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東宝株主総会2022レポ|島谷能成社長「制作現場でのハラスメント対策については通報窓口も含め、あるところでガイドラインを発表できると思う」

 5月26日10時から行われた東宝の株主総会。映画、演劇、不動産が事業の柱です

直近経営資料 2022年2月期決算短信決算説明会資料FactbookTOHO VISION 2032
株主総会資料 定時株主総会招集通知
前回株主総会 レポートは見当たらず

 映画業界全体の推移をみると、2021年の興行収入は1618億円と前年比12.9%増。ただ、2000億円を大きく超えていたコロナ前の水準には届いていません

 邦画は大ヒット作が出たこともあり、コロナ前の水準に戻っているのですが、洋画は公開延期となったり、配信に流れたりしたことから落ち込んだままです

 興行通信社のデータをもとに、2021年1月から2022年5月までの週間・映画観客動員数ランキングを動くグラフにしました

 配給会社別の興行収入ランキング。東宝と東宝東和を合わせたシェアはコロナ下で50%近くにも達しています

 日本映画製作者連盟興行通信社のデータをもとにした、2021年に上映された作品の興行収入ランキングは以下の通り(※は上映中、5月22日時点)

 アニメ作品が1~5位と、上位を占めています

順位 作品名(※は現在上映中) 配給会社 公開日 興行収入
1位 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編※ 東宝/アニプレックス 2020年10月16日 404.3億円
2位 劇場版 呪術廻戦 0※ 東宝 2021年12月24日 136.7億円
3位 シン・エヴァンゲリオン劇場版 東宝/東映/カラー 2021年3月8日 102.8億円
4位 名探偵コナン 緋色の弾丸 東宝 2021年4月16日 76.5億円
5位 竜とそばかすの姫 東宝 2021年7月16日 66.0億円
6位 ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM※ 松竹 2021年11月3日 45.5億円
7位 東京リベンジャーズ WB 2021年7月9日 45.0億円
8位 るろうに剣心 最終章 The Final WB 2021年4月23日 43.5億円
9位 新解釈・三國志 東宝 2020年12月11日 40.3億円
10位 花束みたいな恋をした 東京テアトル/リトルモア 2021年1月29日 38.1億円
10位 マスカレード・ナイト 東宝 2021年9月17日 38.1億円

 アニメ作品が上位を占めるのは2021年だけではなく、ここ数年の傾向。歴代の興行収入ランキングを見ても、上位にはアニメ作品が並んでいます。

 こうしたことから東宝はFACTBOOKで「既存事業の3本柱である映画事業、演劇事業、不動産事業に加え、「アニメ事業」を第4の柱とする」と方向性を示しています

 東宝の業績に目を向けると増収増益。コロナの影響が色濃く出た前年度は上回ったものの、コロナ前の水準には届いていません

 来期は増収減益見込み

 セグメント別にみると、コロナの影響が大きかった演劇事業の回復が鮮明に出ています。

ここ一年の主な動き

2021年3月8日 庵野秀明総監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版』公開

7月16日 細田守監督『竜とそばかすの姫』公開

12月24日 『劇場版 呪術廻戦 0』公開

2022年1月15日 2021年の映画概況、邦画は回復傾向 年間1位は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(ORICON NEWS)

3月18日 私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します。(映画監督有志より)

5月13日 『シン・ウルトラマン』公開

5月20日 「ファスト映画」の違法アップロード者に損害賠償請求 東宝ら13社(Impress Watch)

5月22日 東宝、27年ぶりに世襲復活、松岡修造の兄が社長就任…華麗なる一族の歴史(Business Journal)

11月11日 新海誠監督『すずめの戸締まり』公開予定

手元資金(ネットキャッシュ)の推移

 2021年2月末には大きく手元資金を減らしていましたが、今年度は盛り返しています

- 2020年2月期 2021年2月期 2022年2月期
営業CF +558億円 +125億円 +534億円
投資CF -73億円 -272億円 -360億円
財務CF -84億円 -172億円 -124億円
- 2020年2月末 2021年2月末 2022年2月末
現預金 1184億円 858億円 923億円
短期有価証券 0円 0円 0円
有利子負債 2億円 2億円 1億円
ネットキャッシュ 1181億円 855億円 921億円

議案

(1)剰余金の処分→期末配当を1株につき27.5円に

(2)定款一部変更→株主総会資料の電子提供制度導入

(3)取締役(監査等委員である取締役を除く)5名選任

 議案が可決されれば株主総会後に松岡宏泰さんが次期社長に就任する予定です。東宝として15代目の社長で、1995年に退任した松岡功さん以来、27年ぶりの創業家出身の社長となります。

 松岡宏泰さんは弟が元プロテニスプレイヤーの松岡修造さんであることも知られています

前年株主総会 今回候補者
島谷能成 島谷能成(代表取締役社長)
太古伸幸 太古伸幸(管理本部長)
市川南 市川南(映画事業)
松岡宏泰 松岡宏泰(次期社長、国際部門)
角和夫 角和夫(阪急阪神HD・CEO)

(4)監査等委員である取締役3名選任

前年株主総会 今回候補者
▼沖本友保(東宝管理部門) △緒方栄一(東宝映像美術社長)
【社外】小林節 【社外】小林節(パレスホテル会長)
【社外】安藤知史 【社外】安藤知史(弁護士)
【社外】折井雅子 【社外】折井雅子(サントリー出身)

(5)補欠の監査等委員である取締役1名選任→太田大三さん(弁護士)を選任

株主総会のTwitter実況

 株主総会の様子は僕のTwitter(@michsuzu)で「#東宝株主総会」のハッシュタグをつけてツイートしたので、まとめておきます