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IGポート株主総会2025レポ|石川光久社長「庵野さんにプロダクション・アイジーの取締役になっていただければ、企画の精度が上がり、ヒットする確率がぐっと上がると思って、『取締役になってほしい』と単刀直入に伝えた」

 8月28日11時から行われたIGポートの株主総会。子会社にプロダクション・アイジー、ウィットスタジオなどのアニメ制作会社を抱え、『ハイキュー!!』『SPY×FAMILY』などの作品に関わっています。

 直近ではプロダクション・アイジーの取締役に庵野秀明さんが就任したことが話題になりました。

直近経営資料 2025年5月期決算短信決算説明会資料中期経営計画有価証券報告書
株主総会資料 定時株主総会招集通知
前回 第35回定時株主総会 質疑応答概要

 業績は増収増益(純利益ベースでは減益)。来期は増収増益見込み。

- 売上 営業利益 純利益 PER PBR 時価総額
IGポート・23年5月期 111億円 9億円 7億円      
IGポート・24年5月期 118億円 12億円 11億円      
IGポート・25年5月期 145億円 14億円 8億円 21.9倍 3.80倍 314億円
IGポート・26年5月期予想 157億円 17億円 13億円      
東宝・25年2月期 3131億円 646億円 433億円 37.0倍 3.31倍 16712億円
東映アニメーション・25年3月期 1008億円 324億円 236億円 33.9倍 4.33倍 6667億円
KADOKAWA・25年3月期 2779億円 166億円 73億円 44.0倍 2.03倍 5104億円

※株価は株主総会の前営業日終値を使用。PERは予想、PBRは実績

 セグメント別にみると、売上は映像制作>版権>出版>商品販売。しかし、営業利益では版権>商品販売>出版>映像制作と順位が異なってきます。

 映像制作の赤字を出版と版権の黒字でカバーする構造が長年続いてきたのですが、直近では商品販売が大きく伸びています。

 版権事業の売上をみると、かつては進撃の巨人シリーズが大きな割合を占めていたのですが、直近ではハイキュー!!シリーズやSPY×FAMILYシリーズの存在感が高まっています。

 気になるのは今後の作品パイプライン。

 「超大型SFロボット作品」「超大型SF作品」に大型出資とあって、当然、庵野秀明さんが絡んでくるのかが注目されるわけですが、「IPに関する質問は一切お応え致しかねます」と書いてあるので、株主総会で聞いても回答してもらえない感じはします。

ここ一年の主な動き

2016年11月16日 庵野秀明監督が初めて語る経営者としての10年(ダイヤモンド・オンライン)

2024年10月21日 『リラックマ』アニメーション制作決定のお知らせ

2025年1月10日 Netflixシリーズ『My Melody & Kuromi』制作決定のお知らせ

4月6日 庵野秀明監督が高校で作った初めての8ミリ作品は、『仮面ライダー』と『ウルトラマン』を足して2で割ったような『ナカムライダー』だった(文春オンライン)

5月19日 少年ジャンプ+読切アニメ化プロジェクトにおけるアニメーション制作決定のお知らせ

6月1日 プロダクション・アイジーがシグナル・エムディを吸収合併

6月17日 サンリオと資本業務提携

7月26日 【数土直志の「月刊アニメビジネス」】庵野秀明も経営陣に、IGポートの経営戦略を考える(アニメハック)

8月15日 「アニメ制作市場」動向調査2025(帝国データバンク)

8月21日 プロダクション・アイジーの取締役に庵野秀明さんと田中智則さんが就任

手元資金(ネットキャッシュ)の推移

 ほぼ無借金経営となっています

- 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
営業CF +18億円 +30億円 -18億円
投資CF -9億円 -12億円 -7億円
財務CF 0億円 -1億円 -5億円
- 2023年5月末 2024年5月末 2025年5月末
現預金 61億円 77億円 46億円
有利子負債 2億円 2億円 0億円
ネットキャッシュ 59億円 75億円 46億円

