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ちょっと不思議が集まる“あったら良かった”青春――穂史賀雅也著『暗闇にヤギを探して』

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 こんにちは、すずきです。最近、少し昔のラノベを読んでいるのですが、予想外に心が動かされた作品があり、Twitterで「#推しのラノベ1作だけ選べ」というハッシュタグも見かけたので、ここでオススメしておきます。

 それは穂史賀雅也さんが書いた『暗闇にヤギを探して』(MF文庫)。1巻は2006年刊なので10年以上前の作品。同年には『とらドラ!』『狼と香辛料』(電撃文庫)、『“文学少女”シリーズ』(ファミ通文庫)といった有名作品がスタートしています。

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 『暗闇にヤギを探して』の主人公・草加合人は高校1年生の男の子。ある日、机にしまっていたノートがなくなり、代わりに「ごめんなさい。おいしかったです」という手紙が入っていたことから物語は始まります。

 僕は理解した。

 食べられたんだ。僕のノートは食べられてしまったんだ

(1 たぶん正しくないヤギの飼い方)

 なぜノートはなくなるのか、犯人は何者なのか・・・。ノートをめぐり、主人公と“ヤギ”との奇妙な文通が始まります。

 僕はいろいろ思案した結果、ヤギのためにノートを置いて帰ることにした。

 僕のノートが食べられないとヤギだってお腹をすかせて困るだろうと思ったのだ。

(1 たぶん正しくないヤギの飼い方)

 登場人物はツンデレ生徒会長、いつも着ぐるみ姿の暴力的な幼馴染み、ちょっととぼけたお姉さん、弱小同好会を設立する友人・・・とテンプレっぽい設定。

 「ところで風子、今日のシマウマの着ぐるみはあんまり似合ってないよ」

 「シマウマじゃなくてパンダよ!」

 「シマウマとパンダの着ぐるみってどう違うの?」

 「あんたそんなことも知らないの?笹竹を好んで食べるのがパンダ。好んで食べないのがシマウマよ。これ試験に出るから覚えておきなさいね」

 (2 暗闇に向かって手をのばせ)

 物語は“世界をかけた戦い”といったラノベにありがちな展開ではなく、あくまで日常生活が舞台。なぜか主人公がモテモテといったラノベにありがちな展開ではありますが・・・。

 とはいえ「あったらいいな」と思える青春、“ちょっと不思議”が積み重なる中での、淡々としたやり取り、丁寧に描かれるエピソードから漂う切なさが魅力的でした。

 『暗闇にヤギを探して』は全3巻。タイトルの意味は1巻で回収されるのですが、奇妙な心地良さは最終巻まで続いていくので、ぜひ読んでほしいです。