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日産自動車 臨時株主総会2019全文書き起こし|ゴーン氏には損害賠償請求していくことになる

 4月8日10時から行われた日産自動車の株主総会。

 通常の株主総会と違い、取締役のカルロス・ゴーンさんとグレッグ・ケリーさんを解任、ジャンドミニク・スナールさんを新任取締役にするための臨時株主総会です。

直近決算説明会資料:2018年度第3四半期決算説明資料(2月12日)

株主総会資料:株主総会招集通知

2018年株主総会:【中継録画】日産自動車株式会社 第119回定時株主総会

 臨時株主総会の本題からは外れますが、業績は横ばい

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 グローバルの販売台数は上向き。

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 2010年の金商法改正で1億円以上の取締役報酬開示が義務となりました。

 それによって開示されたカルロス・ゴーンさんの報酬額が次の表の通り。

 しかし、その開示において、「2011年3月期から2015年3月期までの有価証券報告書で報酬を約49億円過少申告した」との疑いがもたれたことから、東京地検特捜部が金商法違反容疑で逮捕するに至ったのです。

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 3月27日に提出されたガバナンス改善委員会の報告書では、この他にもゴーンさんへの報酬支払いや資金の私的利用についての指摘が記されています。

 一連の疑惑に対し、ゴーンさんは1月8日に東京地裁に意見陳述書を提出。無実であると主張しています。

 ガバナンス改善委員会の報告書では現役員についての記述も。

 2018年6月に就任した2人の独立社外取締役は井原慶子さんと豊田正和さん。

 ネットに記録がある2006年以降の監査役の任命された年を見ると、大坪健雄さん(2006)、大戸武元さん(2008)、名倉三喜男さん(2010)、青木征彦さん(2008、2012)、中村利之さん(2006、2010、2014)、安藤重寿さん(2012、2016)、行徳セルソさん(2017)、今津英敏さん(2014、2018)、永井素夫さん(2014、2018)、池田鉄伸さん(2018)。監査役任期は4年ですが、何となく誰が「うるさい監査役」だったのかうかがえる気がします。

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ここ一年の主な動き

2018年6月27日 日産ゴーン会長が株主総会で交わした「約束」(東洋経済オンライン)

夏ごろ カルロス・ゴーン取締役会長(当時)の不正行為の疑いに関する内部通報を日産の監査役が受ける。当該監査役は、内部通報が信用できるか否か社内外のリソースを活用して内部調査開始(報告書3ページ目より)

11月19日 当社代表取締役会長らによる重大な不正行為について

12月17日 ガバナンス改善のための特別委員会を設置

2019年1月8日 ゴーン元会長意見陳述全文 「日産に一切損害与えず」(日本経済新聞)

3月27日 ガバナンス改善特別委員会から報告書を受領(報告書はこちら

3月29日 ガバナンス改善に向けた実行計画策定について

議案

・取締役カルロス・ゴーン解任

・取締役グレッグ・ケリー解任

・ジャンドミニク・スナールさんを取締役に選任

株主総会の全文書き起こし

 株主総会の様子については、メディア取材も入っていたので、今回はTwitter実況しなかったのですが、比較的、詳しめの日経や産経の記事も、省いている部分が多かったので、ライブ映像をもとに全文書き起こししました。

 誰もが見られるウェブに公開している動画であり、公共性もあることから問題ないと判断しているのですが、なにか不都合があればお伝えください。

ゴーン元会長の取締役解任 臨時株主総会ドキュメント(日本経済新聞)

【日産臨時株主総会詳報】(上)「現経営陣は総退陣すべきだ」 株主から怒りの声(産経ニュース)

【日産臨時株主総会詳報】(下)“右腕”の志賀取締役「どうして不正を止められなかったのか、心が痛む日々」(産経ニュース)

 株主総会をライブ配信するなどして堂々とやる企業は珍しく、その姿勢に敬意を表して、詳しく書いてみようと思いました。任天堂などが後日、株主総会の質疑応答要旨を出すように、本当は公式で書き起こしを公開したらいいと思うのですが。

 書き起こしそのものではなく、意味が通りやすいように編集しており、複数の独立した質問がある場合、質問を分けていることなどはご了解ください。

(4月8日10時に株主総会開会)

 

西川廣人:みなさま、おはようございます。本日はお忙しい中、日産自動車の臨時株主総会にお越しいただきまして誠にありがとうございます。
 私は日産自動車社長の西川廣人でございます。ぜひ今日1日よろしくお願いしたいと思います。当社定款の定めによりまして私が議長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

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 本総会にお越しになれない投資家のみなさんのために、総会の模様を今回インターネットでライブ中継しております。どうぞご了承いただきたいと思います。それではただ今から日産自動車株式会社臨時株主総会を開催いたします。

 

(会議の流れを説明し、議決権総数を報告。決議事項を上程する前に西川社長から臨時株主総会を開催した経緯、今後、日産が取り組んでいく課題等について説明)


西川:株主のみなさまには、このたびの件で大変なご心配とご迷惑をおかけしましたことを大変申しわけなく思っております。会社を代表して深く深くおわびを申し上げたいと思います。申しわけありません。

 

 (役員一同、起立して頭を下げる)

 

 昨年11月から4カ月あまり経過いたしました。今日、株主のみなさまにお集まりいただきまして、大変大きな節目を迎えることになりました。

 経営トップの不正という今回のケースは前代未聞と言っていいと思います。長い会社の歴史の中でも耳を疑うようなことが現実に起こってしまったわけで、そこから4カ月経ったわけでございます。
 本日は当社にとりまして、不正への対応という意味で大変大きなケジメの総会でございます。
 ガバナンスという面でも一歩先に歩を進めるという意味で大変重要な総会でございます。臨時の招集ということで大変お手数をおかけしますが、今日1日なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 

 まず元会長らの不正につきまして、私の方からご報告申し上げたいと思います。
 ご承知の内容も多いと思いますが、昨年10月中旬、当社監査役より元会長の不正行為についての報告を受けました。内部通報をきっかけとして、監査役の方で調査を行っておりまして、すでに検察庁への報告をしておりました。
 私は報告を受けた直後、会社としても調査チームを立ち上げて詳細な調査を開始いたしました。そして、その調査の結果、3つのことが明らかになりました。
 もちろん全ての内容については、司法手続きの関係でみなさまにご説明することはできませんが、できる範囲でお話したいと思っております。


 1つ目はゴーン氏自身の報酬を少なく見せるため、8年間にわたって実際の報酬額より少ない嘘の金額を有価証券報告書に記載して提出していたということでございます。
 具体的には2011年3月期から2018年3月期の連結会計年度において、報酬総額が170億3000万円であったにも関わらず、78億9100万円となるように記載した有価証券報告書を提出したということでございます。


 2つ目は目的を偽って、私的な目的で当社の投資資金を支出するなどしていたことでございます。
 具体的には新テクノロジーのスタートアップ企業への投資を目的として子会社を設立する提案を経営会議に行い、実際にはゴーン氏への資金提供を目的としており、住宅の購入や改装といった別の用途にその投資資金を使用したということであります。
 その手口として海外のペーパーカンパニーをいくつも経由させて、監督の目を行き届きにくくするよう仕組んだことが調査の過程で明らかになりました。


 3つ目は私的な目的で当社の経費を支出するなどしたことです。例えばゴーン氏の姉に対して、業務実績のないコンサルティング報酬の名目で2003~2016年の間に総額75万5000ドルを支給するといった不正も見られました。
 こうした不正はいずれも非常に巧妙な手口で行われておりました。この不正にケリー氏が首謀者として深く関与していたことも判明しております。


 これら内部調査によって判明した重大な不正行為は企業倫理に反し、解職に値することは明らかであり、11月22日に開催いたしました臨時取締役会におきまして、ゴーンCEO会長及び代表取締役の職を速やかに解くこと、並びにケリー氏につきましても同様に代表取締役の職を解くことを全会一致で決議いたしました。
 また、発覚した不正事案の一部につきましては、ゴーン氏は昨年12月10日、金融商品取引法違反、虚偽有価証券報告書提出罪の容疑で起訴されております。ケリー氏も昨年12月10日に同容疑で刑事事案として起訴されました。両名は1月11日に同容疑で追起訴されております。
 この件で弊社自身も昨年12月、金融商品取引法違反の容疑で起訴、1月11日に追起訴されることになりました。
 弊社が結果的に起訴されることになりましたのは非常に遺憾で、厳粛に受けとめるとともに、ここにおられる株主のみなさまに改めて深くおわび申し上げたいと思います。
 刑事事件として起訴された事案につきましては、今後裁判を通じて司法の判断に委ねることになりますが、問題の本質は企業としての倫理に反する不正の除去でございます。
 発覚した不正行為は一つでも行えば、通常は役員、従業員を即刻解雇になる事案でございます。当社取締役会は「このような行為を行った者を企業のトップとしてすえておくことはできない」と判断したということでございます。
 また。元会長はご承知の通り、1月11日に18億5000万円の評価損を含むスワップ契約上の損失を無担保で負担すべき義務を日産に負わせたということで、会社法違反、いわゆる特別背任罪の容疑でも起訴されております。この件は当社が被害者となったもので、事案発覚後に当社として刑事告訴しております。
 さらに三菱自動車と折半出資で両社のシナジーを検討する目的で設立したNMBVという会社の調査におきましても不正が発見され、現在、ルノーとの合弁会社RNBVに関する調査も進行しております。


 その後、ルノーにおきましては経営トップの体制変更がなされました。
 1月24日のルノーの取締役会において、チャン・ドミニク・スナール氏が新会長に就任、新CEOにはティエリー・ボロレ氏が就任されました。
 こうした同社経営体制の変更を踏まえて、当社取締役のゴーン氏およびケリー氏の解任、並びにルノーのスナール会長の弊社取締役選任に関わる臨時株主総会を本日ここに開催させていただいたという経緯と次第でございます。


 なお株主のみなさんはもうご承知と思いますが、先週4月4日、保釈中の元会長が会社法違反、特別背任罪の疑いで再逮捕されました。この件については現在まさしく捜査手続きが進行中ですので、詳細につきましては当社としてコメントできませんが、これをもちまして元会長の逮捕は4度目ということになります。
 また、ルノーも社内調査を行っておりまして、「不適切な支出の疑いがある」としてフランスの検察当局に通報したとの報道もなされております。


 以上が経緯でございますが、本不正について私が最初に報告を受けた時、とにかく大きなショックを受けました。これまで20年にわたりトップの座を務めてきた経営者が起こしたことであるということ、ひと言で言うと本当に残念でなりません。
 そして当然のことながら、このような不祥事が公表され、しかるべき手続きが進むということになれば、日産のブランド、そして会社の信用そのものが傷つくことは明らかでした。
 しかし問題を放置せず、不正を見つけたら対処すること。これが会社の将来に向け
て、今やるべきことだと思っています。ここに全力を集中すること、これが経営、執行を預かる者のみなさま方、お客さま、株主さま、関係者の皆さま、ステークホルダーに対する責務だと思っております。


 もちろんこのような不正を長く見つけることができなかったということは、いかに手口が巧妙だったとはいえ、過去の経営に携わった経営陣、そして今現在、私を始めとした経営に関わっているメンバー、経営陣もその責任を大変重く受け止めております。
 最初の報告を受けてから、「なぜこのような不正を止められなかったのか、見つからなかったのか」と自問自答してまいりました。
 これはいろいろな要因が考えられておりますが、一人の個人に権限が集中する構造を長い間許してしまったこと、そういう状態を続けてきたこと、もう少し具体的に言いますと巧妙に何かをしようと思えば、人に発見されずにできる体制であったこと、こういうことの中で誘発されたことでありますから、ガバナンス体制そのものに大きな問題があったことは認めざるを得ない事実だと思っております。

