅へ聖地巡礼!?(マイナビニュース)

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 中には湘北高校のジャージを着ているガチ勢も。

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 そういうこともあってか、江ノ電の鎌倉駅には、東日本大震災での台湾の支援に感謝する張り紙があったりします。

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 ちなみに鎌倉高校も体育館がライバルの陵南高校のモデルになっているのですが、勝手に構内に入って写真を撮る人が増えているため、自制を求める看板を出していたりします。

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 次に向かったのは和田塚駅。ここには駅のすぐ近くに無心庵という甘味処があるのですが、すごいのはその場所。線路のすぐ脇に入り口があるのです。

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 こんな場所にありながらも、店内はなかなか雅なたたずまい。

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 ここは『青い花』で主人公のあーちゃんと杉本先輩が重要な話をした場面で使われたお店。2人が食べていたクリームあんみつを注文します。

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 そして、『青い花』の聖地でもうひとつ訪れたのが、和田塚駅から15分ほど歩いたところにある鎌倉文学館。鎌倉ゆかりの文学者の直筆原稿や手紙、愛用品などを収集保存している施設です。

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 300円の入館料を払って入ると、石造りのトンネルがお出迎え。

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 旧前田侯爵家の別邸なのですが、『青い花』で主人公たちが通うお嬢様学校・藤が谷女学院のモデルとなっています。写真を見ると、「そのままだ!」と感じる人も多いのではないでしょうか。

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 鎌倉文学館の中は撮影禁止なのですが、鎌倉ゆかりの文学者の紹介のほか、児童文学家の斉藤洋さんの特別展示が行われていました。“モダンな洋館”という言葉がぴったりで、今にも金田一少年が訪れて密室殺人が起こりそうな雰囲気(←偏見)。

 夏目漱石や芥川龍之介、直木三十五など、多くの文学者が鎌倉に住んだり、作品に描いたりしていることを紹介した展示を見ていると、鎌倉はアニメの聖地である以前に文学の聖地だったんだなと思ったり。そういう風土の土地だからこそ、図書館に逃げてもいいよという鎌倉市図書館のツイートも生まれたのでしょう。

 全然関係ないのですが、「きみのなりたいものは?」というテーマで来館した子どもがイラストを描くコーナーがあって、お花屋さんとか司書さんとか定番の回答が並ぶ中、「金のあるニートになりたい」と主張するイラストがあったのが一番印象に残りました。

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 江ノ電にはこのほかにも、『ハナヤマタ』『侵略!イカ娘』『海街diary』など、数多くの聖地があります。東京から1時間ほどで行けるので、学校や社会が死ぬほどつらい時には訪れて癒やされてみてはいかがでしょうか。

 ちなみに江ノ電には由比ヶ浜という駅もあるのですが、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』とは特に関係はないそうです。

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