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フジ・メディアHD株主総会2025レポ|清水賢治新社長「フジテレビとして一番優先的にやらないといけないことは、再生改革への道をしっかり進むこと。そして信頼回復を果たし、事業を成長の正常な道に戻すことだ」

 6月25日10時から行われたフジ・メディアHDの株主総会。大手民放テレビ局・フジテレビの持ち株会社です。中居正広氏と元女性アナウンサーのトラブルをめぐってガバナンス不全が指摘されており、経営刷新の途上にあります。

直近経営資料 2025年3月期決算短信決算説明会資料質疑応答中期グループビジョン
株主総会資料 定時株主総会招集通知ダルトンの株主提案
前回 フジ・メディアHD株主総会2024レポ|皆川知行取締役「(元内閣広報官の)吉田真貴子氏は放送、情報通信などに関する豊富な経験や知見をもとに、客観的な立場で経営を監督してもらうため、社外取締役候補とした」

 業績は減収減益。来期は増収減益見込み(純利益ベースでは増益見込み)。

- 売上 営業利益 純利益 PER PBR 時価総額
フジ・ メディアHD・23年3月期 5356億円 314億円 468億円      
フジ・ メディアHD・24年3月期 5664億円 335億円 370億円 13.7倍 0.46倍 4323億円
フジ・ メディアHD・25年3月期 5507億円 182億円 ▼201億円 62.6倍 0.77倍 7067億円
フジ・ メディアHD・26年3月期予想 5610億円 25億円 100億円      
日本テレビHD・25年3月期 4619億円 549億円 460億円 17.4倍 0.86倍 8656億円
TBSHD・25年3月期 4067億円 194億円 439億円 27.2倍 0.80倍 7751億円
テレビ朝日HD・25年3月期 3240億円 197億円 258億円 10.5倍 0.62倍 2935億円
テレビ東京HD・24年3月期 1558億円 77億円 60億円 14.3倍 0.89倍 934億円

※株価は株主総会の前営業日終値を使用。PERは予想、PBRは実績

 テレビ局といえば視聴率争い。

 2024年度は、個人視聴率・世帯視聴率ともにフジテレビは民放4位、NHKを含めると5位と低迷。

 電通の調査によると、2021年に初めて、インターネット広告費がマスコミ4媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)合計の広告費を上回りました。ただし、テレビの広告費は高水準を維持していて、特にオリンピックの年である2024年は高めに出ています。

 テレビ局各社は、視聴率減=放送収入減を受けて、放送外収入の拡大に乗り出しています。フジ・ メディアHDの特徴は、不動産事業に積極的であること。

企業名 売上
(前年度比)
放送収入
(デジタル除く
前年度比)
放送収入割合 主な放送外事業
フジ・ メディアHD 5507億円
-2.8%
1237億円
-16.0%
22.4% 都市開発・観光、通販
日本テレビHD 4619億円
+9.1%
2221億円
+1.3%
48.0% Hulu、ジブリ、フィットネスクラブ
TBSHD 4067億円
+3.1%
1636億円
+2.6%
40.2% 小売、不動産
テレビ朝日HD 3240億円
+5.2%
1743億円
+4.4%
53.7% ABEMA、音楽出版
テレビ東京HD 1558億円
+4.9%
730億円
+5.0%
46.8% アニメなどのライツ事業

ここ一年の主な動き

2025年1月23日 第三者委員会の設置について

3月31日 第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ

3月31日 人権・コンプライアンスに関する対応の強化策について

4月30日 フジ・メディア・ホールディングス グループ改革に向けて

4月30日 フジテレビの再生・改革に向けた 8つの具体的強化策及び進捗状況

5月16日 ガバナンス強化・企業価値向上に向けた取り組み 及び当社の取締役候補にかかる当社取締役会意見

5月16日 「中期グループビジョン 2023」目標の取り下げ及び「改革アクションプラン」策定に関するお知らせ

5月30日 当社および株式会社フジテレビジョンの抜本的改革施策の進捗について

手元資金(ネットキャッシュ)の推移

 結構リスクをとって投資しています

- 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
営業CF +617億円 +478億円 +584億円
投資CF -327億円 -1065億円 -374億円
財務CF -52億円 +252億円 +24億円
- 2023年3月末 2024年3月末 2025年3月末
現預金 1301億円 989億円 1231億円
有利子負債 2631億円 3213億円 3508億円
ネットキャッシュ -1329億円 -2223億円 -2277億円

