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「昭和→平成」改元の裏でどんな手続きや発言があったのか? 内閣法制局&内閣府から開示された政府資料を全公開します

 2019年5月1日に予定されている改元。その1カ月前の4月1日には、新元号が公表されます。

 どんな元号になるのか、新元号に合わせたシステム改修は大丈夫なのか・・・と話題ですが、個人的に気になっているのが「以前の改元の時はどうだったのか」ということ。

 各報道機関が官庁に開示請求をかけるなどして、断片的に報道されていたりはするのですが、一次資料が提示されない報道がほとんどなので、全体像が見えません。

新元号 昭和からの改元日5案 逝去前に政府検討 当日午前0時や翌年元日(毎日新聞)

 そこで個人でも開示請求はできるので、僕も内閣法制局や内閣府に開示請求してみることにしました。

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 申請から1カ月後に開示された資料をみて分かったのは、コンピュータ普及前の30年前は、解読しがたい手書き資料も多いということ。報道機関が一次資料を出さない背景には、これもあるのでしょう。

 なお、「平成」という元号に決まるまでの、具体的な選考過程についての資料は、まだ開示できません。

改元の公文書 公開して国民議論の基に(信濃毎日新聞)

 開示された公文書は全てを最後にまとめて掲載しているのですが、文字が読みにくい資料については、僕がある程度、書き起こしています。また、個人情報かもしれない電話番号は隠しました。

 参考までに、昭和→平成の改元関連の出来事の時系列は次のとおり。

1979年6月6日 元号法成立

1979年10月23日 閣議報告「元号選定手続について」

1984年6月29日 「元号選定手続について」一部改正

1989年1月7日 6時33分に昭和天皇崩御、その後「元号を改める政令」公布

1989年1月8日 「元号を改める政令」施行、新元号「平成」開始

 ざっとポイントを紹介すると、↓が平成の元号を閣議決定した時の資料。

 閣議資料だけあって、用紙や印鑑にも重々しさがあります。f:id:michsuzuki:20190319132835j:plain

 開示資料は内閣法制局からのものと、内閣府からのものの2種類があります。

 内閣法制局の資料は手続的なものが多め。「公布と施行のタイミング」「天皇崩御の際の元号変更手続きの流れ」「官報の掲載方法」「予算の年度表示や既存法令中の昭和の年号をどうするか」などが論じられています。「法令は官報に掲載された時点で公布」となるのは初めて知りました。

 内閣府の資料は、実際の元号選定手続や要人談話がメイン。総理大臣談話は動画では残っているので、原文もネットに載ってるかなとググったのですがヒットしなかったので、結構貴重な資料かも。首相官邸公式サイトでも、1994年の村山富市総理以降の資料しか掲載していないので。

 1989年1月7日の「元号を改める政令」が閣議決定された際の官房長官発言で、「関係資料が整い次第、私が記者会見において説明することにしたいと思いますが、恐縮ですが記者会見が始まるまでの間、閣僚応接室にてお待ちいただきたいと思います」と、マスコミリークを防ぐために閣僚が足止めされてるのが、個人的には面白かったです。

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 というわけで、以下、開示された資料をご覧いただければ。

内閣法制局

■「元号を改める政令案」閣議資料

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■改元政令案の内容と問題点

1 政令事項

 元号法の制定当時の立案資料及び同法の法案についての国会の質疑によれば、改元政令において定める(決める)べき事項は、次の二点である。

 ①新元号の名

 ②改元の時期すなわち改元政令の施行期日

 

2 新元号の決定について

 元号法の制定当時、同法に基づく改元政令により新元号を定めるには、昭54.10.23付け閣議報告「元号選定手続きについて」(以下「所定手続」という。)により新元号の名を選定した上、これをもって改元政令の内容とする手はずを踏むこととされており、この手はずは、その後変更されていないのみならず、その後の内閣は、所定手続によってその選定を進めることをその基本的態度としている。

