7月2日の都議会選後、第一党となった都民ファーストの会では小池百合子氏→野田数氏、野田数氏→荒木千陽氏と、代表が短期間に2回交代しました。しかし、代表交代は代表選考委員会というブラックボックスの中で決められ、しかもそれを定めた党規約が一般公開されていないことが問題視されました。
→“ブラックボックス”な都民ファーストの会の規約を開示請求して全文公開しようとしたら問題があったので概要を説明します
→許可いただいたので情報開示した都民ファーストの会の規約を全文公開します
そういう事態を今後起こしてはいけない、党を運営するための規約が公開されていない状態で選挙が行われるのはダメなのではないか、ということで今回の衆議院議員選挙にあたり、インターネットに党規約を公開していなかった希望の党、立憲民主党、新党大地、幸福実現党、支持政党なしの規約を総務省に開示請求しました。
公約は野党だと守れなくても批判されにくいのですが、規約は野党でも守らないといけないものなので、ある意味、公約より重要な決めごとと言えるでしょう。
・衆院選比例区に候補を擁立した政党の規約へのリンク
自民党 | 希望の党 | 公明党 | 日本共産党 |
立憲民主党 | 日本維新の会 | 社会民主党 | 日本のこころ |
新党大地 | 幸福実現党 | 支持政党なし |
その後、希望の党と立憲民主党は党規約をインターネットに掲載しました。ただ、立憲民主党はウェブサイトを公開してすぐ党規約を掲載したのに対して、希望の党は衆議院議員選挙半ば以降の公開(下画像参考、10月3日のインターネットアーカイブはこちら。いつ公開したか問い合わせましたが返信いただけていません)。
→投票先の選定に当たっては、「公約」だけでなく「規約」も参考になる(おときた駿公式サイト)
都民ファーストの会の規約を東京都選挙管理委員会に開示請求した時は3営業日で開示されたのですが、今回は時間がかかり、まず9月26日に総務省に開示請求した希望の党の党規約が開示されたのは10月25日と選挙後。
Twitterでもつぶやいたのですが、党規約が怪しいか選挙時に検証できないのはマズいので、こうした性質のものは7日以内に開示を判断するといった内規にしてほしいと思ったりしました。
ある中央省庁の官僚に時間がかかる理由を尋ねると、中央省庁は東京都庁と比べて人手不足なので、どうしても開示請求は後回しになってしまうからではないかとのこと。
衆院選比例区の政党で希望、立憲民主、大地、幸福、支持なしが党規約を一般公開していなかったので(立憲民主は後に公開)、公示日前後から総務省に開示請求しているのですが、開示が投票日より遅くなることが確定した。総務省さん、党規約が怪しいか選挙時に検証できなくてもいいんでしょうか・・・? pic.twitter.com/cC9C1g8Oa6
— すずき@池袋ハロウィンコスプレフェス (@michsuzu) 2017年10月20日
▼公示日前日、設立2週間で党規約を改定。権限のない共同代表と代表代行を追加
希望の党の規約を全文公開するにあたっては、著作権の問題があるので、希望の党の問い合わせフォームや電話で確認したところ、「結党直後でバタバタしていて担当もいないので即答できないが、問題があればお伝えする」とのことなので全文公開します。何かあれば、ご連絡いただければありがたいです。
ページの最後に党規約のスキャンを掲載したのですが、実は希望の党ウェブサイトに掲載してある党規約と内容が異なっています。
なぜか? それは希望の党は設立早々、10月9日に党規約を改定しているからです。改定したのは第7条と第8条。
第7条 2 役員会は、後記に係る、代表、幹事長、ガバナンス長、政策調査会長、国会対策委員長、参議院議員団代表及びその他役員会で了承を得た者で構成する。権限や任期等については組織規則で別に定める。
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第7条 2 役員会は、後記に係る、代表、共同代表、代表代行、幹事長、ガバナンス長、政策調査会長、国会対策委員長、参議院議員団代表及びその他役員会で了承を得た者で構成する。権限や任期等については組織規則で別に定める。
第8条 本党に、1名以上の代表を置く。代表には国会議員以外の者を就かせることができる。
2 代表を複数置く場合は、各代表が党を代表する。↓第8条 本党に、代表を置く。代表は、党を代表する最高責任者とし、国会議員以外の者を就かせることができる。
2 国会議員以外の者が代表に就任したときは、代表の指名により、代表補佐の役割を担う共同代表を二人まで置くことができる。共同代表が一人の場合、その者が国会内で党代表としての任に当たり、二人の場合は、代表の指名により、そのうちの一人がその任を担う(追加)。3 代表の指名により、本党に代表代行を置くことができる。代表代行は、共同代表との協調の下、代表を補佐する(追加)。
規約改定で追加されたのは共同代表と代表代行についての項目。共同代表は“共同”とありますが、日本維新の会と同じく、代表補佐の役割で国会内での党代表。代表の下に位置付けられます。
なぜ結党からわずか2週間後の10月9日(しかも体育の日で祝日)に規約を改定したのか。これは10月10日の衆議院議員選挙公示日が関係しているはずです。
つまり、小池百合子都知事が衆議院議員選挙に出馬しないことになったので、追加したのでしょう。逆に言えば、出馬を否定しながらも、規約を作った段階では出馬するつもりだったのではないかと推測できます。
→小池百合子氏、衆院選への不出馬を強調「ラブコールあったが出ない」 (HUFFPOST)
もちろん、党を結成して党運営に滞りがあったことから、共同代表や代表代行追加の必要性を感じたとの見方もできます。しかし、知事が代表を務める例は日本維新の会でもありますし、それに気付かず国会内での党代表を設けない規約を作ってしまったのなら、かなりのドジっ子と言えるでしょう。
党規約ではやたらとスカイプを推していたり、ガバナンス長という聞きなれない役職を規定していたりしていて結構面白いので、ぜひご一読いただければ。
11月中に共同代表選が行われるのですが、規約的にはその選挙で選ばれた共同代表が権限を持たず、選挙で選ばれたわけではない小池百合子代表の下に位置付けられることもポイント。小池代表は辞任しなければ、3年間、代表を続けられます。これは他党から合流した勢力に党が乗っ取られないようにすることを防ぐ目的があるので、仕方がないのかもしれないですが。
ただし、近日中に党規約は再改定するそうです。選挙後は野党のバタバタが目立ちますが、健全な野党がないと与党が緩んでしまうので、ちゃんとやってほしいですね。
→希望の党11月中に共同代表選、首相指名は渡辺周氏(日刊スポーツ)
同じくインターネットに党規約を公開していない新党大地、幸福実現党、支持政党なしも、開示請求が通って(10月11日ごろ見込み)、各党に公開してもいいか確認した後、全文公開できればと考えています。
▼設立時(9月25日)の党規約全文