 

 その上で経営としての責任は2つあると思っております。
 以前から申し上げておりますが、やはり過去に起こったことについての責任という
ことでございます。これは繰り返しになりますが、私を含む過去から関わった経営陣全員が責任を重く感じており、深く反省をしていることでございます。
 もう一つは現在、将来への責任でございます。ガバナンス改革そして事業安定化し成長軌道にいち早く戻すこと、次の世代に会社をしっかりバトンタッチしていけるような道筋をつけること、今負うべきこの責務に全力を尽くしていきたい。これがもう一つの
責任だろうと思っております。


 最後に弊社の取り組むべき課題について少し申し上げたいと思っております。
 一つはガバナンスの再構築でございます。
 昨年12月17日に取締役会におきましてガバナンスの改善のためのガバナンス改善特別委員会を設置いたしました。この委員会のメンバーは当社の代表取締役3名、そして独立の第三者委員4名のみなさんを含む7名によって構成されまして、当社のガバナンス体制、管理体制、報酬に関わるより良いガバナンスについて、独立した第三者の提言を適切に取り入れるために設置したものでございます。
 これまで委員会におきまして活発な議論をしていただきまして、3月27日に取締役会におきまして提言をいただきました
 本提言は38項目にのぼりますが、制度的に関わる大きな変更として3つございます。
 指名委員会等設置会社へ移行すること、取締役の過半数を社外取締役の方とすること、取締役会議長及び各委員会の委員長をそれぞれ社外取締役の方にやっていただくということでございます。
 委員会からは一連の不正を典型的な経営者不正、具体的に言いますと私的利益を追求した不正であるということを明確にご指摘いただきました。そしてその不正行為を許してしまった背景として権力の集中ということをご指摘いただきました。
 日産内では社長以下取締役、執行役員の報酬人事権も当時1人が掌握をしていて、何かを意図的に秘密裏に行おうと思えば、ごくわずかな側近を使うことで実現してしまう体制であったということのご指摘でございます。

 ガバナンスの体制には大きな問題があったと言わざるを得ないと思っております。今回、企業の倫理というものに反する不正行為として、我々は確認したわけでございます。一個人の倫理観に多くを依存することのリスクが表面化したということであると思います。
 当社は3月27日にいただきました提言を真摯に受け止めて、3月29日に臨時取締役会を開催いたしまして、指名委員会等設置会社へ移行するということで準備を進めるという
確認をいたしました。
 ガバナンス改善に向けた実行計画策定に着手し、今回のような不正を誘発しない経営レベルのガバナンス改革を迅速に進めてまいるつもりでございます。


 2つ目は事業の安定化ということでございます。
 先ほど申し上げましたが、前代未聞の体験でありまして、これは我々を含めて、会社のトップに長くいた元会長の事件ということで、我々から従業員全員に至るところまでさまざまなレベルで動揺が走りました。これは避けられませんし、経営陣を含む両名の直接的間接的影響は大きいと実感しております。
 また新たなガバナンスそして取締役会との関係等の方向には理解ができても、実感としてどのようになるのか、経営会議等の執行側との関係はどうなるのか、社内には不安があると思います。

 そういう中で市場の競争、技術革新は1日たりとも待ってくれないという状況でございます。この動揺が業績に与える影響をできるだけ少なくして、社内のコミュニケーションを密にして。経営陣一丸となってこれからも取り組んでまいります
 委員会からは異を唱えない企業風土というものについてもご指摘をいただきました。
 反論したり、疑義を唱えたり、場合によっては指示に従わないことで、その従業員等が不利益を被る事例があり、これを恐れて、拒否したり他の者に報告することができない状況が作られていたのではないか、というご指摘をいただいております。
 そういう事実は、やはり我々も真摯に受け止めなければいけないと思っておりますしこれが長年続いてきた結果であると思います。
 事業運営面におきましても、ガバナンスに加えて修正すべき、あるいは取り除いておかなければいけないゆがみや問題が多く存在しておりまして、実はその部分が、現在に至るまでの収益悪化の大きな要因にもなっているという事実もございます。
 事業運営におきまして、過度にストレッチした数値目標で短期の成果、効率を追求し、そのリバウンドを繰り返す。それに疑問を持ったとしても、言えない状況だったという実感を持っております。長年の積み重ねの中で、このような歪みが出てきたと改めて私も実感しております。
 長年やり方として当社の中で習慣的になっている部分もございます。
 ガバナンス改善特別委員会のみなさん、風土的な改革とおっしゃったと思うんですね。私も非常にそのように感じております。現在、知っておられる方もおられると思うのですが、日産ウェイという社内の心構え、あるいは仕事に対する取り組みとしての指針がございます。
 これは一昨年の完成検査の問題を起こして以来、そういう検討を進めておりますけれども、今回の事案に対する反省も含めて、改訂版を作るべく、社内で議論を進めているところです。


 3つ目は今回の事案がアライアンスを不安定化させないように、ルノーとの関係を不安定化させないようにということです。安定化させ、正しい形で将来に向かって進めていける形を作るということです。
 日産、ルノー、三菱自動車の各社ともアライアンスのベネフィットとポテンシャルは十分認識しておりまして、自動車業界が大きな変革期を迎えている中、むしろこれまで以上にアライアンスから得られるベネフィットを積極的に追求していくことを考えております。
 そうした中で今回の事案発生以降、約3カ月後の3月12日にルノー、日産、三菱自動車の三社でアライアンスオペレーティングボードを設立することに合意いたしました。
 ルノーのスナール会長とボロレCEO、三菱自動車の益子修会長、そして私がメンバーとなって進めてまいりますが、コンセンサスベースのWINWINWINということが大前提でございます。

 それぞれのメンバーが合意形成したものを積み重ねていくという仕事がタスクでございます。その結果として三社のパフォーマンス向上に寄与するということですね。イコールパートナーとしての取り組みがスタートしたということでございます。アライアンスで取り組むべきことをプロジェクトで立ち上げて、徹底的に議論して迅速に意思決定したいと思っています。
 今後はルノー、日産、三菱自動車それぞれのWINを確認して、積極的に推進していくことを原則として、それぞれのベネフィットになるように活動を加速してまいります。
 そして本日、この総会でみなさんがご承認いただければ、スナール氏が当社の取締役に就任いたします。
 スナールさんについて私から少しご紹介をさせていただきたいと思いますが、フランスにおける大手アルミメーカーでありますペシネーグループの最高財務責任者を務められ、その後みなさまご存知の大手タイヤメーカーのミシュランの最高財務責任者を務められた後、最高経営責任者を務められて本年1月、ルノー会長に就任されました。フランスの経済界でも広く影響力を持つ経営者として知られています。
 このような素晴らしい経営者の方、経験を持つスナール氏に、アライアンスの活動のみならず当社取締役会のメンバーとして、今後の新たなガバナンス体制作りの議論に加わっていただき、将来の日産の発展成長に貢献していただけることは大変ありがたいし、素晴らしいことだと思っております。


 最後になりますが、発覚いたしました一連の不正行為につきましては本当に株主のみなさんを始め、関係者のみなさまに申しわけなく思っております。
 先ほど申し上げた通り、問題を放置せず、対処すべき課題は対処して、将来へ向けて
日産をより価値の高い企業へ育てていく道筋をいち早くつけること、これが使命でありまして、そこに向けて全力を尽くして、迅速に改革を進めたいと決意して日々、業務にあたっております。
 株主のみなさまにおかれましても、将来にわたってこの日産の道筋に対しまして、温かいご支援をいただければ大変ありがたいし、幸いであると思っております。私から冒頭申し上げることは以上でございます。ご静聴ありがとうございました。

 

(ゴーン氏とケリー氏の解任、スナ―ル氏の選任に関わる決議事項を上程し、質疑応答へ)


――約20年前にゴーン体制になってから現在まで、日産のお膝元である日本市場が非常に軽視されていると感じております。ゴーン氏就任当初は「致し方ない」と思っていたのですが、日産が業績回復した後も現在に至るまでないがしろにされていると感じております。西川社長はこの現状をどう感じておられるのか。また、新体制にかわって、日本市場についてどういう戦略をお持ちなのかお聞かせ下さい。

 

西川:今、ご指摘の部分、みなさん、外から見られていれば当然のご指摘だと思います。やはり日本市場は非常に競争が厳しくて難しいマーケットであるし、お客さまの要求度も非常に高い市場です。従いまして、我々、心してかからないと、なかなかお客さまの支持が得られないということです。
 一方で、今ご指摘の通り、20年前にゴーン体制がスタートして以降、グローバルな市場を見て、商品投資をしていく中、やはりマーケットの規模が大きいところ。あるいは
成長しているところに集中的に投資の優先順位が置かれたことは否めないことでございますし、その結果、日本市場に対するクルマの新商品の投入が手薄になった時期もございました。これは私も認めざるを得ないところであると思っています。
 そういう中で、特に元会長の下で行われました前の中期計画「日産パワー 88」というものがございましたが、この中でも特に新興市場、あるいは新興市場の小型車マーケットに対する投資が相当優先順位を高くした結果、日本のマーケットに対する投資が少し薄かったということがございます。
 そういう中で日本のチームは非常に良い仕事をしてくれまして、実際に新車が出てくる時には十分なマーケティングを行って、その結果、電動カー、自動運転技術を応用したもの、それらを非常にうまい形でパッケージした日産インテリジェントモビリティということで新たな商品投入を開始して、これが非常に大きな評価をいただいて、今の日産の根幹を支えるところまで来ております。
 従いましてこれからどういう戦略で臨んでいくかということでございますが、日本に対しては商品投入。これは先月になりますが、待望の新型の軽自動車を投入いたしました。

 これからも電動カー、自動運転を武器として、積極的に商品投入をして、特に日産インテリジェントモビリティ、これは技術の日産とみなさんに申し上げてきた部分の現代版だと思っていただいていいと思います、技術の日産のDNAの上に立つ日産インテリジェントモビリティでできるだけ確実に新商品を良い形で立ち上げて、お客さまの評価をいただいていくという戦略を採っておりまして、こういう前提で進めていきたいと思っております。
 もう一つ申し上げますと、市場の規模ということは別として、日本市場からご支持をいただいている結果、グローバルで見たときの実際の事業の柱は日本と規模の大きい米国と中国、これが実は今、3本の大きな柱でございます。従いまして、そういう認識を改めて社内でも共有すべく、私が広めておりまして、日産パワー 88の時代とは、日本の重要度をかなり上げて取り組んでいくことにしたいと考えております。

 

――今回の議案の中にゴーン取締役の後任の方の選任はありますが、ケリー取締役の後任の選任という議案がありません。次の6月の通常総会で提案するというマスコミ報道等があるのですが、私の疑問はなぜこの場で提案しないのかと。

 必要であるから取締役を選任しているわけで、ケリー取締役は昨年11月からいなくてもう半年、その間仕事していないわけですね。たぶんみなさんが代わってやっていると思うのですが、本来であれば、この場でケリー取締役の後任の方を選任する議案があってしかるべきだと思うのですが、なぜないのかを明確にお答えいただきたいです。

 

西川:今のご質問のポイントは十分理解をしておりますが、ゴーン元会長はルノーと日産の関係でいきますと、ルノーの指名ということであります。従いましてそういう意味では新しいルノーの体制ができたところでその条件は整ったと考えております。
 それに対して日産の方として新しい取締役を選任する場合、やはり我々としてみますと、どういうプライオリティでどういう方を選任するべきかということは、ガバナンス改善特別委員会の考え方あるいはそこからのご提言に基づいて考えていくべきということ。十分に我々として吟味をした上でご提案すべきだろうということで、この間につきましては欠員ということで進めて、先ほど申し上げた通り、定時総会で新たなプロセスの中で準備をして、ご提案したい。そういう考え方に基づいて、今回は上程しなかったということでございます。

