スズキオンライン

なにか役立つことを書きたいです

東宝株主総会2025|松岡宏泰社長「(大株主である)フジ・メディアHDの株主総会での議決権行使は、議案が出てきてから議論する。現時点では何も決まっていない。ただ、人権侵害がきちんと改善される道筋に向かっていける体制を望んでいる」

 5月29日10時から行われた東宝の株主総会。映画、演劇、不動産に続く第4の柱としてアニメ事業を育てています。

直近経営資料 2025年2月期決算短信決算説明会資料中期経営計画
株主総会資料 定時株主総会招集通知
前回 東宝株主総会2024レポ|松岡宏泰社長「帝劇は私たちの本拠地。2025年の休館で空白の期間を伴うが、(建て替え後の再開に向けて)みなさんにみていだけるよう一丸として取り組んでいくので、ご期待していただければ」

 業績は増収増益(純利益ベースでは減益)。来期は減収減益見込み。

- 売上 営業利益 純利益 PER PBR 時価総額
東宝・23年2月期 2442億円 448億円 334億円      
東宝・24年2月期 2833億円 592億円 452億円 21.8倍 1.86倍 9126億円
東宝・25年2月期 3131億円 646億円 433億円 34.6倍 2.72倍 13485億円
東宝・26年2月期予想 3000億円 570億円 375億円      
松竹・25年2月期 839億円 16億円 ▼6億円 92.5倍 1.99倍 1877億円
東映・25年3月期 1799億円 351億円 157億円 20.5倍 1.13倍 3551億円
KADOKAWA・25年3月期 2779億円 166億円 73億円 47.0倍 2.15倍 5457億円

※株価は株主総会の前営業日終値を使用。PERは予想、PBRは実績

 映画業界全体の推移をみると、2024年の興行収入は2069億円と前年比6.5%減。コロナ禍で落ち込んでいた時期を除くと、2013年以来最も低い水準となっています。

 ただし、邦画の興行収入は過去最高。コロナ以降、洋画が配信に流れたり、ストライキの影響で作品数が減ったこともあり、邦画のシェアが高くなっています。

 日本映画製作者連盟興行通信社のデータをもとにした、2024年作品(2023年12月~2024年11月公開)の興行収入ランキングは以下の通り(※は上映中、5月21日時点)。

 2022年は『ONE PIECE FILM RED』、2023年は『THE FIRST SLAM DUNK』と、2年連続で東映配給作品がトップをとっていましたが、2024年は久しぶりに東宝配給作品がトップとなりました。

順位 作品名(※は現在上映中) 配給会社 公開日 興行収入
1位 名探偵コナン 100万ドルの五稜星 東宝 2024年4月 158.0億円
2位 劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦 東宝 2024年2月 116.4億円
3位 キングダム 大将軍の帰還 東宝 2024年7月 80.3億円
4位 劇場版 SPY×FAMILY
CODE: White
東宝 2023年12月 63.2億円
5位 ラストマイル 東宝 2024年8月 59.6億円
6位 機動戦士ガンダムSEED
FREEDOM※
バンダイナムコフィルムワークス
/松竹
2024年1月 53.8億円
7位 インサイド・ヘッド2 WDS 2024年8月 53.6億円
8位 変な家 東宝 2024年3月 50.7億円
9位 あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 松竹 2023年12月 45.4億円
10位 怪盗グルーのミニオン超変身 東宝東和 2024年7月 45.3億円

 セグメント別にみると、新型コロナが落ち着いたこともあり、映画事業と演劇事業の売上利益が前年比大幅増。『ゴジラ-1.0』の海外自社配給が成功したことも業績押し上げ要因。