議案

(1)剰余金の処分→配当を1株につき11円に

(2)取締役5名選任

前年株主総会 今回候補者
石川光久 石川光久(創業者、CEO)
保坂嘉弘 保坂嘉弘(出版、COO)
栗本典博 栗本典博(財務・管理)
【社外】板東浩二 【社外】板東浩二(元NTTぷらら社長)
【社外】國枝信吾 【社外】國枝信吾(元ピクシブ社長)

(3)役員賞与支給→役員賞与総額1804万円 (取締役分1542万円(うち社外取締役分180万円)、監査役分262万円 (うち社外監査役分150万円))を支給

株主総会のTwitter実況

 株主総会の様子は僕のTwitter(@michsuzu)で「#IGポート株主総会」のハッシュタグをつけてツイートしていたので、まとめておきます

 11時10分から質疑応答。会場からの質問に先立ち、庵野秀明さんと田中智則さんが子会社プロダクション・アイジーの取締役に8月21日付で就任した経緯を説明

石川:通常なら議長として感情を抑えて進行していくことを心がけているが、今回は感情を抑えず、普通の言葉で就任の経緯を話させていただく。

 庵野さんは20年前から「プロダクション・アイジーはクオリティは高いけど、商売は本当に下手くそだな」と言い続けてきた。

 庵野監督流の最大のほめ言葉と思って信じてきたが、最近はそれがほめ言葉ではなく、「本当に心配してるんだ」と気付いた。

 それなら庵野さんにプロダクション・アイジーの取締役になっていただければ、企画の精度が上がり、ヒットする確率がぐっと上がると思って、庵野さんに「取締役になってほしい」と単刀直入に伝えたら、「いいよ」と言ってくれて、すごくうれしかった。このうれしさを、株主さんに何とか共有したい。

 私の人生を振り返ると、1~22歳の第1期は忍耐の22年間、22~44歳の第2期は挑み続ける22年間、44~66歳の第3期はガバナンスを守る、作品のクオリティを守る、スタッフを守る22年間で、次が67歳からの第4期。

 庵野さんに教わった喜びを株主さまに何とか伝えたいと思い、取締役に就任していただいた。アニメファンは100%、庵野さんの就任を喜んでいただけると思うが、まだまだ足らないと思い、ビジネスにおいて世界と戦える人材としてNTTドコモの田中智則さんにも「取締役になっていただきたい」と伝えたら、田中さんも「自分もプロダクション・アイジーの取締役になりたかった」ということだった。

 クリエイターとしてとしての庵野さんの力、ビジネスマンとしての田中さんの力、お金を稼ぐ仕組みを作る2つの力が、取締役になってくれたことは、株主さまにとって何よりもの喜びだと思う。

 

Q(すずき) 有価証券報告書の株式の保有状況をみると、非上場株式が2銘柄増えている。事業領域の拡大のためという理由だが、どの会社か。名前を言うことに支障があるなら、どういう分野の会社か教えてほしい。庵野さんが子会社取締役に入ることになったが、カラーは該当するのか

郡司幹雄:庵野さんの会社ではない。内容の詳細は控えるが、新規の事業領域を拡大するための関係性を強化するための投資

石川:庵野さんが活動しているスタジオカラーをとても尊敬しているし、スタッフの交流も強くある。今後、一緒になって作品を作ることがあれば、こんなにうれしいことはないと思っている

Q 新セグメントの商品販売事業について。中国での商品販売が好調で、名探偵コナンよりハイキューの方が人気というニュースも読んだ。商品販売事業の足元の好調さというか手応え、2026年5月期の状況を教えてほしい

郡司:商品販売事業の手ごたえは非常にある。

 上海の店を作るにあたり、ウィットスタジオとプロダクション・アイジーの中で事業部署横断のプロジェクトチームができた。

 私が頭でやっていたが、非常にまとまっているチーム。本当に苦しい戦いで、店を出すのは大変だったが、メンバーからは「みんなまとまって作業できてうれしかった」と言ってもらえた。売上よりそれが一番うれしかった。