 

ーー議長の方から細目にわたって説明がありましたが、カルロス・ゴーン氏およびケリー氏には重大な責任があると思います。しかし、この2人だけによって今回の件になったことはありえません。現経営陣も大きな社会的責任および道義的責任があると思います。

 この間、日産の社会的地位の低下、日本社会に衝撃を与えたことも非常に大きいものがあります。日産の再生で約2万人の仲間たちが来られたと思います。みなさん、その方の顔が浮かびますでしょうか。経営陣の方が道義的責任とおっしゃるのであれば、現経営陣のみなさん方が責任をとって、総退陣という形をとって刷新を行うべきだと思いますので、ご提案させていただきます

 

西川:今のご発言は(動議ではなく)ご意見としてうかがってよろしいでしょうか。

 

ーーはい。

 

西川:先ほど申し上げた通り、責任がないということは全くございません、責任は非常に重く受け止めております。過去20年ということで今、言われた通りでございます。我々もこの事案を知った時。先ほど申し上げた通り非常にショックを受けました。「20年、我々がみなさんと一緒にご支持をいただいてやってきたことは一体何なんだろうか」ということも考えました。
 我々がみなさんと一緒に積み上げてきたもの、みなさまのご支持をいただいて積み上げてきたものの中には、将来に向けた大きな財産、将来に向けてさらに発展させていかなければならないものもたくさんございます。一方、不正を許してしまったガバナンス体制を刷新しなければならないとも感じました。
 そういう中で繰り返しになりますが、我々企業人というか経営者として感じる、取るべき責任は2つあると思っております。
 まずは過去に起こったことへの責任。これは非常に重く受け止めておりますし、私のみならずみなさんそうだと思っております。
 もう一つは今と将来に向けて果たすべき責務、責任だと思っております。先ほど申し上げた通り、昨年11月以降、日産の今と将来のための責任を果たすべく、経営企画メンバー、役員、全社を挙げて全力で当たっております。
 これは一つにはこの前代未聞の事件での社内の動揺や事業への影響を最小限にすること、ルノーとの関係を安定させること、過去の反省に立って将来のガバナンスを構築していくことを立ち上げることでございます。この部分につきまして、みなさまからのサポート、そして新しくルノーのトップとなりましたスナールさん以下のサポートも得て、ひとつずつ地道に進めているということです。
 正直言いまして、20年にわたる体制の歪みは大きくて、一朝一夕に修正できるものではありません。これからも引き続きやってまいりますが、まだまだ道半ばだと思っております。

 そういうことを十分に果たして、これで次のステップにいけるところまでいって、その上で自らの処し方をおはかりしたいと考えているところです。
 私も今言われた方のように、内外にいろんなご意見があることは承知しておりますし
、そういうご意見をいただいたこともございます。大変ありがたいと思っていますが、やはり会社の事業運営の安定ということを最優先すると、何よりもそこにまず注力しなければいけない。アライアンスそしてこの事案についての対応は一歩一歩進めていますが、私も含めたトップ層が捜査あるいは公安対応に追われる中で、社内にこれ以上動揺を広げないよう、日々努力してくれていまして非常に負荷も大きくなっています。
 ここをぜひご理解いただいて、何とかこの状態を乗り切ることに全力を尽くしたいと思っております。これが日産の将来をつなぐということで、絶対にやらなければいけない仕事だと思っております。まずそこに注力をしたいと考えておりますので、ぜひご理解いただければ大変ありがたいと思います。

 

――今の取締役の中でルノーから派遣されている役員の方に質問したいのですがよろしいでしょうか

 

西川:はい。

 

――昨年11月以来、いろいろなことが報道されて、私も株主としてというより一人の日本国民として忸怩たるものを感じる昨今でございます。多分、今日出席の方にもそういう方は多いんじゃないかと思います。

 今、フランスの方では推定無罪という形で報道されています。例えば「為替差損を日産に付け替えたけど、戻したから無罪です」とヌケヌケと被疑者がおっしゃっているようですが、「ものを盗んだけど盗んだものを返したから私は無罪です」と言うのと同じ論理かと思います。日本人にとっては許容できない内容ですが、ルノーから派遣されておられる現在の取締役の方にこういう一連のことに関するご感想をうかがいたいです。

 

西川:今ここに出席しております中でルノーからの推薦を受けて取締役になっておられるお二人がおられますが、その中のドゥザンさんにお願いしたいと思います。

 その発言の前に一言だけ。ドゥザンさん含めて、先ほど申し上げた取締役会の決議としては全会一致でやっておりますということだけご承知ください。

 

ジャンバプティステ・ドゥザン:私はルノーによって指名されている人間です。でも私は日産のために仕事をしているんです。日産の最善の利益のために働いているんです。他の方たちと同じように、現在の状況を非常に困ったことだと忸怩たる思いを持っております。

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 西川さんが言っているように「本当に真剣に反省をしなければならない」と思っております。ゴーン氏が有罪かどうかということですが、私は今持っている情報を踏まえて、他の方と同じように「彼は会長であり続けることはできない」ということに1票を投じました。

 推定無罪ということが言われておりますが、それはございます。欧州ではそれを守っていますし、日本でも守られていると思います有罪かどうかは我々が判断するのではなく、裁判官が判断することです。

 しかしそれは別として、会長職から外すことに私は賛成いたしました。「取締役からも解任しろ」ということにも賛成しております。これは昨年11月時点からそうです。


――ガバナンス改善特別委員会の提言で社外取締役を過半数起用するということなのですが、具体的にどのような分野の方が社外取締役としてふさわしいと現時点でお考えか教えてください。

 

西川:まず私の期待値を申し上げます。実際の手続きとしては新たに立ち上げました暫定指名委員会の方で議論しておりますので、その部分につきましてはその委員長の井原さんから後ほどお願いしたいと思います。
 私としてはある意味でいろいろな識見を持った方、企業経営もそうですし、いろんなバックグラウンドを持った方にぜひ参画していただきたいという期待を持っております。それでは井原さんの方から少しお話しいただけますか。

 

井原慶子:まず、先ほど西川CEOがおっしゃった暫定指名報酬委員会というものを立ち上げました。これは来たる6月の年次株主総会に向けて、取締役会メンバーの候補者および、その報酬について検討する任意の委員会です。

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 この委員会について少し説明させていただきますと、構成はこちらに座っておりますドゥザン取締役、豊田取締役、私の3名の独立取締役が委員として構成しております。これ以外に国内外の有識者といいますか、機関投資家もしくは経営者、知見や経験のあるインターナショナルアドバイザーの3名の方々から諮問委員会の中での検討の間にアドバイスをいただいて、今後の取締役会メンバーの候補者を選別していく作業をしております。
 こちらの委員会は3月27日にガバナンス改善特別委員会から受けました提言を尊重しております。6月に指名委員会等設置会社に速やかに移行するため、この暫定指名報酬委員会が発足いたしました。
 4月1日よりこの暫定報酬指名委員会はスタートしておりまして、すでに国内外の関連調査機関から得られた100名近い取締役候補から絞り込みを行っているところです。
 公正な選択過程を今、心がけておりまして、ガバナンス改善特別委員会でも「どのような方が独立取締役に就くのがふさわしいか」ということには非常にたくさん時間をかけて議論してまいりました。
 ガバナンス改善特別委員会の報告書にもございますが、例えば先ほど西川CEOがおっしゃった通り、経営者としての経験知見を持つ方、もしくは自動車産業のものづくりの経験知見を持つ方、監査、会計もしくは日本の会社法の知見を持つ方、そういったいろいろな方が必要なのではないかという結論に至りました。
 国際企業である当社がさらに発展していくためには、このようなたくさんの知見を持つ方々にお越しいただき、そしてジェンダーもしくはカルチャー、ダイバーシティの要素も踏まえて選別していければと思います。
 世界トップレベルのガバナンス体制を有する取締役会になるよう、現在公正な選択を心がけておりますので、引き続きよろしくお願いいたします

西川:今、井原さんがご報告申し上げたことを非常に短い時間の中で進めていかなければいけないということで、大変だと思いますが、非常に大きな努力をしていただいています。それが実現するように、会社の方でも極力サポートしていきたいと考えております。

 

――新取締役候補のスナールさんが、もし今日いらっしゃるのであれば取締役に就任するにあたっての意気込みを聞かせていただきたいです

 

西川:スナールさんにつきましては、総会の議案審議が終了したところで改めてご紹介して、彼の抱負を聞きたいと思っております。そういう機会を設けておりますので、ぜひそこでよろしくお願いしたいと思います。

 

――本日、西川社長より説明がありましたように、「ゴーン氏の不正の手口が巧妙で発覚に時間がかかった」ということですが、2003年からゴーン氏の姉にお金が流れていて、仕事の内容というのが当然あるはずなのですが、その時点で会社側から流れている金額や、実際行われている仕事は把握されていなかったのでしょうか。

 

西川:今、お話がありましたのは2003年からのコンサルタントフィーのことでしょうか。

 

――はい。


西川:先ほど申し上げた通り、お金の流れというのが非常に少人数の中で行われたということで、限られたところで実行できる状態になっていたことは事実です。それで実際の調査や監査の対象にならなかったということだと思います。従って、長い時間にわたって発覚しにくかったことは事実です。
 そこは我々も真摯に認めなければいけないところですし、一人に権力が集中することを長い期間にわたって放置しますと、そういうことが起こりうるという非常に大きな教訓であると思っております。
 これ以上、以前のことについて臨場感を持ったご説明はなかなかできないのですが、
我々実際に会社の中にいた者として当時から振り返ってみますと、そういうことを見つけることが難しいという実感を持っています。

 「そういう不正が会社の中で行われているのではないか」と疑ってかかることも通常はないと思いますし、そういう中で実際にそういうことが行われていたとしても、今の件に限らず、これは言いわけではないのですが、見つけるのは難しかったと。そういう状態をいったん作ってしまうとブラックボックス化しますので、難しかったということが実態だろうと思います。
 なかなかこれ以上みなさんにストンとくる説明ができないのですが、これが我々の持っている実感です。
 それでいいとは全く考えておりません。そういう形で許してしまったということは、非常に大きな反省事項としてございますし、当時、日産を再建した功労者ということで、先ほどガバナンス改善特別委員会の方からのご指摘もありましたが、なかなか意見を言いにくく、比較的一方通行のコミュニケーションが多かったことも、そういう状態を許してしまった背景にあると思っています。

 そういう意味では風土改革は絶対に必要だと思っております。風土改革と仕組みの改革がセットで行われれなければいけないと私は認識しております。
 当時から中にいた者、私の2003~2005年当時の立場は今とまるで違いますが、その私から見ますと、まったく想像もできないことであったと当時を振り返って感じておるところです。
 我々に改めて注意を喚起していただけるようなご質問をいただきましてありがとうございます。ここはある意味で言いわけのしようのないところであると思っておりますし、これからとにかく再発しないように進めていくことが非常に重要なことだと思っております。
 そういうことが私の今の社長としての答えですが、一方で今ご質問いただきました方と同じ感覚も持っております。
 2003年というのは彼が日産に来てから4年目のことですよね。この時代からこういうことがあったんだろうということについて、発覚しなかったということに加えて、「この時代からこういうことをやっていたのか」ということで、このこと自体に私も改めて愕然としたものでございます。
 権力が集中して以降、そういうことに手を染めたと思っておりましたが、実は2003年からそういうことが行われていたという事実ですね。これは当時、一役員だった私から見ても少し信じられない。「そんな時からこういうことをやっていたのか」という感じで思っておりまして、これは私としても驚きというか、「少し想定を超える不正であるな」と感じております。

 