 ただ、来期に関しては、『ゴジラ-1.0』の国内外の配信権収入の剥落や帝国劇場の一時休館の影響などにより減益を見込んでいます。

 東宝が映画、演劇、不動産に続く第4の柱として育てているアニメ事業ですが、ソース別にみるとキャラクターライセンス収入や配信収入の収益が成長をけん引しています。

ここ一年の主な動き

2024年4月12日 『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』公開

5月23日 サイエンス SARUを子会社化

5月28日 映像制作プロダクション・ドラゴンフライエンタテインメントの株式取得

8月23日 バンダイナムコHDと資本業務提携

10月15日 コミックス・ウェーブ・フィルムの株式を一部取得

10月16日 GKIDSを子会社化

11月 シンガポール子会社のTEAが稼働開始

12月17日 アニメーション制作スタジオのオレンジの一部株式取得

2025年2月28日 建て替えのため帝国劇場を一時閉館

4月18日 『名探偵コナン 隻眼の残像』公開

手元資金(ネットキャッシュ)の推移

 コロナ禍でのピンチから戻した手元資金を、前期は投資に振り向けていたのですが、今期は自己株買いに回しました

- 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
営業CF +454億円 +433億円 +516億円
投資CF -91億円 -627億円 -184億円
財務CF -191億円 -116億円 -392億円
- 2023年2月末 2024年2月末 2025年2月末
現預金 1121億円 824億円 766億円
有利子負債 4億円 33億円 19億円
ネットキャッシュ 1116億円 790億円 747億円

議案

(1)剰余金の処分→期末配当を1株につき50円に

(2)取締役(監査等委員である取締役を除く)5名選任

前年株主総会 今回候補者
島谷能成 島谷能成(代表取締役会長)
松岡宏泰 松岡宏泰(代表取締役社長)
太古伸幸 太古伸幸(コーポレート本部長)
市川南 市川南(エンタテインメントユニット映画本部長)
▼角和夫(阪急阪神HD・CEO) △嶋田泰夫(阪急阪神HD・CEO)

(3)監査等委員である取締役1名選任

前年株主総会 今回候補者
緒方栄一 緒方栄一(東宝映像美術社長)
【社外】安藤知史 【社外】安藤知史(弁護士)
【社外】折井雅子 【社外】折井雅子(サントリーHD元執行役員)
【社外】大越いづみ 【社外】大越いづみ(元電通グループ取締役)

(4)取締役(監査等委員である取締役及び非業務執行取締役 を除く。)に対する業績連動型株式報酬制度の導入

株主総会のTwitter実況

 株主総会の様子は僕のTwitter(@michsuzu)で「#東宝株主総会」のハッシュタグをつけてツイートしていたので、まとめておきます

Q 人権の取り組みについて。統合報告書で人権方針を掲げているが、これは東宝以外の人、俳優や制作関係者も対象なのか。また昨年、フリーランス法が施行されたが、報酬額も含めて書面で契約しているのか、きちんと報酬が支払われているのかといったことを確認したい

福田明宏:当社は、2023年3月に東宝グループ人権方針を策定した。それに従って人権デュー・ディリジェンスを行っているが、現在は従業員及びグループ会社にとどまっている状況。サプライチェーンに関しては、現在行っている最中。

フリーランス保護法に関しては、当然、遵守すべき事項として、社内、グループ会社を含めて啓蒙活動を行いながら対策に取り組んでいる。今のところ重大な違反事項はない。

市川南:映画本部長を務めている私からは、実写の映画制作現場についてお答えする。

2023年4月に日本映画制作適正化機構(映適)が日本映画の業界などから発足した。主にフリーランスのスタッフの働き方を、より良く改善していこうという目的から誕生した。

実写制作現場の働き方で、「就業時間の上限を設ける」「休みの日を確実に設ける」といった働き方の部分、制作現場のコンプライアンスの部分、ハラスメント対応の窓口を設置するなどしている。

また、フリーランスのスタッフのスタッフセンターを設けて登録していただき、そこを中心に契約書も以前よりも、よりきちんと整備しようという動きをしている。

この2年間で、私たちは毎年5~7本を自社制作しているが、全てこの映適に申請して、適正の認定をいただいている。

私も制作現場に行った際にフリーのスタッフの方とお話しする機会もあるが、「働き方としてはより良くなった」とみなさんから感謝の言葉もいただいている。

我々の制作現場の東宝スタジオでは、これに加えてさらにもう1つ、独自ルールを加えている。

働くスタッフのみなさんに原則的に温かい食事を常に提供すること、女性スタッフに向けて育児サポートをする、具体的には現場で働く方にベビーシッターを手配するといったようなこと。年内には東宝スタジオに託児所を新たに設ける計画もある。

Q 事業報告の数字について。増収増益にも関わらず、当期純利益だけ減益となっている理由は。また、営業利益が646億円となっているが、セグメント別の営業利益を足した数字と合わない理由について説明してほしい