 これは大きな案件だということで、世界中で展開すべく動いている状況。中期経営計画でも売上の中心になっている。ぜひご期待いただき、応援いただければうれしい

Q 商品販売事業について。決算説明資料のイベント出展予定をみると、すでに終わっているものもあるが、どのような状況になっているか。今後の売上を今期45億円→来期59億円→再来期111億円と見込んでいるが、国外のシェアをどう見込んでいるのか

郡司:出展予定については、出ているものと出ていないものがある。中国にパートナー企業があり、その状況によるものも結構大きい。

 課題としては弊社が作って輸出しているが、中国からの商品代金の入金が間に合わないといった事例も散見する。ただ、その辺を経験値として積んでいって、海外との交渉は非常に厳しいものがあるので、そういった部分でプロジェクトメンバーの力も上がっている。

 国外シェアについては、開示していないのでお応えできかねる

Q 有価証券報告書をみると、2025年5月期にウィットスタジオが赤字になっている。『My Melody & Kuromi』など新しい試みもしているが、昨今の人件費高騰のあおりとかを受けているのか、ニュアンスを聞きたい。来期以降どういう風に伸びていくのか

和田丈嗣:前期は赤字という状況になったが、今期は黒字を見込んでいる。

 おっしゃる通り、ウィットスタジオとしては新しいチャレンジを行っていて、『My Melody & Kuromi』ではストップモーションにチャレンジするという意志を持って進めた。

 これだけが理由ではないが、結果としてサンリオとの関係(6月の資本業務提携)につながった。ウィットスタジオとしては投資の観点と、今期黒字という形で足元はみている

Q 株主優待について、質問というよりお願い。コロナ前は株主総会でも講演会やお土産があったが、抽選でスタジオ見学とか、オンラインショップの5%クーポンを付けるとかあれば、IGを応援するファン個人株主も増えるのでは

栗本典博:当社はIPがたくさんあるため、あるIPを使用しても、ファン株主以外に届いた場合、心に響かないので、今のところ見送っている。

 また、株主優待を作るにあたり、関係使用料、制作費、発送費が数千万円かかる時もある。機関投資家からは「その費用を配当に回してくれ」という話ももちろんある。その中で公平な利益の配分として配当という形にしている。

 講演会の件については貴重なご意見ありがとうございます。こちらの方は考えて、ぜひ進めていきたい

石川:貴重な提案ありがとうございます。

 スタジオ見学等に関しては、株主さまとIGを支えていただいている人たちのパイプをつなぐ場として、「いいアイデアはないかな」というのは今後も考えていきたい。今後の参考にさせていただく

 

Q プロダクション・アイジーのアニメは映像はきれいで業界トップクラスだと思うが、歌の印象が弱い。主題歌が話題になったアニメは『BLOOD+』『攻殻機動隊 SAC』くらい。カラオケで歌われるような主題歌の開拓はできないか

和田:しっかり頑張っていきたいと思います

 

Q 先日、中期経営計画のローリングということで、かなりの下方修正をした。社長からビジネスがなかなかうまくいかないという話があったが、庵野さんと田中さんの加入でブレもなくなるのか、常にローリングしていくものなのか

藤本智典:2人は取締役に就任したばかりなので、まだ業績への影響はない。企画もビジネスの立ち上げも年数がかかるので、1~2年で反映されるものではない。

 中期経営計画については、子会社からの積み上げで出しているもので、現状の精度は高いと思っているが、外部環境がある。配給会社からの報告で計上のタイミングが変わってきたりする。

 また、作品への出資は、ローンチから約1年で費用として償却していくので、費用先行という形となる。版権収入の売上が業績に反映されるにはローンチから数年かかるので、ズレの要因となってしまう

Q サンリオとの資本業務提携について。IGポートは業界の重鎮として、さまざまなところから話が来ると思うが、サンリオを選んだ背景は。顧客層が全然違う気もするが、サンリオとのストーリーをどのように考えているのか