ーーさっきの質問とちょっと重なる面もあるのですが、ゴーン氏が保釈後も全然反証しないので、西川社長のおっしゃる通りの不正があったと株主としても認めざるを得ないとは思います。

 私的な経費をずっと使ってたと、さっきの業務委託手数料にしても形の上では経費にならない経費を会社として出していたということはガバナンスとして一番大事な納税の義務が果たされていない、要するに架空経費を建てたということになります。

 もしそうであるなら、この前イチロー選手が言ってたように一番社会にとって重要なことは納税することですから、総額が分かればすぐに税務申告も是正するつもりですか。そしてゴーン氏がそれだけいろんな損失を会社にこうむらせているわけですから、将来的にはゴーン氏に損害賠償を当然されるんでしょうか。

 

西川:これは当然、しかるべき手続きを今後していきたいと思っております。実際に本人に対して損害賠償を求めていくのかという点については、事案全体の整理ができて、確認ができて、そういうことができる状態になりましたら、当然ではありますがそういうアクションの検討に入って、そういうことを実施していくことを想定しております。今現在、そういう方向に動いておりませんが、当然のことながらその段階が来ましたら我々から損害賠償請求していくことになると思っております。
 いろいろと経費の問題で修正すべきもの、あるいは我々が過去の財務書類を修正しなければいけないものも含めて、ここは今すべて精査しておりますので、その中で先ほどおっしゃった経費の部分、税金等何らかの形で納めなければいけないのか。ここもその修正の検討の中で、具体的に項目として検討しているところです。

 

ーーゴーン氏の今回の一連の不正行為についての刑事責任の有無については今後の裁判で明らかにされるわけでしょうが、ゴーン氏が経営者倫理として言語道断と言わざるを得ないような不正行為によって巨額の会社資金の私物化、私的流用を行い、会社に損害を与えたことは、我々株主利益を侵害し、株主として到底見過ごせない事態であるわけです。

 そこでゴーン氏に対する民事上の責任追及について2点お尋ねいたしたいと思います。
 1点目はゴーン氏の不正行為の全容については現在会社内部で調査中とのことですが、以前の報道によると3月中に公表との情報もありましたが現在この公表がなぜ遅れているのか。その進捗状況、公表見込みはいつ頃かということ。
 2点目は今の質疑にもございましたが、その調査結果を受けてゴーン氏の責任追及のため、会社が受けた損害額等の賠償請求等の法的措置をとる用意はあるのか。


西川:最後の点につきましては法的措置を取るつもりです。はっきりと申し上げておきたいと思いますが、当然そういう措置を取る前提で考えております。
 以前から不正の全容はどうなのかということを、できるだけ早くご公表すると申し上げてきたのですが、ご承知の通り、司法手続きが進んでいること、そして調査や捜査が進めば進むほど、ご案内の通り、いろいろな事案が出てくるということで、まだまだこれから調べなければいけないことがたくさんございます。そういう状態ですので、申しわけありませんが、公表が遅れていることは事実でございます。
 そういう中で、今日このようなご質問があるということを我々も想定しておりましたので、現段階でみなさんにお伝えできることの中で、ここまではお伝えしたいというところをぜひ聞いていただければと思います。もちろん項目はもっともっと細かく多岐にわたりますが、もしよろしければここで今報告できる内容について、改めてご紹介とご報告したいと思います。
 できるだけ公表したいと思っていますが、オンゴーイングでございますので司法手続き等の関係でこれ以上はなかなかできないということをご容赦いただいた上で、お聞きいただければと思います。
 実際に新しいガバナンスの構築を担当しております担当者の方からご説明させていきたいと思います。

 

担当者:ゴーン氏自身の取締役報酬の隠蔽についてです。先ほど報告がありましたように昨年12月10日および今年1月11日、金融商品取引法違反、虚偽有価証券報告書提出罪の容疑でゴーン氏、ケリー氏が起訴されています。
 起訴状によればゴーン氏およびケリー氏は共謀してゴーン氏自身の報酬額を少なく見せるため、8年間にわたって実際の報酬額よりも少ない嘘の金額を記載した有価証券報告書を提出していました。
 具体的には2010~2017年度において、報酬総額が170億3000万円であったにもかかわらず、78億9100万円となるように記載した有価証券報告書を提出し、91億3900万円の報酬を隠蔽しておりました。
 年に1億円を超える報酬を受ける取締役については、個人別の報酬開示が義務付けられるようになって以降、ゴーン氏は各年度において実際に支払われる役員報酬金額が10億円程度となるように工作した上、年10億円程度の報酬しか受けていないように開示しました。実際には残額である年10億円程度について、退任後に受領することとして、取締役報酬ではないかのように装うことで開示せず隠蔽しました
 他にもゴーン氏が報酬について不正な操作をしていることが判明しています。具体的には株価連動型インセンティブ受領権(SAR)の取得に関する不正操作です。SARによるボーナス受領が確定して、報酬として開示すべきだったにもかかわらず、あたかも確定しなかったのかのように書類を操作し、報酬を隠蔽しました。開示すべきだったにもかかわらず開示されなかった金額が27億円程度にのぼります。
 また、当社は2007年に役員退職慰労金制度を廃止した際、当時在任していた取締役、監査役に対して、退任時に役員退職慰労金の打ち切り支給を行うことについて株主総会のご承認をいただいております。ゴーン氏も当時取締役であったことから支給対象となっています。
 この件についても、ゴーン氏が受領できる退職慰労金打ち切り支給額の計算方法を不正に操作するなどして、将来支給される可能性のある退職慰労金の金額が本来の金額より約24億円多かったかのように装う工作をしていました
 アライアンスパートナーである三菱自動車との間で設立した合弁会社NMBBを通じてゴーン氏が不正行為をしたことも確認しています。これは先ほど報告された通りです。
 ケリー氏の取締役報酬についても不正行為が確認されています。ケリー氏は2012~2017年度にかけて日産における取締役報酬が毎年度1億円を超えていたにも関わらず、複数の方法を用いて報酬を開示しなかったことが確認されています。
 会社資産の私的利用についてですが、ゴーン氏個人のための住宅の購入を目的に投資会社を設立させ、投資資金を流用していました。先ほど報告があったZi-Aキャピタル社の件がこの件です。
 先ほど報告がありましたように、個人のデリバティブ契約の含み損を会社に付け替えた件も報告されています。
 ゴーン氏およびその家族による私的な経費の利用も確認されており、一つは先ほど報告もありました実姉の実体のないコンサルティング契約でした。
 コーポレートジェットの私的使用などについても確認されています。当社が保有するコーポレートジェットやチャータージェットを、自身及び家族の私的用途に使用した事実や会社の資金を個人の旅費支払い、衣服購入、遊興費支払いなどにあてた事実も確認されています。
 以上申し上げた不正行為は多岐にわたりますが、これが現時点で判明しているものの全てではありません。
 「10年以上も前のことを今問題視するのはおかしい」という弁護側の批判もあるようですが、不正はごく最近まで行われていたことが明らかになっています。
 なお虚偽記載された有価証券報告書の提出と特別背任罪での会社法違反に関しては刑事事件として起訴されており、さらに特別背任に関しては当社としてゴーン氏を刑事告訴し、捜査当局にゴーン氏の処罰を求める明確な意思表示をしています。

 

西川:今進行中のものを含めて、より詳細な情報を知りたい方、大勢おられると思うのですが、なにとぞ今、司法手続きの関係上、ここまでが精一杯であるということをぜひご理解いただければと思います。
 最後に報告の中で申し上げた通り、この調査は比較的最近の事案から始めたことでございますが、「なぜ今ごろになって昔のことが分かったんだ」ということですが、徐々に掘り起こしていくと、だんだんだんだん昔のことが見えてきたというのが正直、実態でして、いきなり昔のことが分かったということでなく、最近の事案から調査をさかのぼっていくと、そういうことが見えてきたということです。
 従いまして、我々さかのぼって見えている部分が正直言いまして、全部かどうかというのは確信が持てていませんが、できる限りの調査をして、確認していきたいと思っています。その上で先ほどのご質問にありました通り、しかるべきタイミングで当然我々は法的な措置をとるということを前提に考えて進めております。

 

――もしカルロス・ゴーン氏とグレッグ・ケリー氏が今後の刑事訴訟で有罪とならなかった場合の訴訟リスクについてお伺いしたいと思っております。
 両氏とも今回の不正行為とされる案件については否認しておられますし、手口も大変巧妙ということで立証も難しいだろうと思っております。有罪に万が一ならないという可能性もあり得るのではないかと思っております。
 そうした場合、例えば本総会の議案の前提である不正行為が認定されなかった場合に本総会の決議の取り消し事由、無効の事由になり得るのではないか、損害賠償請求を提訴されるのではないかということもあり得るのではないかと思っております。
 過去の裁判例や第三者の専門家の意見も踏まえて検討していらっしゃると思いますが、こういったリスクが実現化する可能性とその万が一のリスクが具現化した場合のインパクトをどのように見積もっておられるかお聞きしたいと思います。

 

西川:先ほどの私の報告の中でひとつ言葉を漏らしてしまったかと思いますが、今回の解任、それから前回の解職とも、発覚したというか事案を確認して、これが十分、解職、解任に値するという専門家の弁護士の先生のご意見、確認はいただいております。従いましてこの部分に関して、私どもはリスクはないと思っております。
 一方、刑事事件として有罪になるかどうか。ここは私が今ここで軽々にコメントすることができないと思っておりますが、それとは独立して、私どもの判断そして確認された専門家のご意見ということを考えますと、今回の我々の上程をしていること、そして解職したことを含めて、ここは十分根拠があるということで、将来そういうことが仮に起きたとしても、我々は十分勝てると考えております。
 ただいまのご意見、十分に参考にして、十分な準備をしていますので、大変貴重なご意見として承っておきたいと思います。

 

ーーちょっと重なる部分もあるのですが監査役についてうかがわせてください。ガバナンス改善特別委員会の報告書を拝見しているとうるさい監査役についてはゴーンさんが再任しなかったとか、「何も言わない監査役を探してこい」と言ったとか、そういう話が書いてありました。

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 とすると要は今の監査役はダメな監査役ということになって、今現在もダメな監査のもとでガバナンスの構築をしていくことになっていると思います。これはしょうがない面もあると思うのですが、そこについてどうお考えなのか

 

西川:これは今の監査役の方々に対するご意見として承ります。私がお答えすることが妥当かどうか分かりませんが、ひとつはですね、長年そういうことがあったと先ほど株主のみなさんからもご意見としていただきました。「2003年からやってるのになんで分かんないんだ」ということですね。
 そういう中で、今回ご報告の経緯にあります通り、実際に今回の件の分かりだしたきっかけは現在ここにおられる監査役のみなさんの活動の結果で、その端緒がつかまれたということで、そこから行動を起こしていただいたことで今日に至っている、今回の事案のきっかけなんですね。

 従いまして、今のご批判、過去そういう発言があったり、そういう要求があったことはガバナンス改善特別委員会で確認されている通りで、私も事実だと思います。ただし、その中で現在の監査役のみなさんは実際にお仕事を十分果たされたと私は思っております。どのように評価するかはみなさんにお任せしたいと思いますが、私はそのように思っております。
 これを監査役のみなさんにお話をおうかがいするのはちょっと不適切かなと思いますので、独立取締役の豊田さん、ガバナンス委員会の委員長として少しご意見をいただければ。

 

