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アリスソフト(チャンピオンソフト)の創業の地、奈良県橿原市に行ってきた

行ってみた

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 今や日本のコンテンツ産業の稼ぎ頭となっているゲーム業界。中でもスクウェア・エニックスやコーエーテクモなど1970~80年代に生まれた企業は、PCゲームからゲーム業界に参入してきた歴史があります。

 1980~90年代のPCゲームはアダルト分野がメイン。『TOKYOナンパストリート』(エニックス)、『オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか?』(光栄)といったタイトル名を聞いたことがある人も多いでしょう。

 そのPCアダルトゲーム業界で存在感を示していたのが、株式会社チャンピオンソフトのアダルトゲームブランド「アリスソフト」。『ランス』シリーズや『闘神都市』シリーズで知られ、『同級生』シリーズのエルフと合わせ「東のエルフ、西のアリスソフト」と言われていたほど。

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 「西のアリスソフト」が創業時、本社を構えていたのは奈良県橿原市。Wikipediaによると、白木善喜さんが脱サラをして1983年に株式会社チャンピオンソフトを設立、1989年に『Rance -光を求めて-』、1990年に『闘神都市』を発売したとあります。

 それにしても東京から遠く離れた地方都市にある一企業が、業界の雄となったのは驚くべきこと。ちなみに「東のエルフ」の本社は、アニメ制作会社も多い東京都世田谷区にあります。

 今回、全国金魚すくい選手権大会のために奈良県を訪れたのですが、ついでにアリスソフト創業の地にも行き、どんな環境から日本を代表するPCアダルトゲームメーカーが生まれたのか調べてみることにしました。

 

▼ネット上に情報はなし

 ただ、アリスソフトの詳しい住所を調べようとしても、ネット上では「奈良県橿原市」とまでしか情報がありません。

 そこでPCゲーム誌『テクノポリス』の1989年7月号をパラパラめくったところ、『Rance -光を求めて-』の広告を発見。そこに住所が書いてありました。

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 画像の会社の表記の部分を拡大すると「橿原市中町200-147」とあります。発売前の広告なのですが、「現金書留又は郵便為替にてお申し込み下さい」という文面に時代を感じます。

 移植予定機種に挙げられているPC-88SRのメモリはわずか96KB。今は8GBくらいが普通なので、この30年ほどで約8万7000倍に増えていることになります。この業界の進歩は早いですね。

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 次にGoogleマップで「橿原市中町200-147」を検索すると、鉄道からも幹線道路からも離れた場所にあることが分かりました。

 最寄り駅の近鉄・新ノ口駅から1キロほど東にあり、従業員の通勤や取引先との打ち合わせなどに不便があったのではないかと思ったり。

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▼実際に行ってみた

 日曜日の昼ごろに新ノ口駅へと移動。新ノ口駅は奈良県中部の中心である大和八木駅の隣で、近鉄電車だと大阪難波駅から40分、京都駅から1時間で着きます。

 夏真っ盛りでめちゃめちゃ暑い中、新ノ口駅で降りてひたすら東へと歩いていきます。駅周辺に高層ビルはなく一軒家ばかり、商店もあまりありません。国道24号線を越えると、田んぼや畑も目に付くようになりました。

 個人的には、途中で通り過ぎたくちなし幼稚園の施設が充実していたのが印象的。奈良県は有力進学校の存在もあって東大・京大進学率が全国一なのですが、その理由の一端を見たかのようでした。

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 新ノ口駅から20分ほど歩くと、橿原市中町に着きました。しかし、「橿原市中町200-147」にあったのは会社ではなく普通の民家。かかっていた表札の苗字もアリスソフト創業者の白木善喜さんと異なっていました。アリスソフトは1995年に大阪府北区へと移転したのですが、土地ごと売却したのかもしれません。

 個別の民家を撮影するのは問題があるので、あたりの道路を撮影したのが次画像。やたら高級車が目に付いたので、高級住宅地かもしれません。

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 近所には機器製作のタミヤやパナソニックショップ、菱永電子製作所など、ものづくり系と思われる会社がいくつかありました。こうした土地柄が、ソフト開発という仕事を成立させる土壌となったのかもしれません。

 ただ、地方の濃い人間関係の中、アダルトゲーム制作という事業がどう受け入れられていたのかは興味深いところ。そもそもここは通販の拠点であるだけで、開発は別の場所で行っていた可能性もありますが。

 それにしても空がきれいで、東京とは大違い。周辺の様子を見るだけならGoogle ストリートビューを使えばいいので、実際に訪問してこの空気を感じられたのは貴重な経験になりました。

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 現在、アリスソフトは規模を縮小しているのですが、ここで活動していた企業が当時、PCアダルトゲーム業界でスクウェアやエニックス、光栄と戦っていたと思うと、ワクワクするものがあります。

 それらの会社とはファミコンへの参入で運命が分かれたのですが、才能や情熱を持った少数の集まりが活躍したということでPCアダルトゲーム黎明期は、今のスマホゲームの状況と似ているのかもしれません。

 時効で話せることも増えていると思うので、昔のヒット作品の裏話を取材している電ファミニコゲーマーさんあたりに、地方都市で奮闘したアリスソフトの歴史をインタビューしてほしいところです。