和田:『My Melody & Kuromi』の制作を通して、サンリオさんとの関係性が生まれた。

 ストップモーションスタジオを立ち上げて、どの作品を作りたいかという時、日本から世界に挑戦するIPで、自分たちが身近に感じているもので作りたいという思いがあり、Netflixと協力して『My Melody & Kuromi』を作りたいと提案した。

 そこから数年、時間がかかったが、その中でサンリオさんのデザインチームは本当にすばらしいと思った。自分たちはアニメスタジオでキャラクター開発などをやってきたが、サンリオさんではIPを開発する社内クリエイターが3ケタ以上内部にいて、切磋琢磨している。

 しかも、総選挙(サンリオキャラクター大賞)という仕組みがあって、世界中のファンの目の中で競争している方たちとの出会いは、ウィットスタジオのクリエイターにとって印象的だった。

 自分たちはストーリーや設定から作っていくが、彼らはキャラクターとその造形にフォーカスを当てて、かわいいものを作っていくことにすごく驚いた。

 その中で自分たちの役割は、キャラクターにストーリーと魂を入れて動かすことだと実感した。サンリオさんの力とプロダクション・アイジーやウィットスタジオの力が合わさったら面白いと思い、日々生きていたら、突然石川から話があったという流れ。

石川:和田は「サンリオさん」と「さん」をつけたが、サンリオからは「呼び捨てで呼んでほしい。ファミリーだから」と言われて心が締まった。

 「IGの作品とサンリオの作品は真逆だ」と話したら、「そこから生み出す世界に通じるものはまったく同じだ。だからこそ面白いんだ」と、いろいろ話しているので、今後の結果というか、作品に期待していただきたい。

Q 経済産業省のエンタメ・クリエイティブ産業政策研究会にプロダクション・アイジーを代表して和田さんが参加していたが、どのようなことを訴えたのか。「5ヵ年アクションプラン」が公表されたが、これが実現されたら長期的にどのような経営上のインパクトがあるのか

和田:提言はシンプルで、今後大きく成長していくものを国が支援することに対して、足元のアニメスタジオの状況を現場の声として訴えた。

 具体的には制作費高騰に対して、アニメスタジオが資金的にも厳しく、作ったことに対する対価の仕組みが例えば韓国のアニメスタジオより著しく低いことを、実例含めて提示した。タックスクレジット(税額控除)や、今の日本のアニメの資産としてアーカイブを強く訴えた方がいたのも印象的だった。

 クリエイターを支援することについてはみんな一致しているので、この研究会に参加して意見を言うことで、アニメスタジオ全体の改善につながるのではないかと考えている

Q 今後どういう風に世界展開をしようと思っているのか。米国の関税が問題になっているが、米国、中国、欧州、どういう感じで世界展開をしていくのか

郡司:中国のグッズ市場が大きくなっているという話が、先ほどの株主さまからもあった。実はわれわれコロナ前も中国に結構行っていたが、「中国の人はアニメグッズを買わない」と言われた。しかし、コロナが明けたら大爆発した。

 コンテンツの浸透には段階があって、まず見始める。違法配信も含めて。それがある段階を超えたら、違うことをしたくなる。日本に来たり、グッズを買ったり、クリエイターのトークショーに来たり、といった段階的な消費の連動が起こる。これが今、世界中で起こっていると痛感している。今までは製作委員会を通じて行っていたが、自分たちで出向いていくことでさまざまなことが分かってきた。

 一方、海外の交渉は非常に厳しい。日本は本当に優しい国だなと思う。裏切られたり、契約が守られなかったりする。若い人を連れて行って、自分たちの力にしていくことを目指している。

 今までは製作委員会の海外窓口がやっていたことを、直にわれわれが交渉して、ニーズをつかまえて売っていくことを目指している。

 関税の影響は確かにある。その場合は現地生産するなどして、現地のディストリビューターと会話することで、どれにするべきかを考えていく

 