議案

(1)剰余金の処分→配当を1株につき25円に

(2)定款一部変更→取締役会議長を独立社外取締役が務めることを可能にする&相談役制度を廃止

(3)取締役(監査等委員である取締役を除く。)7名選任

前年株主総会 今回会社提案候補者
▼金光修(代表取締役社長) 清水賢治(経営企画・広報IR)
清水賢治 △若生伸子(TVer社長)
▼深水良輔(財経) △安田美智代(経営推進担当局長兼開発企画統括)
▼皆川知行(総務・人事) △柳敦史(財経局長)
▼日枝久(相談役) △【社外】澤田貴司(元ファミリーマート社長)
▼港浩一(フジテレビジョン社長) △【社外】堀内勉(元森ビルCFO)
▼柾谷美奈(フジ・メディアHD報道局出身) △【社外】稲田雅彦(元カブク会長)
▼【社外】島谷能成  
▼【社外】熊坂隆光(元産経新聞社長)  
▼嘉納修治(元社長)  
▼【社外】齋藤清人(文化放送社長)  
▼【社外】吉田真貴子(元内閣広報官)  

(4)監査等委員である取締役4名選任→柳沢恵子さん(人事局上席HRアドバイザー)、森山進さん(英国勅許会計士協会フェロー)、花田さおりさん(弁護士)、石戸奈々子さん(NPO法人CANVAS理事長)が新任

(5)資本準備金の額の減少→資本準備金1736億6489万6701円のうち1400億円

【株主提案】(6)監査等委員でない取締役12名選任→北尾吉孝さん(SBIホールディングス会長兼社長)、北谷賢司さん(ワーナー・ミュージック・ジャパン会長)、岡村宏太郎さん(元トムソン・ロイター・マーケッツ社長)、堤伸輔さん(元新潮社「フォーサイト」編集長)、坂野尚子さん(元フジテレビ編成局アナウンサー)、菊岡稔さん(元ジャパンディスプレイ社長兼CEO)、福田淳さん(STARTO ENTERTAINMENT CEO)、松島恵美さん(弁護士)、近藤太香巳さん(NEXYZ.Group社長兼グループ代表)、水落一隆さん(弁護士)、田中渓さん(Alpha Advisory日本不動産投資責任者)、西田真澄さん(ダルトン・アドバイザリー マネージング・ディレクター)さんが新任

 会社提案、株主提案双方の取締役選任議案について、議決権行使助言会社の推奨はISSとGlass Lewisで微妙に異なっています(会社提案は黒色、株主提案は赤色)。

取締役候補 ISS推奨 Glass Lewis推奨
清水賢治(経営企画・広報IR)
若生伸子(TVer社長)
安田美智代(経営推進担当局長兼開発企画統括)
柳敦史(財経局長)
【社外】澤田貴司(元ファミリーマート社長)  
【社外】堀内勉(元森ビルCFO)
【社外】稲田雅彦(元カブク会長)
【監査等委員】柳沢恵子(人事局上席HRアドバイザー)  
【社外・監査等委員】森山進(英国勅許会計士協会フェロー)
【社外・監査等委員】花田さおり(弁護士)
【社外・監査等委員】石戸奈々子(NPO法人CANVAS理事長)
【社外】北尾吉孝(SBIホールディングス会長兼社長)  
【社外】北谷賢司(ワーナー・ミュージック・ジャパン会長)    
【社外】岡村宏太郎(元トムソン・ロイター・マーケッツ社長)  
【社外】堤伸輔(元新潮社「フォーサイト」編集長)    
【社外】坂野尚子(元フジテレビ編成局アナウンサー)    
【社外】菊岡稔(元ジャパンディスプレイ社長兼CEO)  
【社外】福田淳(STARTO ENTERTAINMENT CEO)    
【社外】松島恵美(弁護士)    
【社外】近藤太香巳(NEXYZ.Group社長兼グループ代表)  
【社外】水落一隆(弁護士)    
【社外】田中渓(Alpha Advisory日本不動産投資責任者)  
【社外】西田真澄さん(ダルトン・アドバイザリー)    