 所定手続は、新元号の名の実体的相当性に関する「選定基準」と内閣の権限行使の手続的相当性を担保するための「手続段取り」とから成るものであるが、このような所定手続は、元号法が新元号の決定権を内閣に委ねた以上、法律上絶対不可欠のものではない(換言すれば、仮に現実の選定作業に所定手続の内容に適合しないところがあっても、直ちに違法とはならない)が、内閣の裁量(その職権行使の相当性)についても、可能な限り、妥当なものとなるように、実体的及び手続的な基準(運用基準)を設定したものであり、要するに、政治的批判又は歴史的評価に対しても、可能な限り、具体的に耐えられるものを目指そうとしているものと理解される。

 以上のとおり、所定手続は、元号法の規定・趣旨を前提とする限り、内閣の権限行使の基準として特に不当を目すべきところが見当たらないので、この所定手続にのっとって選定される新元号の名については、政令案審査としては、憲法及び法律の規定に反する観念を表象する文言を用いる等の特段の事情がない限り、その内容的な検討ないし詮索を要しないものと解される。(注)

 

3 改元政令の名称について

 元号法附則2項により、昭和の元号は、同法の本則1項の規定に基づき定められたものとみなされており、かつ、元号は皇位の継承があった場合に限り改めることと定められている(同法本則2項)から、今回の天皇の崩御すなわち皇位の継承があった場合に制定する政令の内容は、「元号を改める」ことに他ならない。つまり、改元政令の名称を「元号を改める政令」とする所以である(この名称も、元号法の制定当時から、想定されていたものであって、今回特にこれを変更すべき格別の事情の変化を認めない。)。

 

4 改元政令の本文(本則)の内容

 元号法制定当時の想定によれば、本文は、「昭和の元号は、〇〇に改める。」というものであった。

 ところが、その後具体的に天皇崩御を想定した上での諸般の作業についての検討を進める中で、「昭和の元号」とわざわざ言うまでもない(現在(改元前)における元号は昭和しか存じない。)ことをふまえて、

 A案「元号を〇〇と改める。」

 B案「元号を改めて〇〇とする。」

の二案が検討された経過があり、当局の当時の第一部長及び第二部長は、内審に対し、A案を基本的な規定ぶりとすることを了解していた。

 今回、内審がA案に従って政令案を用意したが、長官室における審査(長官、次長、二部長及び担当参事官出席)で、

 「元号を〇〇に改める。」

と表現することとされた(「改める」の語を用いるとすると、「「…」を「…」に改める」という通常の改正規定の表現にならうべきかとの意見、「「…」とする」とか「「…」と読み替えるものとする」とかの表現にみられるように「と」を用いるのは「改め」た後の結果を前提としつつ更に特定のニュアンスを含めて規定する場合になるのではないかとの意見等があった。)。

 

5 施行期日について

 施行期日については、元号法の趣旨である一世一元の原則と国民生活への影響の重大性とにかんがみ、同法の制定当時の見解としては、「皇位の継承があった場合、事情の許す限り速やかに新元号を定める」べきものとか、「施行の時期は政令で定められる。一番早い時期は公布された時点」が考えられるとか、しかしながら「一日が交付の時点を境として二つの元号に分かれることになる」のもいかがかと思われるとか、翌日改元とするかどうかは「国民感情その他諸々の事情を考慮して決定する」とかという答弁が記録されているものの、明確な結論が出ていなかったようである。

 その後の検討において、①公布即施行遡及適用(元旦まで、崩御日の午前零時まで又は崩御の時刻まで)、②公布即施行(不遡及)、③公布の翌日施行(翌日改元)、④踰月改元(翌日(筆者注:翌月のミス?)1日施行)、⑤踰年改元(翌年元旦施行)の各方法について議論され、②と③とのいずれによるかに論点が収れんし(①では、政令の公布文に付すべき日付けが書けない等の根本的な論理矛盾あり。)、更に②も、「公布」が何時となるかはそれが規範的概念でもあって一般には、直ちにその時刻がわからない(従って「公布の日から施行する」という規定も同様に、具体的な意味がわからない)欠点を免れず、その欠点の結果、人の出生時刻その他法律生活上の事実の特定表記(例.戸籍簿等)に混乱を生ずるという弊害を生ずるため、おおむね、③を基本的立場とすることが了解されていた。