Q 特定の作品に対する質問で恐縮だが、来年アニメ放送から10周年を迎える『ジョーカー・ゲーム』で、10周年記念の展示会など新たな動きはあるのか

和田:大前提として機密保持の関係から回答できないが、株主さまのような声はたくさん届いている。今日いただいた言葉も、作っているみんなには必ず伝えますというところだけお約束する

Q 『真・侍伝 YAIBA』はバトルはすごいが、盛り上がっていない。完結作品は根強い人気があるか分かるので、グッズが売れている作品をアニメ化しては。『SLAM DUNK』『動物のお医者さん』『あさきゆめみし』などをウィットスタジオのきれいな作画でリメイクしてほしい

和田:いただいているような議論は、社内でもいろいろしている。『真・侍伝 YAIBA』は現状放送中で、しっかり魂を込めて作っていて、必ずヒットすると信じて制作を続けている。

 作るものがすべて、企画がすべてというところは意識しているので、いただいた意見を参考にして頑張っていきたい

Q 前身のプロダクション・アイジーが上場してから20周年で、私も20年来の株主。つきましては来期に記念配当を1円でも2円でもいいので検討してほしい

栗本:配当性向25%ということで、少ないかなと思いつつ、余った資金は次の成長に向けて投資している。貴重な意見ということで、資金の計画を立てた上で記念配当もできれば考えたい

石川:20年間、株を持っていただきありがとうございます。まだまだ期待に応えられないこともあるかと思うが、全力で頑張るので、今後ともよろしくお願いいたします

 

Q 少子高齢化にともない、どんな産業でも労働人口の減少が懸念されている。クリエイターを安定的に獲得していくために、どのような取り組みをしているか

和田:プロダクション・アイジーとウィットスタジオとして、新卒採用に積極的に取り組んでいる。2社それぞれの活動に加えて、IGポートとして連合で盛り上げていこうという意志決定をしていて進めている

 フリーの優秀なクリエイターに関しては、正社員化や契約社員化のオファーをしていて、社員数の増加につながっている。

 社員数の増加は固定費含めて人件費高騰のあおりを受けてしまうが、弊社としてはクリエイティブにしっかり注力したいと思っているので、この部分を両方考えながら進めていこうと思っている

Q 映像制作について、制作費高騰などで赤字が計上されているとのことだが、委託先と受託先で制作費の認識にずれがあることが原因なのか。赤字を解消するためには何が大切だと考えているか

和田:アニメという特質上、制作決定から2~3年かかることがある。そのため、当初考えられていたところから外部環境の変化が起こったのが昨今の状況。人件費高騰や円安などで、制作費にギャップが発生している。

 この状況をどうやって打破するか。私たちはヒットさせることだと思っている。具体的にはハイキューやスパイファミリーに関しては、ヒットしたことで制作費の交渉を行って、大幅に制作費を上げられていて、黒字を見込める状況が確保できている。

 外部環境はいろいろあるが、自分たちとしてはとにかくヒットを出して、お客さまに認めてもらい、それに伴って交渉していくサイクルに入っていければと思っている。

Q 石川社長の先ほどの22年サイクルについて聞きたい。上場後は守りの22年間で、これから次のフェーズに入るということだが、まだ制作者やクリエイターの知恵が十分でない中で次にいっていいのか。連続性の部分について聞きたい

石川:本来は1時間くらい話したい。

 上場してから20年、会社を作ってから39年、スタッフに恵まれ、本当にみなさん、私含めて頑張ってきた。3年前にプロダクション・アイジーの社長を和田に交代して、私は会長となり、IGポートの軸足を支えるようにできたことで、ここ3年は株価にも関しても少しは期待に応えられるようになったのでは。

 世代交代というのもあるので、次の世代に渡していく。この3年間、本当に大変なこともあって、心が折れるようなこともありつつ、和田とともに歩んできた。

 今回、庵野さん、田中さんにプロダクション・アイジーの取締役に就任していただけたことで、今後に期待していただければ

 

Q 演出家の高齢化と後継者不足について。『鬼滅の刃』の登場をきっかけに、テレビでも劇場版並みのクオリティが求められていると聞く。しかし、それにこたえられるような人材が欠けているという話をベテラン監督から聞く。演出家の育成について現場で取り組んでいることは