加藤陽則:前年度は東京楽天地をTOBした際の段階差益と、オーエスのTOBに応募したことで特別利益が大きくふくらんだ。経常利益までは前年度を上回っているが、最終利益のところで、今年度は特別利益の部分が前年度ほど大きく計上されなかったことで、当期純利益は前年度を下回った。

営業利益が各セグメントの合計と合わない点については、各セグメントに加えて全社費用がある。これは主に東宝本社の管理部門の人件費や経費。各セグメントの合計から全社費用を差し引いたのが営業利益という数字になっている。

Q(すずき) 保有株式の議決権行使について。行使基準についてはコーポレートガバナンスの資料に記載されていて、その判断を尊重するが、すべて事前行使するのか。具体的にはフジ・メディアHDについては状況が流動的で、島谷会長も出席するので、当日行使するべきではないか

松岡:フジテレビジョンとの関係について、少し整理をさせていただきたい。

フジ・メディアHDの前身である富士テレビジョンが設立された時にお声がけがあり、東宝は株式を所有することとなった。その後、様々な機会を経て株を買い増しし、実質的には私たちが現在の筆頭株主になっているのではと思う。

株主として、フジ・メディアHD、フジテレビに対しては、今回の事態が起きた時に「人権侵害に対して真摯に取り組んで、できるだけ早く信頼を回復してほしい」という要望書を提出している。

一方、事業パートナーとしての東宝の立場。みなさまもよくご存じの通り、フジテレビジョンが制作した様々な作品が日本の映画界で大ヒットしている。『踊る大捜査線』など、私たちはその中の多くの作品で一緒に大ヒットを出す幸運に恵まれてきた。

そういった観点からすると、できるだけ早く信頼を回復して、今までと同様に、今まで以上にエンターテインメント性の高い作品を出して、一緒に映画館で大ヒットを目指したい。これが事業パートナーとしてのところかと思う。

質問の中に、東宝の代表取締役会長の島谷能成の名前があったが、島谷は東宝の立場を代表してフジ・メディアHDの取締役になっているわけではない。独立性のある社外取締役ということで、東宝とは無関係、経営者としての個人の資質を買われてフジ・メディアHDの社外取締役を務めている。

こちらもみなさまご存じの通り、自ら名乗り出て次の取締役候補から外れる、自発的に辞任するということなので、その関係は来月のフジ・メディアHD株主総会で終了になるかと思う。

議決権行使に関しては、これは本当にケースバイケースだと考えている。特にフジ・メディアHDの場合は。

これから議案が出てきて、我々が審議して、必要な議論をして、必要な審議を経た後に、会社としてどういう立場で、どういう風に判断して、どのような形で議決権を行使するかは、これから議論すること。現時点では特に何も決まっていない

Q 東宝演劇のファン。先日の帝劇コンサートでは、顔認証によるチケット転売対策が行われた。大変な手間や費用もかかったと思う。エンタメのリーティングカンパニーである東宝が転売にノーを突きつけることは世の中に影響を与えると思う。今後もチケット転売対策は行うのか

池田篤郎:演劇本部長の池田です。平素より東宝の演劇をご愛顧いただき、ありがとうございます。

チケット転売の抑止に関しては大変重要な問題と考えている。2019年にチケット不正転売禁止法が施行され、2023年には、私たち演劇興行会社、興行会社の団体である日本演劇興行協会、警視庁という3者によって、チケット不正転売に関する協定も結ばれている。

その後、我々としてもチケット転売に関する情報を警察に積極的にお届けして、お互いに協議しながら、その摘発に努めている。今後もこのように、転売防止に関してのあらゆる施策に積極的に取り組んでいきたいと思っている。

先日、『THE BEST New HISTORY COMING』というコンサートで顔認証という取り組みを行った。こういう顔認証という取り組みが転売を抑止するシステムになることを我々は十分承知はしているが、現状としては会社の全体システムは残念ながらここにはまだ至っていない。

今後の取り組みとして考慮もしているが、現状としては、先ほど申し上げた警察とより緊密な連携を取りながら、情報共有に努めていくということが今の施策。

Q 非常に良い株価パフォーマンスありがとうございます。AIがひたひた迫ってきているが、ChatGPT開発のオープンAIが動画生成AI「ソラ」を出したりして、映像業界は影響を受けると思う。社員数も減らせるのではないか。このAI時代にどんなことが起こると考えているのか

本多太郎:情報システム担当の本多です。ご指摘いただいた通り、生成AIが事業の中で、少なくとも業務のところで飛躍的に仕事を改善してくれることは事実としてある。実際、東宝でも全社的にAI導入を実践しているところ。