豊田正和:私ども3人の社外取締役と4人の独立委員の方でこの部分についてお話をうかがい、インタビューをして、さまざまな議論をしてまいりました。

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 そのときに私どもが分かりましたのは、今回のケースは本当に特殊であると。企業における不正行為の問題はさまざまおありですが、多くの場合は会社のための不正行為。
今回のように私的利益のための不正行為というのは非常に珍しいと考えていまして、従いまして先ほどから、西川CEOが言っておられる典型的な経営者不正という言葉にふさわしいんだろうと思います。
 その意味するところは、まさに根本原因になるのですが、ゴーンさんに対する人事権、報酬権の集中にあったと。そしてケリーさんと一緒になって、特定の少数の方々に様々な情報が集まり、様々な権限が集まり、結果として特定少数の方にしか分からない、ある意味で意思決定のブラックボックス化が進んでしまったということであろうかと思います。
 そういう意味では、取締役の方もそうですが、監査役の方でも他の部署にいる限りにおいては探知の非常に難しいケースだということだと思います。まさに結果として、牽制機能が働かなかった。これは大変残念なのですが、非常に特殊なケースであり、私どもも外部の弁護士の方のお話も聞きましたけれども、これほど手の凝った周到なやり方をしていると、取締役のみならず監査役の方もとても理解できない、不正の早期発見は困難だったと認めておられます。
 私もそういった観点から今回の報告書を取りまとめまして、将来に向けてこのようなことが二度と繰り返さないような仕組みというものを提言をさせていただいたものでございます。
 今後この提言、社外の方を増やして過半にしていくということも含めて、井原委員長のもとで暫定的な指名そして報酬委員会のもとで議論をして、しっかりと体制をよく整えていきたいと考えております。みなさまのご支援をいただけますよう、よろしくお願いいたします。

 

西川:今の豊田取締役からのご説明にありました通り、ここは常に難しいケースでございましたし、難しいことがあったと思いますが、その中で繰り返しになりますが、長年の歴史の中で、今回の監査役のみなさんから問題提起があって、ここまで来たということをここだけはもう一度確認をさせていただきたいと思います

 

ーーレギュレーションに関する質問で申しわけないのですが、臨時株主総会のリリースを拝見したところ、一般的には基準日を書くものだと思うのですが、(目につきにくい)電子公告には書いてあったのですけど、IRリリースには載ってなかったんですね。

 「これは来て欲しくない人がいるから書いてないんじゃないかと邪推するもとになってしまって良くないんじゃないか」と思ったのですが、IRの方に基準日を書かなかった理由について聞かせてください

 

西川:基準日については申しわけありません。手続き上は、間違いなく公告をしておりますので、今言われたような意図は全くございません。きちんと公告したという意識で準備をしております。


――一連の不正により日産自動車の株価も低迷しております。いろいろ対応は取られておりますが、回復がまだ見込めていないと認識しております。先ほどゴーン氏に対する会社側からの民事的な訴訟も検討中とうかがいましたが、我々株主側からの日産自動車に対する訴訟というリスクをどうお考えかお聞かせください

 

西川:当然そういうご不満があると思います。
 そういう中で我々ができることというのは、とにかく事業への影響をできるだけ少なくして最大限の努力をしていくことに尽きると思っております。それ以上、私から申し上げることはないと感じておりますし、その努力をしていきたいと考えております。
 そういう意味で先ほど申し上げた通り、3つやらなければいけない。安定化のための努力に傾注していきたい。事業そのものの安定化、ガバナンスの構築、ルノーとあるいはアライアンスの安定化の3つ。ここを株主さまに対する責務として果たしていきたいと考えております。

 

ーー昨年のゴーン氏の逮捕起訴、会長職の解任以来、日産自動車の会長職が空位となっております。先ほど西川社長が「経営責任を果たしていく」とおっしゃられましたが、
その目途を何年後と考えておられて、解決後に西川社長の会長職就任といったお考えがあるか教えていただきたいと思います


西川:空席の会長職ということでございますが、私が先ほど「責任を果たしていく」と申し上げたのは、そういうことを意識しているわけではなくて、とにかく今やらなければいけないことをこのメンバーでやっていきたいということです。これに尽きると考えているということで、実際に会社の会長を置くかどうかについては、これからの検討になると思います。

 今の方向としては会長は置かずに取締役会の議長を選任させていただいて、その議長がこの間いただきましたご提言の通り、独立取締役の方にやっていただいて、その方は従来の会長よりは取締役会の議長として、ガバナンスのリードをしていただく、会議体の長としてやっていただく。

 もちろんそれぞれの委員会にも入っていただくようになると思いますが、そういう前提でのガバナンスを考えておりますので、会長職を置くことは、念頭には置いてないというのが今の状態でございます。ここは、これから定款等含めてどうするか、これから考えていきますが、少なくとも今の段階で会長職を復活させることは考えておりません。
 現段階では私が取締役会の議長を代行する形でやっておりますので、これが6月の総会以降は新たに選任をいただく形で、独立取締役の方が議長をされていくというのが日産の取締役会のガバナンスと理解して進めているところでございます。

 

ーー1点目は事実関係なのですが、西川さんのお話の中で「巧妙でよく分からなかった」あるいは「発見が難しかった」というのがあるのですが、当然、西川さんとか役員のレベルはその答えでいいと思うのですが、社内で気が付いていたけど上に上がらなかったというのが実際にあったのか。そういったことをちゃんと分かっていないと、「企業風土を直しましょう」と言っても多分また同じことが起こるんじゃないかと思ってあえてお伺いします
 2点目はリーダーシップの問題をおうかがいしたいと思います。20年前にアライアンスが始まって、ゴーンさんが来られてV字回復しました。そこはよく覚えているのですが各従業員が当事者意識を持って会社を立て直そう、あるいは日産のファンにいい車を作ろうということでV字回復したと思うんですね。

 今回それから20年経って、かなり大きな会社の変革をしなければいけないということがあって、ゴーンさんだけが悪いということではなくて、もう一度会社を立て直すというのは、今回役員の方あるいは職制の方含めて、当事者意識がないと多分同じようなことがまた起こるのかもしれないと考えます。そこで西川さんがどのようにリーダーシップを発揮されるのか、それをおうかがいしたいと思います

 

西川:もちろん調査の過程で、具体的にそういう作業に関わっていた人間がいることは確認しています。そういう人間も含めて、それはやっぱりやってはいけないことだということで、積極的に改善の方向に協力してくれていることがございます。
 あえて具体的な事例、名前なり申し上げませんが、そういうところを含めて、次に進みましょうということで協力してやっているということが今の状況です。
 会社が一丸となってというところですが、ここが実は本当に大事なところで今現在、会社の状況というのが一つあると思います。
 当時、1999~2000年のころは誰もが会社の状況がよく分かっていたことだったと思うんですね。今回のケースは突然起こったことで、いったい何だったんだろうかということ、まだ今日、株主のみなさまにご説明しながら、従業員の方にもま、一体どこでどういうことがあったんだということを理解してもらう、共有化していくことは非常に大事であります。

 当然ながら、これが昨年10月段階であることを予期していたわけでは全くないわけでして、まずは情報共有することがすごく大事だと思っています。ここだけは私ができる範囲で情報共有を従業員のみなさんとすることに今は努めております。
 その上で、これから事業運営をみんなで立て直していく、影響を少なくしていく、日産としてのブランド、日産としての信用を高めていく、こちらの方に会社の求心力を持っていくべきだろうと考えております。
 残念ながら今まではアライアンスの安定化、不正への対応とガバナンスの構築というところが非常に大きな仕事だったです。なかなか大変な仕事で、今おっしゃった部分について、これから行くぞという部分についての力を十分に割けていないというのは実は私の忸怩たる思いでございます。今日は非常に大きな節目になります。ここから今おっしゃられた部分について、会社が一丸となって、会社の将来に向けて会社を動かしていくところにエネルギーを割きたいと私も思っております
 残念ながら、この12月以降、私も現場に足を運ぶことが非常に限られてしまいました。そういう中で従業員のみなさん非常に頑張ってくれていると思います。現場の力というのは会社の基礎ですからそういう意味では販売であり開発であり生産であり、そういうところのみなさんと、もっともっと密にコミュニケーションして、次に進むパワーをこれから結集して進んでいきたい。そういう意味でも今日が非常に大きな会でございまして、ここでひとつケジメをつけて次に進みたいなと考えております

 

――招集通知の議案のところを拝見していまして、有価証券報告書の不正行為、投資資金の不正、経費の不正等ございますが、会計監査人のチェックが機能していたのかというところと、会計監査人の責任あるいは変更等は考えておられるのかということが1点。
 2点目は当社監査役と海外国内の監査役の連携が密にできていたのかというところです。後、内部監査室も含めて、どのように対応されていくのかをお聞かせください

 

西川:二つ目の方から申し上げますと、今後、我々が想定していることが立ち上げられることになりますと、指名委員会等設置会社になります。監査委員会というものが設置されて、監査委員会の委員長のもと監査機能を果たしていくことになります。
 その段階で経営と執行と相互に対して十分なチェックを利かせるということで今ご案内のいわゆる監査機能あるいは内部調査等の部分についての機能の整備、それから内部的な権限でございますが格上げというか、こういうことを今想定して準備しているところです。
 最初のご質問の会計監査の部分については、今現在非常に細かいところまで整理してチェックしているところでございますし、さかのぼって何を修正すべきかということも整理しているところです。
 会計監査の確認が不十分だったのではないかという点については、今回の件は会計監査の立場から見て、十分に捕捉できる材料があったんだろうかというと、申し上げた通り、非常にその部分が問題がないような形になっておりましたので、捕捉が難しかったんだと思います。
 今、会計監査人との関係でどういう仕事が進んでいるかということについて、少しCFOの軽部からご紹介したいと思います。


軽部博:今、会計監査人につきましては非常にグローバルに日産自動車の会計を監査してもらわないといけないということで新日本監査法人を採用しております。監査役会からの提案を受け、株主総会で審議をいただいて決定しておりますが、今のところ変える提案をする予定はありません。

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 通常の監査法人との働き方としましては定期的にミーティングをしているほか、マネジメントレターという各社から各監査法人からもらっている報告書を本社ベースで集めて、ちゃんとPDCAを回しています。
 きちっと問題点、将来に対する懸念点を本社に上げてもらって直接会話をしておりますし、年に2回、海外の会計監査法人も含めて本社に集まって直接本社の会計チームに意見を言う機会も設けてやっています。先ほど西川から申し上げた通り、今回の事案が起きてしまったわけですが、会計監査そのものとしては機能していると思っています。内部統制の問題を大きく改善していきたいと考えています

 

西川:今、軽部から話があった通り、会計監査という面より、申し上げた通り、我々自身の内部統制の問題が非常に大きいということで、ここに注力をしているということです。
 ひとつ、その中でも特に我々が十分注意してかからなければいけないのは、これの数はちょっと後で軽部の方から確認しますが、我々は子会社があって、孫会社があって、ひ孫会社がある。そういう法人のレイヤーがあまり多いと、十分目が行き届きにくくなるということがあります。
 今回の不正の温床となった関係会社の孫、ひ孫というところ、ここの数も大きな問題で、ここは我々自身が努力をして会計監査の目が通りやすくする構造に変えていくべきだろう、これは我々の責任としてやっていかなければいけないことだと思っております同規模の他の会社のみなさんと比較すると、そういう孫、ひ孫含めた会社の数が当社は多いです。

 これは意図的にやられた部分もあれば結果的にそうなってしまった部分もあると思います。しかし、そこはこれから大きく変えて統制が利きやすくする、透明性を上げていくということで我々自身の宿題であると認識して進めております

 

――近年デイズの件や無資格検査の件、そこから今回の件とか、信頼性が結構下がってきてるんじゃないかと思っています。日産のブランド力を今後上げるという話があったのですが、具体的にどういったことをして、日産のブランド力をアピールしていくのか、上げていくのかというのをお伺いしたいの1つ目。
 2つ目は今日早めに並んできたのですが、外で抗議してる方がいまして日産の従業員の方なのかOBの方なのか分からないのですが、もうちょっと従業員に対して思いやりのある指導だったり、もうちょっとああいった声にも耳を傾けて会社全体として改善できるような感じにしてもらいたいなと思うのですが、そのようなことについてどのようにお考えでしょうか