株主総会のTwitter実況

 株主総会の様子は僕のTwitter(@michsuzu)で「#フジテレビ株主総会」のハッシュタグをつけてツイートしていたので、まとめておきます

(動議) 審議のやり方について反対する。2分以内や1人1問はやめてほしい、前のフジテレビの記者会見は半日以上やった。何度も手を挙げられないと、審議を尽くせない。また、何度か出している動議が無視されているので、議長解任動議を出す

金光:つたない進行ではあるが、精一杯進行するので、このまま議長は務めさせていただきたい。この動議に反対だが、反対の方は拍手を。

 (会場採決)

 今の動議は多数をもって否決された。

 2分では足りないという話についても。株主総会は会社の重要な事項について決議する場で、当社は1997年から上場して株主総会を開いているが、その目的に沿った形での質問はほぼ2分以内で収まっている。

 会場にこれだけ多くの株主がいらっしゃっているので、できるだけ発言する機会を多くした方がいいということで2分という制限を設けているので、ぜひご了解いただきたい

 

Q 約30年間、フジ・メディアHDの株主をしている。羽佐間重彰・元フジテレビ社長とは麻布の同期で、フジについては羽佐間からよく話を聞いた。今朝の新聞で私の提案が出ているのでご覧いただきたい(提案を会場スタッフに渡す)。フジテレビの建設的改革の提案を差し上げた。

金光:ご意見としてうけたまわる

Q 今回は例の件の関心もあって、株主が多く集まっている。株主も増えたが、今後も上場は維持するのか。

清水:当社はフジ・メディアHDとして上場企業として維持してきた。日本社会に貢献していくこと、事業活動を通じて社会活動をしていくこと、あらゆるステークホルダーに対してその成長の果実を提供することが、我々の使命と思っている。そういうことを踏まえると、上場継続していくことが最適かと思っている。

 上場企業にはさまざまな制約、東証のルール、コーポレートガバナンスもあるし、株主のみなさま、さまざまなステークホルダーからの監視もされている。良い緊張関係の中で会社の運営が行われていくという意味では、上場企業という形が今は最適かと思っている

 

Q めざましテレビの放送作家で、フジテレビでも長く制作してきた。今回の問題はタレントがひどいと分かっていても、現場の声を無視して採用してきたこと。現場はコンプライアンスアンケートを何度もやっているのに、上層部は一切やっていないのはおかしいという声もある。ある昼番組でパワハラで有名なタレントがMCとして採用された時、現場スタッフは「パワハラなので怖い、使わないでほしい」と言ったが、上層部から「我慢してくれ」と言われて、採用されたと聞いた。私も放送作家として、パワハラやセクハラの話はいくらでも聞いてきた。しかし、すべて上層部につぶされて、このような問題が起こってしまう。これからどうやって芸能人についてスクリーニングしていくのか、改善していくのかを聞きたい

清水:第三者委員会の報告書などでも指摘されているように、今回の事案の問題として、タレントと番組との間の権力関係の病が存在したのではないかということについては真摯に受け止める。

 3月31日にフジテレビで出した改善計画、4月30日にフジ・メディアHDで出した8つの改善策で第一にうたっていることは人権ファーストの会社として生まれ変わるということ。

 いかなるタレントでも、ヒットメーカーの演出家でも、人権侵害やハラスメントが発生する可能性があるなら、それは決して許されないというのが第一の原則。

 これを可能にするために、人権デューディリジェンス(企業が事業活動やサプライチェーンにおいて、人権侵害のリスクを特定し、予防・軽減するための継続的なプロセス)を積極的に展開する。社内だけでなく、出演者、ステークホルダーとなる制作会社、さまざまな取引先にも広げていく。その中で浮き上がってきたハラスメントやコンプライアンス違反に対しては厳正に対処する。今の質問にあったようなことは今後は改善されていく