 今回(昭63.9下)においては、この③による案が内審の政令案とされており、これについては特段問題がない(③から⑤までのいずれの案も違法ということにはならないことを当然の前提としつつ)とされた。

 ところで、9月中の危機的なご容体が何とか切り抜けられ、12月に至った段階で、もし、崩御が年末に生じた場合になお既定の方針どおり翌日改元とするか、踰年改元に切り替えるべきかを検討することがあったが、大正から昭和の改元の例にもあるとおり、12月25日以前の崩御の場合にはその崩御が現実のものとなる直前にいかにすべきかを決すべきものとした(その「現実」がまだ生じないうちに昭和63年が暮れた。)。

 

(注)「元号選定基準」のうち、「これまで元号又は追号として使用されたものでないこと」については、日本の元号のほか、中国及び朝鮮その他の中国にその範を求めた東南アジア諸国の元号との重複が問題となり、かつ「俗用されていないこと」については、日本、中国等における地名、氏、会社の商号等との重複が問題となり得るが、これらの重複があっても、それは新元号が違法となる事由とはならないことを確認した上、なお、妥当性の問題としては、その重複の防止は、内審が新元号の名を事前には(候補名としても)全く審査の対象としない態度である以上、挙げて内審の責任(行政運営上の)に帰するものであることを、内審の担当審議官に告知した(新元号の名を有識者の意見等を聴いて選定し、全閣僚会議で了解を得たのちようやく閣議請議案を作り、これを審査する時点ではじめて法制局としてその名を知り、しかも、審査を10~15分間に終わることを期待して政令決定閣議をセットするのであれば、その重複の防止については法制局が全く責任を負いかねることは明白である。)。

 なお、元号といえどもこれを漢字で表記するというのであれば、常用漢字を用いるべく、かつ、その字体も常用漢字表に掲げられているものであるべきことは、法制局が当然審査すべき事項である。

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■元号称呼の内閣告示の法律的性質について

 公の機関たる内閣が閣議決定した改元政令による新元号のとなえ方(呼び方)を公式に広く一般に知らせる行為である。

 内閣が告示を発することについては、法律又は法律に基づく命令には直接の規定がないが、国行組法14条1項の規定において各行政機関に告示を発する権限があることが認められているように内閣自体にも同様の権限があることはこれを否定すべき理由が見当たらない。

 現実に内閣制度が設けられて以来、ひん繁に内閣告示が発せられており、現行憲法施行後も内閣の職務の範囲が拡大したことに伴い従前以上に多種多様の事項について内閣告示が発せられている。

 いずれにせよ、この告示には設権的、創設的な性質はなく、元号が「読みやすい」ものであることという基準に従って選定されたものであり、かつ、政令で定めたとなえ方と異なる読み方が生じては不都合であることに基づいて、内閣がその称呼の方法を「公示をする必要がある」と認めて発するものである。

■(問答)

問 元号の読み方は、内閣告示によってはじめて定められるものか。

答 元号は、年の表示方法としての暦年の称号であるから、そのとなえ方をも含めて、改元政令で決められているところであるが、政令を含む法令の一般的な表現方法としては特別の場合を除き読み仮名を付さないのが通例となっており、改元政令でも、この通例に従い、読み仮名を付していない。しかしながら、元号の読み方は、国民一般が平易、明瞭かつ迅速に知る必要があるので、改元政令の制定を行った内閣が、その告示をもって、新元号に用いられている漢字に逐語的に平仮名を対応させる方法により、その読み方を公示することとしたものである。

(斜線入り)昭63.9 問 内閣告示が「元号を改める政令・・・の規定により定められた元号の読み方は、次のとおりとする。」と規定しているのは、この告示で元号の読み方が定められることを示しているのではないか。