どんな事例で活用できるかというと、例えば壁打ち、アイデア出しみたいな時に、当然アイデアそのものは本人からだが、「こんなアイデアどうかな」みたいなことをAIと語り合いながらやっていったりとか、議事録を作ったりとか、IPをライセンスした時にライセンスのルールが守られてるかをチェックしたりとかの監修業務とかに頻繁に使われるようになっている。

これらのことは今までなかなか機械化できなくて、業務効率化できなかった点。こういったところで生成AIが非常に活躍できることは実態として見えてきているので、積極的に今後も会社として取り組んでいきたいと思っている。人数などがどこまで削減できるかといったところは、まだイメージとしてはなかなか湧かないが、積極的に取り組んでいく面かなと思っている。

一方、生成AIが得意とする画像生成などの分野に関しては、みなさまご承知かと思うが、著作権の問題があったり、クリエイターの方々がAIに対していろんな思いを持っていらっしゃるとかあるので、乗り越えないといけないところもあると思う。そういったところも丁寧に慎重に判断すると同時に、積極的に色々と活用を考えていきたいと思っている。

Q 今回、島谷会長が取締役再任ということだが73歳ですよね。他の役員は60歳前後で、年齢的に上。去年、角和夫さんが75歳で就任したが、残念ながら4月に亡くなった。若い人に伸びてもらいたいし、学生が入社したい人気企業にもなっているので、役員の定年制を設けてほしい

松岡:私たちの年齢その他については社内できちんと規定があり、この規定に従って役員・従業員の処遇を取り扱っている。島谷が今73歳であっても、私たちの規定の中では全く問題はない。

加えて、これは本人の前で言うのはちょっと恥ずかしいが、この17年間、東宝を率いてきたのは島谷だと思う。アニメがこれだけ成功してるのは12年前に島谷がした決断から、「海外を攻めるぞ」と言ったのも島谷。

アニメをここまで大きくした大田圭二や山中一孝もすばらしいし、私やTOHO Global社長の植田浩史も海外事業を展開しているが、島谷をリーダーとして、島谷を尊敬して仕事をしている。

もちろん年齢その他の規定があるので、その時になれば我々は必要な対応をするが、現時点の規定の中では全く問題ないし、資質の面でも彼以上の会長はいないと思っている。

Q フジ・メディアHDで経営陣と投資ファンドの対立が起こっている。今回の問題に限っては、ダルトンよりフジに合理性があると感じていて、東宝には清水さんの新体制を支持する側に回ってほしい。ダルトンの人事案は旧ジャニーズ系芸能事務所社長が候補に入っているなどあまりに不真面目。コンテンツ産業は、映画であれ、テレビ番組であれ、当たり外れがあるビジネスなので、不動産のような手堅い事業を合わせ持ち、財政的なバッファーとするのは極めて合理的な戦略。それを切り離して、切り売りする議論をするのは、株価を吊り上げて、売り抜けようとしてるとしか考えられない。こんな連中に日本のコンテンツ産業がスポイルされるのは見ていられない。

松岡:私たちは今、フジ・メディアHDから議案を受け取っているわけではない。議案を受け取ってから、真摯に検討をして、社内で必要な議論をして、正式な形できちんと検討した後に我々としては議決権を行使しようと思っているので、現時点で何か決めているということはない。

ただ、このような問題が起きたわけなので、人権侵害の観点においてはきちんと改善されている、これから着実にそういう風な道筋に向かっていける、そんな体制を望んでいる

Q 演劇事業に関して「新会員サービス、多様なチケット価格や販売形態の多角化」と書かれている。今は出演者のファンクラブで多くのチケットが販売されているが、直接販売に力を入れていくのか。先日発表された新会員サービス「TOHO-ONE」とどう関連するのか

池田篤郎:TOHO-ONEを来年から展開していくが、現状の「東宝ナビザーブ」という会員制度のスタイルをその際、変えていくことも考えていかなければいけないと思っている。

私たちは現状、外部のチケットエージェントも頼りにしながらチケット配布している。会員へのサービスとしては、チケットの優先予約などにメリットがあると承知しており、そういうことも含みつつ、全体的なバランスも考えていく。また新しいことが決まったら、みなさまにお知らせして、利用を推進していきたい。

