こんにちは、すずきです。
新海誠監督の新作『天気の子』公開を前に、テレビ放送された『君の名は。』。内容に合わせたスポンサーのCMが流れたりと、攻めたチャレンジをしたのが印象的でした。
せっかくの機会なので、誰でも見られる本編放送を前に、「予告をどう作っているんだろう」と予告と本編を比較していたのですが、その過程でいろいろと面白いことが分かりました。
本編の何分何秒のシーンを使っていたのか、予告に字幕で時間を加えた動画がこちら。
『君の名は。』予告で本編の何分何秒のシーンを使っていたのか、時間を加えて分かりやすくしてみた
— すずき@セガ秋葉原5号館 (@michsuzu) 2019年6月30日
近いシーンでも前後を入れ替えたり、終盤も使ってるんだと驚いたり。重要なヒントの立入禁止看板が0.2秒だけ映ってたりするので、『天気の子』予告でもそういうのがあるかも https://t.co/yraZ5vsaga pic.twitter.com/phghmQJGLG
大きく4つほど特徴的なポイントがあったので解説してみます。内容の都合上、ネタバレが含まれるので未鑑賞の方は注意いただければ!
(1)近いシーンでも順番を入れ替える
まずは三葉の住む岐阜・糸守町の田舎っぷりを示すシーン
本編では後ろの時間軸にある三葉のクローズアップを予告では最初に持ってきています。キャラ紹介でもあるので、まず三葉が識別できるシーンを使う必要がありますし、カメラを引いていくイメージで編集した感もあります
東京の瀧(中身は三葉)のシーンでも微妙な入れ替え
これもカメラを引いて、「どこ?」とつぶやく印象的なシーンを最後に持ってきたかったのでしょう
「入れ替わってる⁉」のセリフとともにRADWIMPS『前前前世』が流れる、前半最大の盛り上がりどころ。
本編では岐阜→東京の順だったのですが、予告編では東京→岐阜の順になっています
ただ、これは演出ではなく、神木隆之介さん→上白石萌音さんという声優の紹介順に合わせたものだと思われます
(2)本編や他の予告と異なるシーンがある
瀧が自宅から出るシーン。このシーンは予告の4カ月前、制作発表会見で流れた特報でも使われていたのですが、特報では描いているのは背景だけで、瀧はいません。
つまり、「特報の段階では背景しかまだ描いていなかった」と、進捗状況を推測できるんですよね。演出上の問題で瀧を出していないだけかもしれませんが
図書館で糸守町への隕石落下について調べるシーン。
本編だと、一緒に旅行している奥寺先輩が鏡の左側に映るのですが、予告では見当たりません。こちらも公開直前の予告2では奥寺先輩が入るバージョンになっているので、進捗がうかがえますね。
入れ替わった瀧がノートに残した文章を読む三葉。
予告では瀧が書いたページが一発で開かれるのですが、これは本編にはないシーン。本編ではまず英語の文章が書かれたページが開かれて、何ページかめくるうちに瀧のページにたどり着きます。予告は時間が短いので、ページをめくる時間を削るためにこうしたのでしょう。
もしかすると本編も当初はこうだったのかもしれませんが、「適当にめくって一発で瀧のページが出るのはおかしいだろう」という意見が出て、変更されたのかも。
(3)ストーリー終盤のシーンも使う
『君の名は。』の上映時間は106分30秒
その終盤のシーンも使っていて、例えば三葉が瀧に会うため、東京まで出てくるシーン(74分ごろ)。
本編鑑賞後に見ると、「めっちゃ重要なシーンやん」と分かる隕石が落ちるド終盤のシーンもあります(91分ごろ)
(4)よく見るとめっちゃネタバレ
最初は長い髪の三葉ですが、糸守町の危機に前に、髪を切ってショートカットにします。そして予告には髪の長い時のシーンも、短い時のシーンも入っているんですよね
服の変化もそうですが、「本編のどこかで心境の変化があるんだろうな」とうかがえる場面です
予告でわずか0.2秒だけ映る災害対策の看板。
これは隕石落下で糸守町が消滅したことがうかがえる重大なネタバレですよね。このあたりは「映画鑑賞後のファンがニヤリとできるように」との意図もあって、予告を作ったのかもしれません
まとめ:DVD買ってね!(ダイマ)
こうして見ると、1分半の予告の中にいろんな要素が詰め込まれているのが分かりますね。『天気の子』の予告も同じように調べてみると面白いかもしれません。
予告は誰でも見られるものなので、画像を使っていいかなと思っているのですが、宣伝にもなるよう(怒られないよう)に、DVDのリンクも貼っておきます。気になった方は、買って比較していただければ。
新海監督の映像制作の思想もうかがえるので、演出志望者にはかなりオススメです。
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