答 規定中の「・・・とする」の文言は、元号の正規の読み方を、「次のとおり」の逐語的な読み仮名によるものと明示するという意味である。

昭63.10 「次のとおりとする」では創設的なニュアンスが強いので、「次のとおりである」と事実報告的な表現とすることに改めた。

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■法令を夜間に発行する官報号外に掲載する場合における当該法令の公布の時点について

1 印刷局官報課における通常の閲覧時間又は官報販売所の通常の販売時間からはずれた時間帯に官報の閲覧又は販売が開始された場合には、次の通常の閲覧時間又は通常の販売時間が始まる時点をもって公布の時点とするのがこれまでの当局の先例である(別紙1参照)

2 今回、元号を改める政令の公布については、

(1)元号法によれば、元号を定めるのは政令であり、内閣の専権とされていること、

(2)改元は、皇位の継承の後、「事情が許す限り速やかに」行うべきことが司法の趣旨であること、

(3)当該改元政令の施行期日は、国民生活上の混乱をできる限り避けるため、公布の日の翌日とされていること、

(4)内閣においては、崩御後直ちにその旨を発表し、その事態に対処するため緊急閣議を開いて協議し、その閣議後直ちに官房長官が内閣の方針につき記者会見して、当日中に改元政令を掲載する官報号外を発行し、官報販売所において一般の購読に応ずる予定(種々の会議の開催等この記者会見後に予定されている改元のための手続がすべて円滑に進行することをその前提条件とするものであり、このことを付言したものとならざるをえない。)であることを発表し、これをもって国民に当該改元政令の公布についての予告を行い、更に、元号を定める政令の閣議決定(成立)後直ちに官房長官が再びその政令の成立、政令の内容、公布の日付、その公布が上記の予告どおりに行われるべきこと、そしてその政令の施行期日等を記者会見において公表すること(以上の段取りについては、別紙2参照)

(5)(4)の発表及び公表がラジオ、テレビ、新聞等の報道により現実に国民に知らされたこと、

(6)現実の官報号外の閲覧及び販売の開始が以上の予告及び公表の内容に沿って(大差なく)実施されること、

等の事実により、夜間に発行する官報号外に掲載する方法による場合であっても、その号外の閲覧および販売が当日最初に開始された時点をもって当該改元政令の公布があったと認められる。すなわち、その時点には当該改元政令が「一般国民の知り得べき状態」に置かれたものということを妨げないのである。

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■手続予定(想定)

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■官報掲載について

1.(崩御の日の)夜10時までに最終稿を持ち込めば、当日中に公布可能(但し、原稿を事前に示してもらうことが前提)。

(注)その場合には、崩御の翌日から施行となる。夜10時を過ぎた場合は、公布は崩御の日の翌日となり、施行は翌々日となる。

2.土、日、休日でも平日と同様に対応する。

3.連絡先は別添。

 山本官報課長(直)(個人情報のため非開示)

       (自)(個人情報のため非開示)

4.但し、1.2.の特別扱いをするには、総理府総務課の指示が必要(9/20、総務課小池補佐に説明済)。

5.政令については、陛下の署名が必要。通常だと急いでいただいても数時間かかる。特別なので宮内庁に相談する必要がある(総務課)。

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■官報の販売時間について

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■官報特1~3号

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■改元に伴う法令事務上の諸問題

1 改元と法令番号の更新

2 改元前に署名済みで改元後公布するものの公布文中の年月日の表示は新旧いずれの年号にするべきか

3 いわゆる「空番号」の後始末

4 予算の年度の表示

5 既存法令中の昭和の年号の後始末

6 (今のうち特に法律に関して)

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■改元後に公布する法令等の番号について(案)

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■改元後の法令番号更新の原則を今回も継続することとして、その原則の応用上生ずべき問題&改元後に公布する法令等の番号について