大田:東宝グループのデジタル戦略の一環として、TOHO-ONEというものを来年春にローンチする予定。お客さまと直接つながり、ひとりひとりに大人のエンターテインメントの楽しみを届けることで、東宝のIPやサービスのファンになっていただくことを目的としている。

東宝が提供する映画、演劇、オンラインストア、ゴジラストア、TOHO animation STORE、日比谷シャンテ、ゲームなどを対象に会員サービスを提供していく。

例えばTOHOシネマズでは、これまで映画のチケットの購入のみで溜まっていたポイントが、グッズやポップコーン、ジュースを買ったり、演劇やオンラインストアで購入してもポイントが貯められるようになる。

貯まったポイントは金銭と同様に利用いただけるほか、東宝ならではの特別な体験、例えばTOHOシネマズでの無料映画鑑賞、演劇の限定公演、特別ツアー、アニメのグッズやイベント、ゲームとのコラボ特典なども予定している。

具体的なポイントのレートなど、詳細の発表は2025年冬を予定しているので、お待ちいただければ。

松岡:TOHO-ONEは、東宝の様々なサービスに加入してくださっている顧客のみなさまの基盤を共有することが目的。

演劇ファンの方たちにはデジタル基盤の利点を生かして、できるだけ多くの方たちに、できるだけ簡単に多様性を持ってチケットを購入していただけるようなサービスを目指していきたいと思っている

Q 東京楽天地の株を45年間持っていて、株主優待で映画の招待券をもらっていた。600株を持ってると、毎月6枚招待券が来ていた。それが東宝に切り替わってから、600株持ってても半年に1回、3枚しか来ないんですよ。「もう少し何とかならないかな」と思って今日来ました

本多太郎:東京楽天地の株式については、2023年12月7日~2024年1月24日の30日間に、公開買い付けで実施した。

買い付け価格は第三者算定機関で算定を行い、東京楽天地との協議を踏まえて、最終的に1株当たり6720円とすることとなった。公開買い付けの結果、約253万株の応募があり、2024年1月31日をもって東京楽天地は当社の連結子会社となった。

なぜこのようなTOBを行ったかというと、東京楽天地はプライム市場に上場する中での彼らの経営課題として、上場維持基準を守ることが厳しくなっていた。

東京楽天地は小林一三が創業したという意味で、東宝と近しい関係にあり、興行や不動産など同様のビジネスもやっているので、私たちの完全子会社になることで、より良くしていこうという形でTOBをやった。

東宝グループに入った東京楽天地も含めて、東宝グループ全体の株価、企業価値を上げることによってご期待に応えるようにしていきたいと思っているので、何卒ご理解のほどいただければ。

Q 株主優待の招待券がもう少しなんとかならないかという点に触れていないのでは

松岡:東京楽天地と東宝は、そもそも違う株主優待。「東宝ももう少し優待を考えたらどうか」というのは貴重なご意見として承り、検討させていただく

Q 中期経営計画に「2032年までにTOHO animationの人員を倍増、IP・アニメ事業の営業利益200%以上を目指す」「2032年に向けて海外売上高比率を現状の10%程度から30%まで引き上げる」とある。この利益倍増は制作原価低減によって実現される構造なのか

大田:今、アニメーターに還元しないといけないということもあり、原価は高くなる傾向にある。

TOHO animationを設立してから12年を迎えるが、今まで115作品を作ってきた。これは世の中的にはそんなに多くなく、どちらかというと少ない。ですので、我々は作品数をこれから増やしていきたい。原価が高くなることは承知の上で作品数を増やしていく。

そのために色々なジャンルのポートフォリオを組む。今、我々は女性ファンが非常に多いジャンプ作品が多いが、それ以外の男性ファンをターゲットにした作品にもチャレンジしていきたい。

海外の伸びしろは非常に大きいと思っていて、映像+商品だと思っている。まだ映像が届けられてない地域や、海賊版が横行している国や地域もたくさんある。
Toho Internationalが北米、Toho Entertainment Asiaがシンガポールを拠点として、そこにこれから細かい営業をして、映像と商品化を各国、各地域に大きく広げ、営業利益を倍にしようという目論見です。

Q 中期経営計画に「ゴジラIPの開発・展開に対して、3年間で約150億円を投下、IPビジネスを本格的に強化する」と記載している。具体的にどういった開発・展開をされるのか。ポケモンやちいかわのようなキャラクタービジネスを想像するが