和田:プロダクション・アイジーに関しては『銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅』『黒子のバスケ』の多田俊介監督に社員になってもらった。そして、多田監督のもとで、新人育成を行っている。同じような形でウィットスタジオも社員の演出家が若手を育てる環境を作っている。

 シグナル・エムディが今回、プロダクション・アイジーに合流したが、シグナル・エムディが作っているファミリー向けタイトル、1~2クールより長いタイトルを作る現場に若手のメンバーが入ってチャレンジできるような環境を準備し、育成と実践というサイクルをグループ内で回せるようにしている。

 

Q IGポートは今後ストック型に移行していくことでEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は2031年5月期以降も右肩上がりになっていくという認識でいいのか

藤本:あくまでイメージとして出している図で、ここを目指していきたい

Q 商品販売事業でのI.G & WIT Anime Studio Storeのポジショニングについて。アニメイトのような物販店をイメージしてるのか、特定作品のファンのためのストアのようなものをイメージしてるのか

郡司:アニメイトとファン向けの中間。我々の店舗の優位性は中間成果物を使った製品を数多く展開していること。

 通販でもあるが、リライティングという形で、画面が暗かったものを明るくして、リヴァイ(進撃の巨人)のカッコよくした顔をよくみえるようにしたものとかを売っていて、これが大変好評。

 製作委員会からも「制作会社のみが出せますよね」と納得いただいている商品で、他社には出せないので優位性を持っている。なので、ファン向けというところと単純な物販を掛け合わせた店と考えていただければ

Q 有価証券報告書をみると男性の育児休業取得率が2024年5月期は0%とひどかったが、2025年5月期は75.0%と急上昇している。これは何か特別な試みをしたのか

栗本:マスコミでも騒がれているように、男性社員の育児休暇取得しようとか、社内での啓発などを行っているのが、この結果につながったと思う

Q 特定の作品になるが、私は『銀河英雄伝説』が好きで株主になった。『銀河英雄伝説 Die Neue These』の続編の情報があまり出てこないので、視聴者の視聴意欲が失われていると感じる。プロモーションの改善についてどう考えているか

郡司:作品を愛していただきありがとうございます。戻ったらすぐ、磯部真彩プロデューサーと多田俊介監督に伝える。続編については長らくお待たせしてしまい、申しわけない。制作ラインが違う作品を作っているので、なかなかすぐにできないというところがある。

 プロモに関しては宣伝担当の松竹とこういった声があったと伝えて、協議して改善していく。

 手を挙げる人がいなくなったので質疑応答を終え、議案の審議へ。議案の方では質問がなかったので、すぐに採決へ。3案とも問題なく通過して、12時20分に株主総会閉会

 閉会後、子会社の新役員として庵野秀明さんと田中智則さんが簡単にあいさつ

庵野:普段はカラー代表取締役や監督、脚本、プロデューサーとかをやっている。

 このたびは石川さんにいろいろ言われて……付き合い長いんですよ。普段から長くお世話になっているIGさんの何かしらの力添えになれればと、感謝と恩返しを込めて、この話を引き受けさせていただいた。

 たぶん僕に「ヒット作の企画をしろ」と言われてるかと思うが(笑)、株主さまからのお話にあったような、カラオケで主題歌が歌われるような作品をIGでも作っていきたいと思っている。

 みなさまよろしくお願いいたします。

田中:私はNTTに入社した後、サービス開発を主に担当してきて、モバイルセクションでは経営企画で、業務提携や資本政策といったこともしてきた。現在はNTTドコモで映像、エンタメ事業の担当をしている。

 こうした業務経験を生かしながら、IGグループの中での人の成長と発展に貢献していきたいと考えている。

 取締役ではあるが、業務の方にもしっかり入り込んで進めていきたいと思うので、株主のみなさまにも、今後またご指導いただければと思っている。

 どうぞよろしくお願いいたします。