1 改元政令の施行期日が公布日である場合

(1)その公布日の官報の日付けはどうなるか(官報の本号の印刷は前日午後に刷り上がり、夕刻に全国向け配送を開始するが、前日崩御、改元政令の閣議決定も前日という場合にその配送を差し止め、刷り直すことができないときはどうするか。)。

(2)改元政令を掲載する官報(号外)の日付けはどうするか(前例として、改元詔書を掲載した号外は、旧元号による日付けとなっている。)。

(3)(1)の括弧書きの事態においては、当該官報本号に掲載して当該公布日に公布する他の法令の法令番号は新元号に依る法令番号に更新する必要はなお残るか(後に「正誤」で更新するか。)。

(4)改元政令、元号称呼告示の公布文中の日付けはどうか。

2 改元政令の施行期日が公布日の翌日である場合、その改元政令の公布が崩御日中の夜間遅く(夕刻よりも後の時間帯)になる場合において、上記1(1)から(4)までの問題はどうなるか。

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■法律又は政令で国事行為としての公布の署名が改元前に行われ、公布(官報掲載)が改元後となる場合の対応

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■改元前に公布の奏上があった法律を改元後に公布する場合、同法で引用している法律の法律番号の空白の取扱いについて

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■問題の所在

 「空白」の意味(立法府の法律公布権者への委任の趣旨及び限度)が何か。

 その意味を、各議院(具体的には議長か、議運か、事務総局議事部が)がどのように理解して(内閣の理解と同一に理解して)いるか。

■処理の方法

①法律公布権者(助言と承認をする内閣)において「昭和六十三年法律第 号」を「□□元年法律第△号」に書き直す。

②「昭和六十三年法律第 号」を正誤で「□□元年法律第 号」に訂正(「原稿誤まり」とする。)した上、続いて「□□元年法律第△号」と埋める。

③「空番号」のままほおっておき、後に法律改正により直す。

■12月上旬における一応の結論(12/12に部長の言明あり。)

 上記①~③のうちいずれにするかは、今は「つめない」(空番号のある法案の処理をめぐり、院内では与野党の対立が深刻であり、この問題を提示すると、その対立が更に混迷するおそれ大なり。)。しかし、大筋としては、③によることとし、Xデーが直ぐきて、この問題が現実化したときは、当該法律の審査をした部で「つめた」検討をする。

■Xデーが昭64.1.7となり、問題の例が存在しなくなったため、解決を迫られるに至らなかった。

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■「平成元年分」の表現はどうすべきか

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■改元に伴う予算等の取扱いについて

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■関連法制

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■「明治→大正」「大正→昭和」改元時の手続き

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■改元後の年月日(年度)を昭和で表示している法律の改正方法について&改元に伴う既存法令の措置について

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内閣府

■官報掲載について&内閣告示案

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■元号法の成立に当たつて(昭和五十四年六月六日 三原総理府総務長官談話)

 本日、元号法が国会の議決を経て成立した。

 担当大臣として心から喜ぶとともに、これまでにこの法案の成立のために各方面から寄せられた熱心な御支持に対し深く感謝の意を表する。特に国会審議に当たり各党の関係者がこの重要法案の慎重な審議と円滑な議事運営のために示された多大のご尽力と御協力に対し厚く御礼申し上げる。

 昭和という元号は、昭和二十二年五月に現行日本国憲法施行に伴つて旧法制が廃止されて以降今日まで、法律上の根拠を欠いたまま事実たる慣習として用いられてきたが、元号法の成立により、この法律に基礎を置くものとなつた。また、同時に、将来における改元の基本的なルールが明確になり、我が国独特の年表示の方法である元号制度の存続は確実なものとなつた。元号法成立の意義は極めて大きいと考える。

 この法律は、①元号は、内閣が政令の形で定めること、②それは皇位の継承のあつた場合にだけ改元すること、の二点であり、元号の使用の問題については、何も規定していない。したがつて、一般国民は、これまでと同様に今後も、元号、西暦を自由に使い分けていただいて結構である。