大田:150億円の詳細はちょっと申し上げられないが、様々なことを考えている。もちろんこの中には映画も含まれているが、映画以外の様々なプラットフォームに映像コンテンツを展開することも考えている。

そしてゲーム開発。キャラクターをどういう風に生かして利用していくのか、ライセンスを強化したり、自社商品を開発したり、また今、直営店舗のゴジラ・ストアが非常に好調なので、拡大したいと思っている。

先ほど申し上げたアニメの戦略と同様、Toho InternationalやToho Entertainment Asiaとも連携しながら、北米、アジア地域でもますますゴジラを広げていくべく、このような大きな投資をしていきたいと思っている。

松岡:「調子に乗ってこんな大きく」と思われるかもしれないが、私は今、まだ発売されていないゴジラのネクタイをしている。ゴジラのアパレルは今までも販売されてきたが、株主総会でみなさまの前で恥ずかしくなく着けられる大人向けの黒のネクタイ、こういったところまで可能性を広げてきているんじゃないかと思う。

ちなみに隣の太古伸幸副社長は靴下がゴジラだそうです。

Q 不動産セグメントについて。中期経営計画では「今、物件が高止まりしているので、新規物件の購入を控える」とある。不動産市況は色々言われているが、現状が頭打ちという認識なのか。下落リスクも含めて、不動産セグメントの将来的な点を教えていただきたい

瀬田一彦:1番大きい要素は、工事費の高止まり。私たちも今、四苦八苦しつつ、何とか標準のレベルを保ちながら、少しでも前進するようにしている段階。

良い材料としては、コロナ禍でオフィス市況が相当冷え込んだが、今、都心は空室率3%前半ぐらいまで戻ってきていること。私たちのオフィスビルは本当に良い場所にあるので、数年間、空室率は1%以下。今後も読めない状況が続くという認識はご指摘の通りではある。

一番大きな要素は、演劇事業が表に出てきてはいるが、帝国劇場のプロジェクトはオフィスビルとしても魅力的な事業展開。2030年度の竣工を迎えた際は、不動産事業も強く前進できるのではないか。先行き暗いという印象は持っていない。

ただ、ちょっと不確実な状況が続くので、再開発についても慎重にやっていくべきだし、投資も今は慎重になっていく時期だなという認識でいる。

Q 中期経営計画の中で営業利益の目標は示しているが、売上の目標は示していない。海外の売上割合が30%という話もあったが、この規模がちょっと分からないので、売上の目標を教えていただきたい

太古伸幸:エンターテインメントのコンテンツは大ヒットするかしないかでボラタリティが大きいということがあるので、かなり前から売り上げではなく、本業の稼ぎである営業利益を目標にしようと全社中で定めて、徹底的に追求してきた。

それが成功してきたと考えているので、売上には特段こだわらない。今までの中期経営計画の中でも売上の目標は定めたことがない。

ただし、2025年2月期は売上3000億円を初めて超えた。営業利益率はだいたい20%なので、2028年度の営業利益の目標が700億円ということであれば、売上は3500億円ぐらいが必要。2032年度に営業利益750~1000億円を目指すのであれば、売上4000億ぐらいが当然でないといけない。大体その規模で考えていただければ。

Q 何年も続けて素晴らしい業績をあげてきたが、今までどのように人材を育成してきたのか。また長期ビジョン達成に向けて、どういう風に注力していくのか

加藤陽則:順調に業績は上がってきているが、これまでの人事施策では、旧来の年功序列型、新卒終身雇用という制度が長年続いていた。ただ、これからのことを考えると、やはり人材の多様性が必要になってくる。

その中では、女性の活躍、キャリア採用、中途で入って活躍していただく方々を、ちゃんと迎えられるような新しい制度をこの6月から始めようと思っている。

従業員の働き方によって報いられるような報酬制度によって、やりがいのある働き方をしていただくことを考えている。

これまでの年齢が上がれば給料が上がるというものでなく、正しい成果を出した方がそれに見合う報酬をもらうことで、やる気を出していただくことも考えている。

また、エンゲージメントということでは、会社で働く喜び、あるいは自分が成長する喜びを感じていただけるような施策も進めていきたいと思っている。そのためには社員の健康にも気を遣わなければならないし、働く環境の整備を行っていきたいと思っている。人材への投資もこれからますます増えていく。