西川:2つ目については貴重なご意見としてうかがいたいと思います。具体的に何があったか、そこは私うかがえないですが、2つ前の方からご指摘があった通り、人を大事にしていくということで申し上げた通り、当社の力の元はさまざまな現場のみなさんだと思うんですね。

 技術の日産を支えているのはやっぱり現場だと思います。開発の現場であり、販売の現場であり、生産の現場であり、工場であると思います。そういうみなさんが意欲を持って働いていただける形を作ることは非常に大事だと思っています。
 そういう意味で特に今回のトップの不正ということは非常に重いですし、大きいです。私もその部分は非常に大事なところだと思って、組合のみなさん、あるいは従業員のみなさんに対して、今の段階でできる限りの情報を提供しているというのが私の姿勢でございます。しかし、これからは先ほど申し上げた通り、一丸となって進めていくパワーを実際に作っていかないと乗り切れる状態ではないと思いますので、そこに注力していきたいと思っています。
 その部分が残念ながら1~3月、私が十分時間を割けたかというと、なかなか割けていないというのは実態として認めざるを得ないと思っています。これからやろうと思っております。

 デイズの件や無資格検査の件については、長年現場に対して、ある意味で非常に厳しいコスト、エクスペンスの制約をしてきたところも背景にございます。
 従って、今そこの部分は改めて、従業員のみなさんが働きやすい環境を作るため、昨年度から今年度にかけてお金も使って、いろいろな意味で現場のみなさんの作業環境を良くしていくということに努めております。
 もちろんそれだけではないと思いますが、そういう具体的なとこも含めて、我々も従業員のみなさんにそういう姿勢を見せながら、一体感を作って進めていくことは非常に大事だと考えております。
 ブランドの部分は非常に正直に言いますと、今回の一件で影響を受けていないということはないです。影響を受けています。
 そうは言いながらもその中でお客さまからサポートをいただきながら、少しずつ販売は努力をして、結果を出しております。
 ご案内の通り、デイズの新型も出て、これからさあいくぞとなっているわけでございますが、その中でも技術あるいはクルマ、そのパッケージということで、日産インテリジェントモビリティというのが技術の日産のベースで、十分にみなさんに評価をいただいて、サポートもいただけると思っております。
 それが今後の大きなブランドパワーになっていくことは間違いないと思っていますが、一方で会社のイメージですね。いろんなところでニュースに出ますし、非常に正直なことを言えば、従業員のみなさんも我々役員もそうですが、そういう中で非常にネガティブな話題としてどうしても映ってしまう。これは影響として避けられないところであります。
 じゃあどうするかということでありますが、やはりひとつは今具体的に報告申し上げた通り、ガバナンスの面で徹底的に、トップのティアに匹敵する新たなガバナンスを構築して、日産としてはガバナンス元年として進めていくという姿勢を内外のみなさんにお見せすることが信用を回復していく大きなポイントかなと思っています。
 それに加えて、先ほど申し上げた通り、技術の日産、新たな日産インテリジェントモビリティというDNAの上に乗っかったブランド力として日本で、そして世界で広めていくこと。これは非常に大事なところで、ここに注力しながら、会社としてのガバナンスのイメージを変えていくことに尽きると思います。

 あとは地道に一つ一つそういうことを重ねていくこと、そこでみなさまから見ていただくことしか実際には解決策がないなと思っておりますので、着実に地道にやっていくことをお誓い申し上げたいと思います

 

――ピンチはチャンスと言いますが、役員の方にはぜひ頑張ってほしいと思っております。もう60年来の日産のファンなのですが、昔から日産のお家騒動といいますか、ごたごたは小さいころから知っているのですが、問題点は日産の社内で把握できると思うんですよ。今回の不正と違うかもしれないのですが、権力闘争だったりそういうことがあったと思います。
 質問として私が西川さんにお聞きしたかったのは、西川さんや志賀さんはゴーンさんの右腕と言われていました。近くにいてゴーンさんの人となり含めて、そういう不正に気付かなかったのか。

 それからゴーンさん自体、株主だと思います。私の記憶ではだいたい300万株ぐらいでしょうか、30億円くらいの株をお持ちだと思いますが、それが今後何か悪さをしないか、日産に影響があるのかといったリスクもお聞かせ下さい

 

西川:右腕というか長いことやってきたことは事実でございます。そういう意味ではこのご質問、私の先輩でもあります志賀取締役からひと言もしあればお願いします

 

志賀俊之:私自身おそらく日産の中でカルロス・ゴーン氏に最初に出会った日産の人間で、アライアンスの交渉の時にお会いしてその後、リバイバルプランの策定にともに入り、2005年からはCEOということでゴーンさんの次のナンバー2のポジションで、2005年に取締役になりましてから現在に至るまで14年間になりますので、おそらくどなたが考えられてもゴーン氏に一番近いところで仕事をしてきた人間だろうと思っています。

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 11月19日に逮捕されたニュースを知って、驚愕というか、驚いたわけですが、その日以来、その事実を自分なりに理解するというか、受け止めるのに正直時間がかかりました。「本当にそんなことをしていたんだろうか」という気持ちでした。
 徐々に時間が経って、取締役会等で内部調査の報告などを詳細に聞くにつれ、実態として受け止めるざるを得ない。そうなってくると今度は逆に「私自身がどうしてこういう不正を止められなかったのだろう」という反省の方にいきました。
 正直申し上げまして巧妙な犯罪だったので気がつかなかったと言ってしまえばそこまでなのですが、例えば先ほど話が出てきたZi-Aというベンチャーキャピタル、新しい技術に投資する会社を作るという提案があった時、「もう少し会社の目的であったり、定期的にモニタリングするやり方であったりというようなものを取締役として提案したり、あるいは質問できなかったんだろう」と後から非常に反省するようになってきて、反省が進んでまいりますと、今度は本当に株主のみなさん、お客さま、販売店のみなさん、サプライヤーのみなさん、従業員のみなさんがたに本当にご心配、ご迷惑をおかけしたことに本当に心が痛む日々を今も送っております。言い訳は何も出来ません。
 本当に大きく強く反省をしていますし、今も「あの時にああいうことができていればこんなことにならなかったんじゃないか」とそういう思いをしております。それが今の私の正直な心情です

 

西川:志賀さんと私がゴーン会長と過ごした期間や距離感は少し違うものがあると思いますが、実際にこの話を受け取ったとき私はショックだったと申し上げましたが、その後、どう咀嚼していいかなかなか難しいなという時間があったことを、これは志賀取締役からお話しさせていただいた通り、全く同じでございます
 おそらく距離が近く、より長い時間、特にゴーン時代のかなり最初の頃から一緒に仕事をしてきた志賀さんとしてはよりショックが大きかったでしょうし、より整理をすることが難しかったのではないかなと思います。

 そういう中で、今、志賀さんからありました通り、いろんな方から支持をいただいてたと思うんですね。ゴーン改革とかゴーンリバイバルとかいうことで、非常にそれが良かったということです。私も良かったと思っていますし、その中でいろんなことができたということもたくさんあると思っています。
 それと先ほど申し上げましたが特に後半ですね、負の遺産というか、なかなかその後に影響を与えている部分ということが今も事業運営の面でも残っておりますで、そういうところを両方勘案すると、やはり少し後半そういう部分が多く見えてきたのかなと。そこについて徐々に徐々に出てきたので、ここは志賀さんの感覚と全く一緒なのですが、そこでもう少し「そうではないですよね」ということが言えたのかなあということは私自身の反省としてもございます。
 じゃあ、できたのかできなかったのかというと、それはなかなか長い長い時間の中での変化ですから、「今振り返ってみると、こういうところでこういう問題があったね」と言えるんだと思うのですが、なかなかその時にはそういう発想が出てこなかったというか、長い時間をかけてそういう形で進んできたんだろうなと思っております。
 これは本当、言い訳でもなんでもないんですが、我々一緒に仕事をしてきた人間として見るとこれが実感だと思います。
 今、私の立場でそこを整理しなければいけないのは、「じゃあ今直すべきことは何なんだろうか」ということと、将来に向けて従業員のみなさん、現場のみなさんの力で築き上げてきた大事にしなければいけない部分とを、よくよく考えなければいけないと。全部ダメでしたとなると、逆に1990年代後半の日産に戻ってしまいますので。
 ここはリーダー1人ではなくみなさん、従業員のみなさん、サプライヤーのみなさん、お取引先のみなさん、ステークホルダーのみなさん、みなさんのサポートでつけられてきたものと、大事にする部分と修正すべき部分をかなり明確に切り分けて、会社の中でもお話をして、みなさんと一緒に進めていかなければいけないんだろうなと。ここは私のやるべき仕事の一つとして感じております。
 ガバナンスは刷新するのですが、事業として積み上げてきたものの中ではやはり残すべき財産とそれから修正すべきところ、この2つを明確にしていきたいと思っておりますし、そこは今、お話しいただいた先輩の志賀さんのご意見も含めて、我々制御していきたいと考えております。

 

ーー西川さんとは初めて会うんですが、志賀さんは昔知ってますかね、塙義一会長の時(にお会いした)。
 このたびの臨時総会なんですが僕は第1号議案のカルロス・ゴーン解任の件、第2号議案のケリー解任の件、第3号議案のスナールさんの取締役選任、大賛成です。
 先ほどから、色々な人が質問と意見を言われましたがあまりにも悪すぎる、カルロス・ゴーンは。
 監査役、内部告発をした人、西川さん、よく戦ってくれましたね。あなたがいたからできたんですよ、そうでしょ。西川さんがいなかったら、カルロス・ゴーンは今頃クルーザーに乗ってますよ。世界でも珍しいね、日本じゃまずいなかったね、こういう経営者。僕も何十年やってるけど。
 西川さんよくぞね、ケリーに「じゃあ職代わってもらえますか」とか恫喝されたりとかいろいろしたらしいですが、よくゴーンですね、やってくれました。監査役の人もよくやってくれましたと思います。だから僕はですね、1号議案、2号議案、3号議案、大賛成です。
 まあね、こんなこと言っちゃなんですけど強欲ゴーンはですね、塙会長が日産の銀座での総会の時、初めて連れて来ましたけどあの頃はいい顔してた、まだね。今、泥棒みたいな顔してるじゃないですか。テレビ出たり、拘置所から出た時の顔、詐欺師か泥棒ですよ、あれ。あんなもん早くやめさせないと。西川さんがようやってくれたですよ。
 それとね、第1号議案、第2号議案、これはもう大賛成、みなさんそうだと思います。

 ただね、西川さん、ガバナンスずっと言ってますけど、ゴーン流というやり方はいかん。ゴーン流というのはね、ここに質問する人を晒してるけど、やっぱりどこから手を挙げても質問ができるようにしないと(日産株主総会では質問予定者席というものが設けられている)。そういうのゴーンさんが初めてやったんですよ、ひな壇みたいなね、質問者そこ座ってくださいとか。整理券を出せとか。

