アベノミクスの目標の1つとなっているのが賃金の上昇。2013年は安倍政権の要請に応じて、ローソンなどが率先して賃上げしていました。
そして今、自発的ではなく、人手不足で環境的に賃上げに追い込まれているのが飲食業界です。特に大手牛丼チェーンのすき家は人が足らないことから、ワンオペの時間帯が拡大、オペレーションが追い付かなかったり、休店に追い込まれたりしていることが報道されています。
→人手不足:景気回復で奪い合い 時給1375円も求人難(毎日新聞)
そこで実際の求人の現場はどのようになっているのか調べるため、秋葉原周辺の牛丼チェーンを回ってみました。
まずは話題のすき家から。秋葉原UDXの向かいにあるアキバ田代通り店では5~22時が時給1100円、22時~翌5時が時給1375円。かつては時給が1000円を切っていた記憶があるのですが、随分と上がったものです。時給だけではなく、クーポン券支給やまかない付きもアピールしています。
次のライバルチェーンを見ていくと、吉野家の秋葉原中央通り店は5~22時が時給1050円、22時~翌5時が時給1313円と、すき家よりやや下のライン。
松屋の秋葉原中央通り店は昼・夜が時給1100円、深夜が時給1375円と、すき家と同レベル。「基本時給なんと…100円UP!しました」なる張り紙が下にあるところから推測するに、最近上げたばかりなのでしょう。
秋葉原から少し北に離れたところにあるすき家末広町店の張り紙では、時給はアキバ田代通り店と同じなのですが、上からテープで修正しています。このあたりは動きが激しすぎて、ポスター製作が追い付いていない、もしくはまた改定する可能性があることがうかがえます。
なか卯末広町店は8~22時が時給1000円、22~翌5時が1250円と大手チェーンの中では最も安くなっています。なか卯はすき家と同じゼンショーグループなのに、この差はどこから来ているのかと疑問。
同じグループならすき家に応援に行けばいいじゃんと思ったりもするのですが難しいのでしょうか。メニューやサービスは明らかになか卯の方が上ですし、交流はないのかもしれないですね。
一方、小規模チェーンを見ると、神戸らんぷ亭はかつ丼屋に業態変更をしていて、独自の戦いを模索中。報道を見ると、今年の1月から各店舗で改装を進めているようです。
→田町の牛丼店が「かつ丼屋」にリニューアル-神戸らんぷ亭が新業態(品川経済新聞)
焼き牛丼で一世を風靡した東京チカラめしでは、求人の張り紙は見当たらず。会社の業績が悪いので、これ以上人件費がかかるようなら閉店やむなしという方針なのかもしれません。
牛丼チェーンが高時給を提示する一方、ハンバーガーチェーンの時給を見ると、牛丼チェーンほどの上昇を見せていません。マクドナルド、モスバーガー、バーガーキングと見てきたのですが、いずれも昼の時給は1000円までにとどまっています。
人を極限まで少なくすることを目指していた牛丼チェーンと比べて、基本的にチームで動くために従業員数が多いハンバーガーチェーンの方が、急な人手不足には強いということもしれません。人手不足が長引けば、ハンバーガーチェーンの時給も上がっていきそうですが。
もともと飲食店では学生のアルバイトが多いため、卒業を機に辞める人が多くなる3月ごろからは人手不足となりがちな時期。今の時期さえ過ぎればなんとかなりそうですが、時給上昇の流れがどこまで続くのか注目していきたいところです。