官と民の癒着が問題視される天下り。実際に能力があって登用される例も多いのですが、手心や便宜を期待しての受け入れが批判されてきました。
そうしたことから国家公務員法で退職後の天下りの報告が義務付けられており、内閣官房が内容を3か月ごとに公開しています。
→国家公務員法第106条の25第1項等の規定に基づく国家公務員の再就職情報の報告(平成29年4月1日~6月30日分)
ただ、公開されてはいるものの、量が多いからか、あまりチェックされていません。そこで、官僚トップである事務次官・長官や気になったものに注目して、取り上げます。公開が3か月ごとなので、この記事も3か月ごとに作っていく予定です
▼村木厚子(厚生労働事務次官→日本社会事業大学大学院、津田塾大学、土佐高等学校、資生堂社会福祉事業財団、日本生活協同組合連合会)
2013~2015年の厚生労働事務次官。数少ない女性キャリアであるだけでなく、郵便不正事件の冤罪が認められたことで名前が知られるようになったこともあって、各方面から引っ張りだこです。
▼本川一善(農林水産事務次官→ドローン操縦士協会)
2015~2016年の農林水産事務次官。
理事に事務次官や長官などの経験者がずらりと並ぶのがドローン操縦士協会のすごいところ。重要な分野であることは確かなのですが、ここまでの豪華ラインアップだと、何かあるのかと思いたくなります。
▼岡本全勝(復興庁事務次官→慶應義塾)
2015~2016年の復興庁事務次官。2002年から運営している個人サイトがそれなりに有名です。
▼関荘一郎(環境事務次官→日本産業廃棄物処理振興センター)
2015~2016年の環境事務次官。日本産業廃棄物処理振興センターは知見を活かせそうな仕事でしょう。同センター前理事長の岡澤和好さんも環境省出身です。
▼板東久美子(消費者庁長官→三井住友フィナンシャルグループ)
2014~2016年の消費者庁長官。村木厚子さんと同じく、数少ない女性キャリアなので各方面で重宝されています
▼西出則武(気象庁長官→砂防・地すべり技術センター)
2014~2016年の気象庁長官。西出さんは理事ですが、理事長は気象庁の上にある国土交通省出身の南哲行さんが務めています。
▼池田克彦(原子力規制庁長官→MAパートナーズ)
2012~2015年の原子力規制庁長官。MAパートナーズはコンサル会社なのですが、安昌寿会長が政商のような役割を果たしているので、その関係で受け入れているのかもしれません。
▼大野恒太郎(検事総長→イオン、小松製作所、伊藤忠商事)
2014~2016年の検事総長。用心棒的な役割も期待されてそうです。
▼青柳正規(文化庁長官→山梨県立美術館)
2013~2016年の文化庁長官。文化庁長官は官僚ではなく、文化・芸術に貢献した人から選ばれます。青柳さんは国立美術館館長などを歴任してきたので、再就職先の選択肢も多かったでしょう。
▼安江真理子(財務省大臣官房企画官→電通、財務省)
電通と財務省、双方の現場に立つという結構珍しいパターンのような気がしたので、取り上げてみました。