Q 3号議案に関して。ほとんどの取締役が退任するが、退任取締役のためにこういう事案が起きているので、金銭的な責任も果たしてほしい。今期は大きな損失を出したので、在任年数×1億円くらいは会社に戻していただければ。まさか退職報酬を出すということはあり得るのか

清水:今回の事案に関しては、非常に大きな業績の悪化が起こった。これに関しての退任取締役の責任は、フジテレビの監査役が独立した弁護士を雇ってヒアリング調査を行い、元社長の港浩一と大多亮の2人に対して法的責任を追及する方針が出された。今、訴訟準備に入っていると聞いている。

 それ以外の退任取締役については、損害賠償責任を追及する相当程度の責任があるかと言われると、それには値しないという判断になっていると聞いている。

 退職金については、実はフジ・メディアHD、フジテレビはともに退職慰労金制度を廃止している。今回、退職金が発生する対象者は日枝久の1人だけ。

 2008年の株主総会で退職慰労金制度の廃止を決議していて、その決議がいまだに有効なままとなっている。弁護士にも相談したところ、今回、退職金を支払うことを止めることに関する合法的な理由が見当たらないという見解をいただいている

 

Q 人権意識の向上について。グループ全体で障がい者雇用はやっているか。障がいによって差別はしていないか。産経新聞の業務委託だった写真記者が、仕事のミスの多さからか契約満了となったが、偽装フリーランス状態だったとも聞いた。トラブルは把握しているか

皆川知行:フジ・メディアHDでは4月1日時点で障がい者雇用率は4.65%で、法定雇用率の2.5%を超えている。フジテレビも3.5%で同じく超えている。

 産経新聞に関する事案については誠に申し訳ないが私個人として把握していない。早急に事情を確認した上で適切に対処する

 

Q 第3号議案に関して、そもそもの問題の根本は日枝さんの影響が大きかったことにあると世間では思われている。日枝さんが抜けて、影響力がなくなった方がいいと思うが、現在、清水さんは日枝さんと連絡を取り合っているのか、今後取り合う予定はあるのかを教えてほしい

清水:日枝取締役は本日この株主総会をもって退任する。よって本日まで、取締役としての会話はこの1週間で何回かはあった。しかし、それは連絡事項というだけ。今後連絡を取り合う予定は、私の方ではない。

 影響力については、今回の取締役選任案をご覧になっていただけると分かるが、そのような影響力はないと断言してもいい。みなさんにそうみえるのではないかと私は考えている

Q 清水さんはアニメの担当だったかと存じている。私は『PSYCHO-PASS サイコパス』というアニメが大好きだが、新作の予定はあるか

清水:ノイタミナのヒット作である『PSYCHO-PASS サイコパス』を気に入っていただきありがとうございます。

 あの作品は非常にオリジナルで作られていて、スタッフもかなりマニアックな人が多いので、非常に人気を博している。

 ただ、残念ながら今のところ新作の予定はないと私は聞いている。現場のスタッフが盛り上がればそのようなこともあるかもしれないが、今のところ私は把握していない

Q 株価をみると、約20年前に買収されそうになったところから横ばいになっているのが問題だ。最近はネットフリックスとかの大きいメディアが出ているが、御社にもその可能性は十分にあったと思う。今後のネット戦略や、世界市場をとることに関しての見解を聞きたい

清水:ご指摘の通り、フジテレビは放送局であると同時に、コンテンツ制作者でもある。そういう意味では、「ネットフリックスなどOTT(インターネット回線を通じてコンテンツを提供するサービス)事業者がやっているようなコンテンツ展開をフジテレビもできたのでは」という反省点は率直に言ってある。

 なぜそうなったかというと、テレビという24時間のタイムテーブルにコンテンツを供給するために、フジテレビの制作能力を集中していたから。24時間×7日以外のコンテンツを作ることがなかなかできなかった。本来はもっといろんなものを作れて、テレビに合わないようなダークファンタジーのようなコンテンツも作れたはずが、できなかった。

