官と民の癒着が問題視される天下り。実際に能力があって登用される例も多いのですが、手心や便宜を期待しての受け入れが批判されてきました。
そうしたことから国家公務員法で退職後の天下りの報告が義務付けられており、内閣官房が内容を3か月ごとに公開しています。
→国家公務員法第106条の25第1項等の規定に基づく国家公務員の再就職状況の報告(平成29年7月1日~9月30日分)
ただ、公開されてはいるものの、量が多いからか、あまりチェックされていません。そこで、官僚トップである事務次官・長官や気になったものに注目して、取り上げます。公開が3か月ごとなので、この記事も3か月ごとに作っていく予定です
▼菅原郁郎(経済産業事務次官→内閣官房)
2015~2017年の経済産業事務次官。大物次官で知られ、若手官僚がまとめた報告書にも関わるなど、幅広く活動したことから退任直後に内閣官房に登用されたのでしょう。
→「この世の春」でも漏れる大物経産次官の嘆声(日経ビジネスオンライン)
→経産省若手官僚5人が語り合う「私たちが、あのペーパーで伝えたかったこと」#1(文春オンライン)
▼齋木昭隆(外務事務次官→中東調査会)
2013~2016年の外務事務次官。小泉純一郎政権の官房副長官だった安倍晋三首相と拉致被害者の帰国に取り組むなどした大物次官。赴任地に中東はないようにみえるのですが、大物次官ということで中東調査会に理事長に取り立てられるのは妥当でしょう。
▼村木厚子(厚生労働事務次官→SOMPOホールディングス、住友化学、モバイル・コミュニケーション・ファンド)
2013~2015年の厚生労働事務次官。数少ない女性キャリアとあって、幹部の女性比率を高めたい企業などから引っ張りだこ。ちょっと受けている量が多すぎるので、仕事がこなせているのか心配です。
▼本川一善(農林水産事務次官→全国農業協同組合連合会、インターリスク総研)
2015~2016年の農林水産事務次官。全国農業協同組合連合会の経営管理委員会には会長1人、副会長2人、経営管理委員17人がいるのですが、次官経験者がヒラの経営管理委員というのはちょっと低い役職なんじゃないかという気もします。
▼土屋定之(文部科学事務次官→科学技術振興機構)
2015~2016年の文部科学事務次官。天下りあっせん問題で処分を受けたのですが、科学技術振興機構に天下りするにあたってはいろいろ言われていたりします。
→「天下り問題」で処分された元文科次官が、こっそり天下りしていた!(現代ビジネス)
▼関荘一郎(環境事務次官→日本産業廃棄物処理振興センター)
2015~2016年の環境事務次官。
▼池田克彦(原子力規制庁長官→日本道路交通情報センター、テレビ朝日)
2012~2015年の原子力規制庁長官。反原発寄りのテレビ朝日が登用しているのは、政治的な匂いを感じますね。
▼板東久美子(消費者庁長官→日本司法支援センター)
2014~2016年の消費者庁長官。村木厚子さんと同じく、数少ない女性キャリアなので各方面で重宝されています
▼佐々木敦朗(消防庁長官→救急振興財団)
▼久保公人(文部科学省スポーツ・青少年局長→コナミホールディングス)
ジムなど健康スポーツ事業が大きくなっているコナミ。東京オリンピックが近づいていることもあって、官庁のつながりも強化しているのかもしれません。
▼手塚文哉(大阪矯正管区長→エームサービス、小学館集英社プロダクション)
大阪矯正管区長は近畿地方にある刑事施設・少年施設を監督するトップ。そこから小学館集英社プロダクションへの転身というのはかなり意外に思えたのですが、少年院がテーマの作品の監修などに携わったりするのでしょうか。