 一方、公的機関の事務について言えば、これまでも年の表示には原則として元号を用いてきたところであり、この慣行は、今後も当然続くものと考える。公的機関の窓口業務においては、これまでも届出等の書類の年表示には元号を用いるよう国民の方々の御協力をいただいてきたところであるが、この点については今後も公務の統一的な事務処理を円滑、迅速に行うために、引き続き国民各位の御理解と御協力を要望する次第である。もとより、これはあくまでも協力要請ということであり、西暦で記入されたものも適法なものとして受理されることはいうまでもない。私は、この問題については、公的機関の窓口業務に関与する職員の的確な理解と良識ある行動の下に、従来同様今後とも円滑に事務処理が行われることを確信し、期待するものである。また、国会審議の過程で示された貴重な御意見、国民から寄せられた種々の御意見を十分参考にして、法の運用に誤りなきよう、慎重に配慮してまいる所存である。

 千三百年にわたる歴史を有する元号は、単に年を表示する手段として便利であるというだけでなく、長い歴史の過程の中で日本人の心情に溶け込み、日本国民の心理的一体感の支えにもなつていることは、一般に指摘されているところである。私は、こうした国民の元号に対する心情と認識は将来も保持されると同時に、西暦も便宜に応じて併用され、日本国民の持つ優れた叡知と良識とによつて、変転きわまりない国際社会の中で、個性ある文化、伝統を生かしつつ、世界の動きとの調和が図られ、問題が解決されて行くものと確信する。
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■元号の読み方に関する内閣告示について&内閣告示案(ポイントだけ空白版)

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■新しい元号選定手順についての内閣官房長官説明要旨(昭和六十四年一月七日 第一回臨時閣議後記者会見)

一 この度の皇位の継承に伴い、政府においては、「元号法」の規定に基づき、昭和にかわる新しい元号の選定を行うことになります。その手続については、「元号選定手続について」(昭和五四年一〇月二三日閣議報告)が定められておりますが、政府が新しい元号を決定するに当たり、学者や専門家の方々に元号の案の考案をお願いし、さらに、各界の有識者の方々の御意見も参考とすることが適当であると考えられますので、今般「元号選定手続について」の一部改正を行い、「元号に関する懇談会」を開催することといたし、その旨を閣議に報告いたしました。

二 次に、新しい元号の選定手順を申し上げますと、その概要は次のとおりです。

 第一に、内閣総理大臣は、高い識見を有する方々に、新しい元号とするのにふさわしい候補名の考案を委嘱する。

 第二に、内閣官房長官は、考案者から提出された候補名について、国民の理想としてふさわしいようなよい意味を持つものであるかどうか、漢字二字であるかどうか、書きやすいかどうか、読みやすいかどうかなどの事項に留意して、検討・整理し、その結果を内閣総理大臣に報告する。

 第三に、内閣総理大臣の指示により、内閣官房長官は、内閣法制局長官の意見を聴いて、新元号の原案として数個の案を選定する。

 第四に、内閣官房長官は、新元号の原案について各界の有識者の方々の御意見を伺うため、「元号に関する懇談会」を開催する。

 第五に、内閣総理大臣は、新元号の原案について衆議院及び参議院の議長及び副議長の御意見を伺う。

 第六に、全閣僚会議において、新元号の原案について協議する。

 第七に、閣議において元号を改める政令を決定し、同時に、元号の読み方に関する内閣告示及び改元に際しての内閣総理大臣談話を決定する。

 以上であります。

三 このように、新しい元号は、全閣僚会議における協議を経て、最終的には閣議において政令の形で決定することとなります。すでに、元号の考案者の選考や考案の依頼、あるいは「元号に関する懇談会」の人選は内々進めてきているところであり、事情の許す限りすみやかに新しい元号を決定したいと考えておりますが、とりあえず、「元号に関する懇談会」を本日午後一時からを目途に開催し、衆議院及び参議院の議長及び副議長の御意見を午後一時ニ十分からを目途に伺い、その後、全閣僚会議を午後一時四十分から、元号を改める政令等を決定するための閣議を午後二時からを目途に開催したいと考えており、これらの手続が順調に進みますと、元号を改める政令は本日中に公布される(官報号外を発行し本日中に東京都官報販売所において購読可能となる)予定であります。