 5月16日に示した改革アクションプランでは、フジテレビを真のコンテンツカンパニーに変革させることを期待している。今後伸ばすべき分野はコンテンツ分野。

 世界市場に向けてはOTT事業者、ネットフリックスやアニメだと米国・クランチロールをベースとすると、世界に出ていくことが容易なプラットフォームになっている。こういうところを使って、私たちの作るコンテンツを世界に送り届けられれば、そのコンテンツの成長の果実を取り込んでいけるのでは。それは結果として企業価値を向上させ、株価にも良い影響をもたらすのでは

Q 今週、山本賢太アナウンサーと鈴木善貴氏がオンカジの事件で逮捕された。社内調査に虚偽の説明をしていたと聞いた。こういった従業員がフジにいまだに存在していることをどう考えているか。これでスポンサー復帰が遠のいたのでは。再調査を徹底的にやってほしい

清水:今回このような社員の不法行為があったことに関しては、大変申しわけなく思っていて、おわびする。

 我々はコンプライアンス違反の調査を4月以降、全社員に対して行っていて、当該社員については、その過程で覚知した。

 ただ、会社としての調査は本人への聞き取りをベースに行わざるを得なかったので、実態の解明は警視庁の捜査に委ねる形となり、捜査協力も行った。

 その結果、会社の聞き取りに対して虚偽の説明をしていたことや、会社の処分を受けた後も行為を続けていたことが明らかとなり、こうした新たな事実が出てきたことで、改めて厳正な処分を会社として考えている。

 再発防止については、全社員でオンカジの実態の怖さを知る研修から始める。それ以外にも4月30日以降もやっている人権、コンプライアンスについてのさまざまな研修の取り組みも実行している。このようなことを通じて人権意識、コンプライアンス意識の定着を図っていき、このような取り組みをスポンサーにも説明して、理解をしていただきたいと考えている

 

Q 大谷翔平さんの自宅出禁問題とか、兵庫県知事選での一方的な報道があった。新聞、テレビ、ラジオなど各メディアで、報道倫理や公平性についてどういう教育をしているのか

清水:大谷選手の自宅での取材などについては、プライバシーや個人の扱いに最大限配慮すべきところ、ご迷惑をおかけしたことをおわびする。

 各メディアでの教育。テレビやラジオという放送に関わるものについては、放送法という極めて厳格な法律がある。放送法の理念にのっとり公平公正であることが求められているので、そのようなメディアリテラシー教育を各記者には、配属されてから、それぞれの現場で実施している。

 新聞は報道機関、言論機関としての役割があり、記者としての専門教育を実施している。公平性、公正さに関して、より一層注意して報道に当たっていく

 

Q コンテンツ事業が大事という話が出ている。アニメに力を入れるという報道があったが、当社の強みは月9などのドラマ。他社はドラマにかなり力を入れていて、続編を出したりしているが、当社はドラマをどうしていくのか

清水:ご指摘の通り、アニメの報道がされやすいと感じているが、私としては新しいIPを作り出したい。

 コンテンツ事業を強くしたいという中で、フジテレビはドラマに関しては他局より一日の長があると考えている。

 4月クールでも『続・続・最後から二番目の恋』は、TVerなどでの配信も人気で、1位の配信数を稼いでいる。このようなことはフジテレビのドラマの制作力が高いことを示している。

 ドラマはさまざまな二次利用展開が可能。映画化だけでなく、DVD、続編制作、シリーズ化もやりやすい。ネットフリックスなどOTT事業者との競争力を持てるコンテンツだろうと思う。テレビの枠だけに収まらない、大型ドラマも積極的に手掛けていきたい。

Q 改革アクションプランを拝見したが、IPの話が重要だと思う。コンプラや権利の問題もあるが『オレたちひょうきん族』など過去のバラエティの資産は活用しないのか。名場面を見たいと思って課金ベースのFODに入っても探せない。ロングテール需要があるのでは

清水:おっしゃる通り、過去のバラエティにはたくさんの名作が存在する。『オレたちひょうきん族』だけでなく『ダウンタウンのごっつええ感じ』とか、クイズ番組の『クイズ$ミリオネア』もあって、どのように活用できるかはひとつの課題。