 一番悪いのは原稿用紙に質問内容を書いて出してくださいと。こんなものはね、株主総会じゃないですよ。事前に株主の関心の高いものだけ喋る。そしたら全部分かってるじゃないですか、ゴーンのやり方は。
 だから株主を全然気にしてないんですよ。ルノーが43%を持ってようと、日産の株主は50万人いるんですよ。今日も何人来てるんですか、こういう一般株主とか個人株主を大事にしなきゃダメですよ。ルノーのスナールさんっていうのは、何か人が良さそうだからいいけどね。テレビで見てた。
 やっぱり西川さん、あなたが6月まで定時株主総会まで責任持ってやって、で、さっきの女性の方、イイコト言われたし、いい人もいっぱいいるんだから。で、さっき役員の方はみんな責任があると言いましたけど、責任はない。アイツが悪すぎる。そうでしょ、あんなの見たことないですよ。娘の学費まで出させたり、女房に送ったり、息子のところに投資資金送ったり。見たことも聞いたこともない。二度と顔を見たくない、ゴーンの。
 西川さん頑張ってくださいよ、これから。僕はね質問じゃない意見ですけど。何しろ今日はここへ来なきゃいけないとわざわざ広島から来たんですから。
 株主のみなさんにも僕の意見が参考にね、ちょっといい意見言ってくれたなって思われたら幸いですから、もう何にも言わない。もう西川さんが頑張るしかない。で、何ですか、スナールさんと仲良くしてフランスとも仲良くして。頼みますよ

 

西川:何も言葉ございません。大変貴重なご意見ありがとうございました。あえて何も申しませんけども厳しい、温かい叱咤と激励と受け止めました。ご意見は承ります。
 実はこの会場の設定も、従来のショー的なものから変えたかったんです(会場は従来のパシフィコ横浜から、グランドプリンスホテル高輪に変更された)。

(質問者が席から何ごとか発言)

 大変ストレートなご意見をありがとうございました。心して全力を尽くしたいと思います。11月からずっと日夜、休日返上でやっておりますので、私のできる限りのことはこれからも継続してやってまいりますので、お誓い申し上げます。


――「会社は誰のものか」という話があるのですが、最近では株主のものということになっているようですが、会社は従業員、従業員の家族、地域社会のものだと考えています。
 それから日産の風土を変えるという話がありましたが、多分、日産の会社の中で会議をやっても、おそらく意見がほとんど出ないんだと思います。ですので、まず会議で意見を出すようにしてもらいたいと思います。
 質問1点なのですが、ルノーとの関係について報道されている限りでは大変不平等な関係になっていると思いますが、これからルノーとの関係をどうするのか教えてほしいと思います

 

西川:「会社は誰のものか」というご意見、大変貴重なご意見だと思います。
 私も今回の件が起きた時、「日産自動車=ゴーン体制」というものが、先ほど志賀さんの話がありましたけども長いこと続いていたと。これが一瞬にして、ケジメは今日ですが、それがなくなった時に、会社は何なんだろうかと、あるいはみなさんから見て会社って何なんだろうか、私から見て大事にすべきものはなんだろうか、ということを考えたというよりは感じました。
 その時に思い浮かぶのはもちろん株主さまというのは当然我々の頭の中にあります。ただし、それとやはり働いている現場のみなさんが次に浮かぶ、そしてお客さまですね。お客さまというか、お客さまとして我々と接してくれているみなさん、これはクルマを買っていただけるみなさんもそうですし、日産を認めていただいている方もそうです。
 従って前もどこかで申し上げましたが、あれ以降、もちろん販売会社に来ていただく場合もありますが、日産の銀座のショールーム、今、 NISSAN CROSSINGと言っていますが、ここを頻繁に通るようにしています。
 その中でみなさんがどんな形で日産を見てもらってるんだろうということが非常に気になりますし、お客さまとして、あるいは将来のお客さまとして日産をみていただいているみなさんのあり方、現場を支えている従業員のみなさんとその家族、こういうみなさんが支えているというより、これそのものが日産のあり方を支えているというよりは決めているものだと思います。
 今回、先ほどご異議があったような大変なことが起きたわけですが、改めて会社はなんなんだ、誰のものだというときにそういうみなさん、今いわれたお客さま、従業員のみなさん、このみなさんの期待に応えるように、とにかく進めていくというのが我々の使命であると改めて感じています。
 今回の事件で改めてその部分の大事さと、頭ではなく感覚として、理屈でなく感覚として、その部分が身に沁みたというところでございます
 そういう意味では先ほど「これからやっていきます」と申し上げましたが、全く私自身も不十分だと思っていますので、その部分はこれから最大限の努力をしていきたいと思っています。
 会議のお話、そこも貴重なご意見として十分うかがっていきたいと思います。
 私が今の立場で会議をした時、みんながちゃんと意見を言ってるんだろうかということも含めて、そこは心してやっていかなければいけないし、仕組みとして変えていかないといけないところもあると思ってます。
 それからルノーとの関係でございますが、不平等とおっしゃった部分、実際のアライアンスのパートナーとしての仕事の仕方の部分に関しては、資本関係とかあると思うのですが、まず当然のことながらルノーは大株主でありますし、その部分は立場を尊重しないといけないのですが、実際にアライアンスとしての運営は従来から平等でありWINWINだと言ってきました。
 ただ、その部分が従来は一人の個人の裁量によって平等が保たれていたということであると思いますが、今回、新たにアライアンスボードというものを作ろうということでスナールさんたちと合意しました。
 この中であまりご説明していないのですが、画期的なのは仕組みとして完全にイコールであるということです。誰もが同じように意見が言えて、同じように合意ができて、同じように反対できるということですので、長いアライアンスの歴史の中でこの部分は非常に大きな進歩でありますし、本当の意味でのWINWIN、平等なパートナーシップということが三菱自動車さん含めてできたと思います。
 ここのマイルストーンというか合意は大事にして、今ご意見を伺った通り、将来に向けてこの形が維持できるよう努力を進めていきたいと思いますし、その意味ではスナールさんと意思疎通を十分にして、一緒に進めていきたいと思っておりますし、進めていけると思っております。ぜひ今後ともサポートよろしくお願いしたいと思います

 

――広島の方の悲鳴のようなご意見の後でちょっと恐縮でございますが、質問させていただきます。今回、ゴーンさんがルノーでも一人で非常に大きな権限を持っていたと思います。それがなぜ巨額な不正支出が日産の方でより多く発生したかということを考えてみますと、やはり財務経理のガバナンスの問題があるんではないかと想像いたします。
 なぜ日産の財務経理は結果として不正支出を許してしまったのか。それからこれから先、どんなに横暴なトップが就いたとしても、財務経理部門が不正なことを許さないようにするにはどうしていったらいいかお考えか、この2つについてお聞かせください

 

西川:これは私の見方ということで、お答えさせてください。
 まず同じようにルノーでもそういう不正があったと報じられています。日産でもあったということで、それが今、我々の調査で明らかになっていること、あるいは捜査で明らかになっていること、これからルノーで明らかになっていくこととが本質的に違いがあるか、そこは私、断定はできません。

 断定はできないのですが、ご指摘の点は財務経理というよりも、ガバナンスの仕組みでかなりの差があったことは事実だと思います。
 日本でいうところの指名委員会等設置会社という仕組みとは若干違いますが、ルノーは取締役会そのものが執行側からはCEO一人で、あとは全部執行側がいない。社外取締役含めて、非常に開かれた状態になっています
 そういう中で監査委員会もありますし、指名報酬委員会もあるということで、仕組みとしてのガバナンスは利いていたということだと思います。
 逆に言うと、私から見ると「そういう中でルノーでも不正があったのか」ということが若干私にとっては驚きであります。「そこまでやっていたのか」というのが、逆に私の正直な見方でございます。

 それに対して言いますと、日産は日産独自のガバナンスというところで見ると、やはり非常に個人の倫理観そのものに頼っていた仕組みだったことは否めないと思います。そのポイントは財務経理にあったのかというと、財務経理というよりはもう少し、当時の元会長の周りの組織、これはCEOオフィスというところであったり、一部秘書室であったり、そういうところに仕事が移って、なかなか財務経理の人間が手を出しにくくなったことがあったのではないかと思っております。
 従ってそこの部分にはもう組織的に手を入れていますし、CEO室も自主的に解体いたしました。その上で新しい状態に7月以降きちんと整備していこうと思っております。
 ガバナンスについて、どんな人が来ても大丈夫かというと、仕組みだけて全部が解決するとは思いませんが、仕組みがないと誘発することはありますので、私としては、まずは仕組みとして誘発しない仕組み、そういうことをやろうと思っても簡単にはできない仕組みを作ることが一番大事だと思っています。

 今回のガバナンス改善特別委員会の提言を、できるだけそれに沿った形で進めていきたいということはありますし、その中で長年にわたって人事権を持っていたところが一番大きいと思いますので、その部分は特にこれから注意をして進めていきたいと思っています。
 7月から移行するというのは、我々からしてみると時間軸で見ると非常に厳しい仕事であります。厳しいし、内部でその結果、少し戸惑いや混乱が起きることもありますが、そこは今回起こったことの大きさに鑑みて、最大限の努力をしてお示しすべきだろうし、我々の会社の将来を守っていかなければいけないですから、ちょっと時間軸厳しいですが、努力して実現したいということで今、日々を進めているところでございます。
 ぜひその部分、7月以降の体制につきましても今後、十分に吟味をしてやってまいりますので、引き続きその過程の部分も含めてサポートいただければ大変ありがたいと思います。

 

――これまでゴーンさんの不正の問題に関しては多くが語られてきて、ほぼ煮詰まってきたのかなという気もします。私も言いたいことはありましたが、もう少し先のことをご質問したいと思います。
 それは先ほども西川さんがおっしゃったようなことですがアライアンスのあり方についてです。アライアンスのあり方についてこれからお話しすることは若干、内部情報に基づいているかもしれません。ただし犯人探しはしないでください。そういうことをする体質こそが多分、過去の日産を悪くしていったものだと私は理解しています。
 アライアンスについてひとつのエピソードがあります。それは今、国内の日産を支えているe-POWER技術です。
 e-POWERはノートに採用されて3年を迎えますかね。今、かなり売れてると聞いています。他に売れてるクルマはあまり聞かないので、ややe-POWER依存のところがあろうかと思いますが、そのクルマはどうやって作られていったかという企画段階。もう随分前になりますが、その時に三菱自動車さんはおられなかったので、ルノーさんと日産のアライアンスがあって協議されたと思います。
 聞くところによれば、その協議は延々と続きました。日産がやりたいという提案はたびたびルノーから拒否されました。結局、最終的には両方折れて、両方が妥協したという、何を妥協したのかは知りませんが、そういうことでe-POWERの開発が決まったということです。
 これはアライアンスについて重要なことを示唆していると思います。大きな経営からすると小さいことだったかもしれませんが、意味していると思います。
 もしその時にルノーがもっと権限を持っていたら、例えば世間で言われるような日産をもっと支配するという方向にいっていたとしたら、おそらくルノーが日産の意見をはねていたでしょうね。そうすると今のe-POWERはなかったわけです。つまり一方に権限が強まればそういうことが起きる。
 ルノーというフランスの会社は、日本という市場を本当に知っているのか。本当に日産の持っている技術を理解しているのか。そういうことを言うのは疑問があるわけで、そこでルノーがあまり主張を繰り返すのは良くないと私は思っています。
 だから本当はスナールさんに聞きたいところですが、今後のそういうアライアンスにおいて、もちろん社長会長レベルあるいはスナールさんレベルじゃないかもしれない、単なる企画部門同士の話し合いかもしれないけども、そういうところでそういう押し切りが起きないようにするには、どう指導すればいいのかということのご意見をたまわりたいと思います。
 もう一つ、これは裏返してみればノートの開発の決定をするのに、1~2年のオーダーで時間がかかっているということ。アライアンスっていう言葉はかっこいい、コンセンサスを得ますという言葉もかっこいい、ですが裏返せば時間がかかる仕事なんです。時間がかからないような仕組みを作らなきゃいけない。
 トップの方はそんなに時間かけてたびたびやらないかもしれないけど、トップに上がる前、下で2~3年も議論したんじゃしょうがない。上から下にわたって決断を早くする仕組みを明確に作っていかないと、日産の将来はないと思うわけです。
 そういう意味でスナールさんにおうかがいしたいところもあったんですが、西川さん始めとした現体制からご意見をたまわれればと思います