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■新しい元号の選定手順の概要について&元号選定手続について&元号法

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■「元号選定手続について」の一部改正について

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■内閣告示案(新元号と日付け入り版)&元号の読み方に関する内閣告示について

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■新しい元号「平成」について(昭和六十四年一月七日 内閣総理大臣談話(案))

 本日、元号を改める政令が閣議決定され、本日中に公布される予定であります。

 この政令は、今般の皇位の継承に伴い、元号法の規定に基づいて、新しい元号を定めたものであります。

 新しい元号は「平成」であります。これは、史記の五帝本紀及び書経の大禹謨中の「内平かに外成る(史記)地平かに天成る(書経)」という文言の中から引用したものであります。この「平成」には、国の内外にも天地にも平和が達成されるという意味がこめられており、これからの新しい時代の元号とするに最もふさわしいものであると思います。

 この新しい元号は、事情の許す限り速やかに改元を行うという元号法の趣旨、国民生活の便宜等諸般の事情を考慮して、公布の日の翌日である一月八日以降について用いられることとなっております。新しい元号の使用につきまして、国民各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。

 元号は、千三百年余の歴史を有しております。単に年を表示する手段としてだけではなく、長い歴史の中で日本人の心情に溶け込み、日本国民の心理的一体感の支えにもなっております。この新しい元号も、広く国民に受け入れられ、日本人の生活の中に深く根ざしていくことを心から願っている次第であります。

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■(閣議において元号を改める政令等決定直後)元号を改める政令等について(昭和六十四年一月七日閣議 内閣官房長官発言要旨)

 新しい元号の選定につきましては、先の閣議に御報告いたしました「元号選定手続について」に従ってその選定を進めてきたところでありますが、これからの新しい時代の元号とするのに最もふさわしいものとして、「平成」が選定されました。

 元号を改める政令は公布の日の翌日から施行し、政令は一月七日に公布される予定ですので、改元の時期は一月八日であります。

 新しい元号につきましては、内閣総理大臣談話に述べられているとおりでありますが、この際、新しい元号の使用等につきまして申し上げます。

 従来から、元号の使用につきましては、一般国民は元号、西暦を自由に使い分けていただいてよいことになっております。

 ただ、公的機関の事務については、従来から原則として元号を使用してきたところであり、この慣行は、今後も当然に続けられるべきものと考えております。

 公的機関の窓口業務においても、従来、届出等の書類の年表示には元号を用いるよう国民の協力を得てまいりました。今後も公務の統一的な事務処理を円滑、迅速に行うため、引き続き、国民の理解と協力を得るようにしていただきたいと思います。もとより、これはあくまでも協力要請ということであり、西暦で記入されたものも受理されるものであることはいうまでもありません。

 なお、公的機関における届出等の用紙には、既に昭和の元号が印刷されているものも多いと思われますが、改元後においてそのまま使用されても法律上の効果が変わるものではありません。しかし、このような場合には、「昭和」を「平成」と訂正して使用するなど、できるだけ混乱を招かないよう配慮していただきたいと思います。また、現行法令の中には、元号を改める政令の施行日である一月八日以降の年月日が昭和の元号によって記されている場合もありますが、元号が改められることによってその法律上の効果が変わるものではありません。以上の点をお含みの上、各省庁関係の事務処理について遺漏のないようお願いいたします。

 また、政府関係機関、地方公共団体に対してもこのような趣旨で十分指導をしていただきたいと思います。

 それでは、以上で閣議を終了いたします。なお、関係資料が整い次第、私が記者会見において説明することにしたいと思いますが、恐縮ですが記者会見が始まるまでの間、閣僚応接室にてお待ちいただきたいと思います。記者会見が始まり次第御連絡いたします。

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