7月2日の都議会選後、第一党となった都民ファーストの会では小池百合子氏→野田数氏、野田数氏→荒木千陽氏と、代表が短期間に2回交代しました。しかし、代表交代は代表選考委員会というブラックボックスの中で決められ、しかもそれを定めた党規約が一般公開されていないことが問題視されました。
→“ブラックボックス”な都民ファーストの会の規約を開示請求して全文公開しようとしたら問題があったので概要を説明します
→許可いただいたので情報開示した都民ファーストの会の規約を全文公開します
そういう事態を今後起こしてはいけない、党を運営するための規約が公開されていない状態で選挙が行われるのはダメなのではないか、ということで10月22日投開票の衆議院議員選挙にあたり、インターネットに党規約を公開していなかった希望の党(後に公開)、立憲民主党(後に公開)、新党大地、幸福実現党、支持政党なしの規約を総務省に開示請求しました。
投票日までに開示請求は認められなかったのですが、10月31日に希望の党の党規約の開示請求が通り、本日、残りの政党の開示請求も通りました。
→小池百合子都知事は衆議院議員選挙に立候補するつもりだった!?――一般公開していない希望の党設立時の規約を開示請求して分かったこと
・衆院選比例区に候補を擁立した政党の規約へのリンク
自民党 | 希望の党 | 公明党 | 日本共産党 |
立憲民主党 | 日本維新の会 | 社会民主党 | 日本のこころ |
新党大地 | 幸福実現党 | 支持政党なし |
規約の全文公開については著作権の問題があるのですが、支持政党なしについては10月17日、秋葉原で街頭演説をしていた佐野秀光代表に確認したところ、「大丈夫です」との言葉をいただいたので、支持政党なしの党規約を全文公開します。
最新の第2版はテキストに起こしたのですが、第1版はスキャンした画像を張りつけています。一部誤字があるのを直すか迷ったのですが、そのままにしました。
特徴的なのは第6条。党員は、党の運営する法案の賛否参加システムへの参加権を持つというもの。この賛否参加システムの結果に応じた割合で、所属議員が票を投じるのです。支持政党なしはまだ議員がいないので実行される機会はないのですが、著名な思想家も提唱している仕組みなので、実現されたらどうなるか興味深いところ。
一方、気になるのが第10条の代表選考のあり方。都民ファーストの会では選挙によらない密室での代表選考が問題になりましたが、支持政党なしは「代表職は前代表の指名により選任」と密室どころの話ではありません。
ただ、主体的に活動を行っているのは現代表だけで、議員もいないので、創業期の政党としてはこういう仕組みでいいのかもしれません。党員1人で代表選挙を行うのもおかしな話ですし。政党の規模が大きくなったら、ここをどう改定するかが焦点となりそうです。
残りの新党大地と幸福実現党の党規約の全文公開の可否については、これから問い合わせる予定です。
▼「支持政党なし」党則(最新の第2版、2016年5月23日~)
●前文(基本理念)
日本国憲法前文は国民の代表者が権力を行使するものとし、国民は「正当に選挙された国会における代表者を通じて」行動すると述べて、議会制民主主義を採用することを明らかにしている。議会制民主主義が本当に民主主義として機能するためには、代表者(議員)の構成が民意を正しく反映するものでなければならない。しかし現在の日本の選挙制度では、支持する政党及び候補者がないとしても支持政党なし、該当者なしという選択肢がない為に、仕方がなく消去方的な選択肢の中で、どこかの政党や候補者を選ばざるを得ない。その為、選挙結果は本当の意味での民意が反映されているとは言えない状況である。したがって、国民の意思を可能なかぎり反映できるような選挙制度こそが最も重要であり、よって我が党では、敢えて「支持政党なし」という選択肢を作ることにより国民の合意による政治という民主主義の理念を実現させようとするものである。
●支持政党なし、該当者なしの民意が反映される社会の創設
■第1章 総則
第1条(名称) 本党は、『支持政党なし』と称する。
第2条(所在) 本党の本部を、東京都大田区蒲田4-22-2におく。
第3条(目的) 本党は、前文に掲げた基本理念を実現することを目的とする。
■第2章 党員
第4条(資格) 本党の党員は、選挙権を有する満18歳以上の個人、又は団体であり、本党の目的に賛同し、本党則に定める党員義務を忠実に履行する者を以て党員とする。
第5条(入党) 本党に入党しようとする者は所定の入党申込書を提出し、審査を受けなければならない。入党の可否判断の権限は全て、代表がこれを有する。
第6条(権利) 党員は、以下に掲げる権利を公平に有する。
1.党の運営する法案の賛否参加システムへの参加権。
2.党の主催する政治活動への参加権。
3.党の主催する政治活動又は出版物を通じて、党の活動に関する自由な討議に参加すること
第7条(義務) 党員は、以下に掲げる義務を公平に有する。
1.党則を遵守し、本党の理念を普及実践すること。
2.新規入党党員を教育・指導すること。
3.新規入党党員の民意を、党に伝達すること。
4.党費を納入すること。
第8条(離党・除名) 以下に該当するとき、直ちにその党員資格を失う。
1.党員自ら、離党届けを提出した場合。
2.本党則に反する行動をとったと認められる場合。
3.党費を、滞納した場合。
4.その他、代表がその権限において、党員として相応しくないと判断される場合。
■第3章 執行機関
第9条(役員) 本党に、以下の役員を置く事が出来る。
代表(党首)(1名)
副代表(若干名)
顧問(若干名)
事務局長(1名)
会計責任者(1名)
第10条(任期及び、選任) 役員の任期を、2年とする。但し、再任を妨げない。
代表職は、前代表の指名により選任され、ほかの役員を指名する。
第11条(その他の役職等) 代表は、必要に応じて、その他の役職、並びに党機関を設置することができる。
■第4章 政治活動
第12条(事業活動) 本党の目的を達成するために、以下の事業活動を行う。
1.講演会・研究会等の開催
2.機関紙等の印刷物の発行。
3.その他、目的達成のために必要な事業。
■第5章 会計・その他
第13条(会計) 本党の会計年度は、毎年1月1日より、12月31日とし、その経費は、別途定める所定の党費、寄附金等をもってあてる。
第14条(党費納入) 党費は、毎年本党が定める期日迄に納入するものとする。党費を滞納した場合は、自動的に離党したものとみなす事が出来る。
第15条(その他) 本党則とは別に、党員規約など幾つか定めるが、全党員は、すべてそれらの規約、規定を遵守しなければならない。
本党則に記されていない事項については、全て代表がこれを決する。また、本党則は、必要に応じ随時、補足改変されることがある。
■付則
本党則は、平成28年5月23日より施行する。
▼「支持政党なし」党則(第1版、2013年7月1日~2016年5月22日)
設立時の規約が現在と異なっているのは第4条のみ。2016年に18歳選挙権が実施されたことにより、党員資格を20歳から18歳に引き下げています。