 

西川:今、ご指摘のあった部分は、我々の問題意識とほとんど重なっていまして、まさしくそこを改善しようということで進めてきております。
 そういう中で具体的に過去そういうことがあったとご指摘いただきましたけども、我々もそこの問題点を感じております
 今度のスナールさんとの合意も、とにかくそういうところに関しては早く決めようということがひとつ。で、もう一つはWINLOSEになってはいけない。要するに押し付けてはいけない。

 双方が合意できないのであれば、それはやらないということが一つの手なんですね。それぞれのソリューションを求めていくということだと思いますが、今ご指摘のノートのe-POWERの誕生には非常に議論がありました。まさしくその通りであります。そこに1~2年もかけないことは非常に大事なことですし、そういうことをしているとアライアンスの価値、アライアンスの両社に対する意味がプラスにならないということになりますから、十分心してやっていきたいと思いますし、現場の方からもそういう意見は大変大きくあがってきています。
 現実に今でも、機能統合を進めてまいりましたが、統合ありきで非常に非効率なことが現場で起きております。そこは一刻も早く解決しようということで、我々の喫緊の議題として挙げておりますので、ひとつひとつそういう部分を解きながら、今ご心配のようなことがあったことがないようにしていきたいと思っていますし、結果としてe-POWERという非常に良いものが生まれました。これは日産の財産として育てていきたい、広めていきたいと考えておりますし、電動化というのは日産の大きな武器として、これから積極的に進めてまいりたいと思いますので、その部分でもご支援いただければありがたいと思います。


――日産の技術者が大流出を起こすようなことが起きて、LOSELOSEになってしまうようなことがないよう、ぜひとも経営のトップの方たちはお考えいただきたいと思います。

 

西川:ありがとうございました


――前の方の質問にもあったのですが三号議案について。ゴーンさんの後任として3号議案なんだと思うんですね。
 ケリーさんの後任はどうするのかというご趣旨の質問が前にあったと思いますが、それに対する議長のお答えはケリーさんについては別に考えたいというお答えだったと記憶しています。
 そうすると6月の定時株主総会でご審議するという趣旨だと思うのですが、とするならば3号議案のスナールさんについてはどうなのかと。

 私は三号議案のスナールさんという方、あまりよく存じ上げません。ゴーンさんのイメージがあまりにも悪いので、またルノーかと。きわめて単純ですよ、庶民感覚ですよ。
 後任を6月に選ぶんだったら、あえて今日この場でスナールさんについて、何でやるのかという素朴な疑問です。
 ケリーさんの後任が6月でいいんだったら、ゴーンさんの後任だって6月、ほかの取締役も合わせて選任するんでしょうから、時間をかけてやってもいいのではと思ったので。
 それと関連するのですが、そもそも今回の臨時株主総会の趣旨なのですが、メインは一号、二号議案だと思うんです。なぜ解任かというと、多分本人は辞めないから、強制的にクビにするんだという意味だと思うんです。つまり辞任だったらこの株主総会必要ないと思うんですね。

 ならばあらかじめ、停止条件付きの辞任届を取締役から取っておいて、ないと思いますが、こういうことが今後あったら取締役会で決定したら、その辞任届を発行させるように新任役員から取っちゃったらどうですか。
 スナールさんとか外国人だけにやったら差別になっちゃいますから、日本人の方についても同様にとやれば、わざわざこんな臨時株主総会みっともないんですよ、こんなことにためにわざわざやるのはと思ったので、社長さんの見解をおうかがいします


西川:まず二点目の件は今後進める上で大変貴重なご意見で、どういう形でできるか分かりませんが、ひとつご意見として、大変貴重なものとしてうかがっておきたいと思います。
 最初の部分でなぜ今回、1号議案、2号議案に加えて、3号議案を提唱したかというと、ご案内の通り、当然6月の総会でもう一度信任を受けることになります。これはルノーの代表者として、ルノー側の体制として入れ替えたということが非常に明確になったということ、できるだけ早く入れ替えておきたいというご要望もあったということもありますし、我々から見ると、実は本来であれば解任しておきたいというか、取締役として残っている期間も短ければ短い方がいいというところもありました。
 従って6月まで待つという選択肢もありましたが、ルノー側の態勢が整ったところから見て、それであればまずそこの選任者を選任させていただいて、新しいガバナンスに向けていくところからメンバーとして加わっていただいた方が良かろうということで、そういう判断をしており、取締役会のご承認をいただいて招集したというのが実情でございます。
 そういう意味では私たちもこの解任と選任のために、わざわざみなさんにお集まりいただくということ、大変申しわけないと重々思っておりましたが、ぜひご賛同いただければということで、今回の会議を開かせていただいた次第でございます。ひとつの大きな節目ですので、ご協力いただければ大変ありがたいと思っております。
 2つ目の件に関しましては、大変貴重な意見としてうかがっておきたいと思います。


――今まで2時間以上、話を聞いてきまして、非常に真摯に取り組まれていますし、ガバナンスその他を改善しようというのは、よく分かりました。でも、ここに来ているみなさんは日産の将来がどうあるのかに関心があって、今、一番私が気になっているのはスピード感です。
 今までの反省はぜひやっていただきたいのですが、社長やボードの方々がどういうスピード感で対応されようとしているのか。それをぜひちょっとお願いしたい。

 6月の株主総会は一つの通過点だと思いますが、西川社長として本当に新たな日産はいつぐらいの目途で、どういう形で実現したいと思っているのか、議論はいろいろあると思いますが、今あなたの思いだけでも結構です、聞きたい。
 もう一つは今までのこの6カ月間のスピード感、諸般の事情があったということですが、それに関してどうなのか。

 もう一つは結局、将来の日産はどうするのか、利益はあげれるのかというのが、株主全員の共通の関心だと思います。今までの反省はよく分かりました。全然否定するつもりもないし、ぜひやってください。誠意もよく分かりました。でも本当に知りたいのは
じゃあ、これをもって日産がどういう風に将来やっていこうとするのかが見えてこない。それは今から一生懸命考えます、いろいろ問題ありますというのは分かります。でもマイルストーンをやっぱり示してほしい。
 それと一番心配なのは、私はIT業界にいますが、スピード感が日本だと孫さん、グーグルも絡んできていて、自動車業界の今のスピード感は遅いです。トヨタはソフトバンクを組みましたね、あのトヨタがソフトバンクとですよ。そういうことで、ぜひその件に関してはお願いします

 

西川:スピード感はおっしゃる通りで、先ほど申し上げた通り、一刻も待ってくれないというところで、その中でやっていかなければいけないわけですから非常に厳しい状態であることは分かっておりますし、我々のスタンスとしては、極力そういう異業界のパートナーと組んで仕事をしていきたいと考えております。
 そういう中でスピード感とおっしゃいました。

 これは私としても非常に辛いお言葉でございましてこの数カ月間、色んな部分で進めるスピードが少し鈍っていることは否めません。今日このステップを境にスピードを上げていかなければいけないと思っておりますし、上げていきます。
 もう一つ、新しいガバナンスを作ることも非常に大事ではありますが、ガバナンスだけ作って、会社が立ち行かないと話になりませんから、会社そのものの推進力ということを上げていかなければいけないということ、その通りなんです。
 次の進め方を決める上でガバナンス改善特別委員会の提言を待っておりました。そこで提供いただいたところからフルスピードで今、仕事しているということでございますが、やはり執行という業務の運営という面で見ると、正直言いますと時間のロスがございました。
 ここから非常に大きなスピードでキャッチアップしていかないといけないと考えておりますし、最終的に今おっしゃったとおり、日産がどうなるかということが株主さまにとっての一番大きなポイントだろうということは重々認識しております。
 まず、とにかく2019年度をガバナンスの面でも事業運営の面でも次のステップに向けた年として、いろんなことを整理しておく年だと思っていますので、その後、2020~2022年、我々の持っております中期計画の後半ですね、ここで日産の挽回と言いますか、今の状態からの脱却をお見せすることが大事なことなんだろうということで、注力していきたいと思っております。
 そういう意味では私もスピード感といいますか、今回の事案でスピードが鈍ったということは残念ながら認めざるをえないと思ってますので、ここから急速に挽回していきたいと思っておりますので、ぜひ継続してご支援いただければと思っています

 

ーーおよそ20年ほど前、日産は瀕死の状態でした。有利子負債が2兆円、倒産寸前のところに迎えたのがルノーとカルロス・ゴーン氏でした。いわば外圧で日産は生き返った、V字回復を果たしてきたわけですが、今度分かったのはカルロス・ゴーンという人物はとんでもない魔物であったと、この魔物を退治するのに日産はまた外圧を利用した。つまり検察庁にお願いして退治するような方法を持ってきた。
 先ほどから経営者のみなさんからのお言葉によりますと、カルロス・ゴーンの悪事は知らなかった、気が付かなかった、逮捕されて初めて知ったと。こんな無様なことありますか、これは経営者として失格ですよ。
 おそらくね、知ってたと思う。知ってたと思うけども、それをやり出す勇気がなかったと私はそう思います。これはちゃんと責任を取らなきゃいけないですよ。経営者というのは常に切腹覚悟でやらなきゃいけない。そういう責任を持ってやる職務だと思います。そういう意味でちゃんとしたケジメをお願いしたいと思います。
 それから最後に第1号議案、第2号議案がこれから可決されると思いますが、カルロス・ゴーンとケリー両氏に対して、退職金とか報奨金とか慰労金とかそういうものを払うのかどうか確認したい

 

西川:今の20年前からのお話、そして経営者の覚悟という点、言われるところ十分理解しますし、そういう覚悟を持って日々業務にあたってるつもりでございます。
 とにかく今は、前の方のご質問にあった通り、とにかく日産はこの大きな動揺から抜け出して軌道に乗せるということにまずは注力して、その上でご指摘の部分についての責任の取り方を考えたいと思っております。ぜひその部分、ご支援いただければありがたいと思っております。
 それから2つ目の点。退職金の話でございますが、ここは当然我々としては・・・払いたくないということでございます。
 ただ、どういう形で法的な根拠をもって実現していくのかというのは、これからやらなければいけないのですが、そう思っているとお考えいただければ幸いでございます。今、私から申し上げられることは以上ですが、そのつもりでおりますとご理解下さい

 

(質疑を終了して議案の採決へ。3案とも承認されて、 12時57分に株主総会閉会。最後に新任取締役のスナ―ルさんがあいさつ)

 

ジャンドミニク・スナール:(日本語)日産株主のみなさま、こんにちは。

 日本語はあまり話せません。ここから英語で話させていただきます。

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(以下、英語)まずはみなさまのご審議に対しまして、心から感謝を申し上げます。本当にうれしく思っております。
 このたび取締役を拝命しまして、大変うれしく思っております。本当に光栄に存じます。ありがとうございます。
 今後、取締役のみなさまと共に、私は今後献身的に日産自動車の将来をより良いものにするべく頑張っていきたいと思っております。
 業績は将来にとって、なくてはならないものです。ただ、同時に日産の従業員の幸せも大事です。彼らが誇りを持って一生懸命仕事をし、そして彼らの将来のために頑張ってくれています。業績と従業員の幸せこそが、私にとって最重要課題であります。
 私は常にアライアンスの枠組みの中で最適な進化を求めてまいります。アライアンスは今回新しい時代、新しいスタートを切りました。私どもは日産自動車の明るい将来を実現したいと思っております。
 改めまして、本日はご審議いただきまして誠にありがとうございました

■日産臨時株主総会の翌日、ゴーン氏は自らの無罪を主張する動画を公開しました