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東宝株主総会2024レポ|松岡宏泰社長「帝劇は私たちの本拠地。2025年の休館で空白の期間を伴うが、(建て替え後の再開に向けて)みなさんにみていだけるよう一丸として取り組んでいくので、ご期待していただければ」

 5月23日10時から行われた東宝の株主総会。映画、演劇、不動産が事業の柱です

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前回 東宝株主総会2023レポ|松岡宏泰社長「ジャニーズ事務所についての報道が真実なら、決して許されることではない。一方、事務所が見解を出して、『改善していく』と言っていることも事実。ジャニーズ事務所がどのように変わっていくのか注視して、対応していきたい」

 業績は増収減益。来期は減収減益見込み。

- 売上 営業利益 純利益 PER PBR 時価総額
東宝・22年2月期 2283億円 399億円 295億円      
東宝・23年2月期 2442億円 448億円 334億円      
東宝・24年2月期 2833億円 592億円 452億円 21.8倍 1.86倍 9126億円
東宝・25年2月期予想 2800億円 550億円 390億円      
松竹・24年2月期 854億円 35億円 30億円 91.1倍 1.35倍 1294億円
東映・24年3月期 1713億円 293億円 139億円 20.0倍 0.92倍 2584億円
KADOKAWA・24年3月期 2581億円 184億円 113億円 31.6倍 2.22倍 4466億円

※株価は株主総会の前営業日終値を使用。PERは予想、PBRは実績

 映画業界全体の推移をみると、2023年の興行収入は2214億円と前年比3.9%増。記録的な当たり年だった2019年は例外とすると、ほぼコロナ前の水準まで戻しています。

 コロナ以降、洋画が配信に流れたこともあり、邦画のシェアが高い状況が続いています。

 日本映画製作者連盟興行通信社のデータをもとにした、2023年作品(2022年12月~2023年11月公開)の興行収入ランキングは以下の通り(※は上映中、5月21日時点)。

 トップの『THE FIRST SLAM DUNK』は東映配給。前年の『ONE PIECE FILM RED』が、1990年以来32年ぶりに邦画で東宝以外が配給する作品がトップをとったのに続き、今年も東映配給がトップとなりました。

順位 作品名(※は現在上映中) 配給会社 公開日 興行収入
1位 THE FIRST SLAM DUNK 東映 2022年12月3日 158.7億円
2位 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 東宝東和 2023年4月28日 140.2億円
3位 名探偵コナン 黒鉄の魚影 東宝 2023年4月14日 138.8億円
4位 君たちはどう生きるか※ 東宝 2023年7月14日 93.4億円
5位 ゴジラ-1.0※ 東宝 2023年11月3日 76.0億円
6位 キングダム 運命の炎 東宝/SPE 2023年7月28日 56.0億円
7位 ミッション:インポッシブル
/デッドレコニング PART ONE
東和ピクチャーズ 2023年7月12日 54.3億円
8位 ミステリと言う勿れ 東宝 2023年9月15日 48.0億円
9位 劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』 東宝 2023年4月28日 45.3億円
10位 映画ドラえもん のび太と空の理想郷 東宝 2023年3月3日 43.4億円

 セグメント別にみると、2023年5月にコロナが5類化したこともあり、映画事業と演劇事業の売上利益が前年比大幅増。

 また、『ゴジラ-1.0』の海外自社配給が成功したことも業績押し上げ要因。北米では現地時間の2月1日までの63日間で上映が終了し、最終興行収入は5641万ドル。北米で公開された邦画実写映画の興行収入記録を塗り替えて歴代1位、北米公開の外国語の実写映画の歴代興収の中でも3位となっています。

 東宝はアニメ事業を映画、演劇、不動産に続く第4の柱として育てているのですが、売上が前年のほぼ倍になっていて、すごいですね。ただ、恐らくターゲットとしている東映アニメーションの売上は886億円(2024年3月期)なので、その半分ほどではあります。

 珍しいところではTOHO Gamesが開発に関わるスマホゲーム『呪術廻戦 ファントムパレード』の収益も貢献しているとのこと。

ここ一年の主な動き

2023年4月28日 『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』公開

7月14日 宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』公開

10月3日 TOHOシネマズ株式会社から申請があった確約計画の認定について(公正取引委員会)

11月3日 『ゴジラ-1.0』公開

11月14日 外部弁護士からなる調査チームの調査報告・提言を受けた宝塚歌劇団の今後の対応について(宝塚歌劇公式ホームページ)

12月1日 『ゴジラ-1.0』北米公開

12月6日 東京楽天地に対しての公開買付けを発表

2024年2月6日 帝国劇場2月公演 ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』 一部公演中止に関するお詫びとお知らせ

2月22日 北米で快進撃「ゴジラ-1.0」ヒットの"4つのカギ" TOHO Global社長の植田浩史氏にインタビュー(東洋経済オンライン)

3月11日 アカデミー賞で『ゴジラ-1.0』が日本映画として初めて視覚効果賞、『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション賞を受賞

手元資金(ネットキャッシュ)の推移

 コロナ禍でのピンチから戻した手元資金を、今期は投資に振り向けています

- 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期
営業CF +534億円 +454億円 +433億円
投資CF -360億円 -91億円 -627億円
財務CF -124億円 -191億円 -116億円
- 2022年2月末 2023年2月末 2024年2月末
現預金 923億円 1121億円 824億円
有利子負債 1億円 4億円 33億円
ネットキャッシュ 921億円 1116億円 790億円

議案

(1)剰余金の処分→期末配当を1株につき65円に

(2)取締役(監査等委員である取締役を除く)5名選任

前年株主総会 今回候補者
島谷能成 島谷能成(代表取締役会長)
松岡宏泰 松岡宏泰(代表取締役社長)
太古伸幸 太古伸幸(コーポレート本部長)
市川南 市川南(エンタテインメントユニット映画本部長)
角和夫 角和夫(阪急阪神HD・CEO)

(3)監査等委員である取締役1名選任

前年株主総会 今回候補者
緒方栄一 緒方栄一(東宝映像美術社長)
▼【社外】小林節 【社外】安藤知史(弁護士)
【社外】安藤知史 △【社外】大越いづみ(元電通グループ取締役)
【社外】折井雅子 【社外】折井雅子(サントリーHD元執行役員)

(4)補欠の監査等委員である取締役 1名選任→太田大三さん(弁護士)を新任

株主総会のTwitter実況

 株主総会の様子は僕のTwitter(@michsuzu)で「#東宝株主総会」のハッシュタグをつけてツイートしていたので、まとめておきます