 例えば堀江貴文さんが発言しているように、FODの会員がもっと伸ばせるはずだという指摘の中でも、「名作を切り取って興味のあるところを提供できないか」といった貴重な提案をいただいている。このようなことは非常に検討すべきこと。

 テレビ局は今、いろんなOTT事業者と比べて劣勢なイメージになっているが、過去の膨大な映像資産をどのように活用するかについては、まだまだ我々の努力が足りていない。著作権上の問題など解きほぐしていけば、活用は可能ではないか。これについてはしっかりとFODでも検討していきたい

Q 清水専務に単刀直入に質問。今回の事案で引退したN氏に損害賠償は行うのか。この件に関しては、フジテレビの毅然とした態度が求められると思う

清水:フジテレビとして一番優先的にやらないといけないことは、再生改革への道をしっかり進むこと、そして信頼回復を果たし、事業を成長の正常な道に戻すことだと考えている。

 タレントN氏に対しての刑事・民事の責任追及に関しては、信頼回復の施策を実施しながら、法的専門家の意見もうかがいながら検討していくべきことかと思っている

 

Q 社内取締役候補の5人は、1人を除いて全員がフジテレビたたき上げの人。今回の事案はフジテレビの根底にある社風にあるが、みんなそれにどっぷり染まっている。また、フジ・メディアHDの利益の多くが不動産事業由来だが、実質不動産会社の取締役として適切なのか

皆川:従前は中核子会社フジテレビの現場経験者を中心に取締役に登用してきた。

 ただ、今回の事案を受けて、監督機能強化やガバナンス刷新の意図で、コーポレート分野の経験が長い者からの選任を重視した。その上で、他社での経営の経験や、コーポレート全体を長年サポートした経験豊富な人間から選出している。

 「メディア経験者に不動産が分かるのか」という話だが、補えない部分については社外取締役として森ビル出身の堀内勉さんを採用して、全体としてバランスをとっている

Q 人権尊重などの改革で、人権デューディリジェンスで解決とのことだが、日テレがタレントに対して過去の事例も含めて対応したと聞いた。フジテレビは今後、過去の事例に関して処罰することはあるのか

清水:先ほどから出ている社内調査は4月以降行っている。4~5月の調査は、過去のものを対象としている。第三者委員会の報告書も、過去のものも含まれている。

 日テレでどのようにやられたかは存じ上げないが、先ほどのオンカジの件を覚知したアンケート調査も、実は過去のものを対象とした調査で浮き上がってきたもの。

 

Q 金光さん、私を覚えているか。日枝さんを今の立場にしたのは私。日枝さんが飛ばされたときにジュニアから戻した。日枝さんは何か悪いことをしたのか。金光さん、ひょっとしたら私がそこに座っていた可能性もあるんだ。麻雀やっただろ。私は白洲次郎の運転手だった。株主より社長が上に座るってどういうことだ。一番言いたいことは、ここ(有明アリーナ)は株主総会をやるところじゃないんだ、アスリートの会場なんだよ、汚すなよ。私のこと知ってるからあんたは逃げてるんだろ。白洲ファミリーから私が言われているのは、フリーメーソンがあなたたちの中にいるから、マスコミはあなたたちを断罪するんだ。だからつるし上げをやられたんだ。壇上に上がるな。たったこれだけのためにずっと待ってた、帰るぞ(筆者注:よく聞き取れず)

金光:お気を悪くされることがあればたいへん申しわけないが、フリーメーソンも白洲次郎も私は存じ上げていない。いずれにしても、何か至らぬことがあれば謝りたい。

 この会場に関しては、今回、株主が数万人増えて、今までの会場では入りきらない可能性があったので、大きくして、マイクの位置も遠くなって行きづらかったと思うが、そういうやむを得ない事情ということでご理解いただきたい

 

Q 人権やコンプライアンスを改善していくとおっしゃっていた。2024年9月にめざまし8に出ていたコメンテーターが兵庫県知事と副知事を名指しして「人殺し」と発言した件があった。副知事はBPOに提訴したそうだが、謝罪したり、プロデューサーを処分したりしたのか

清水:めざまし8でのコメンテーターの発言については公益通報者保護制度の趣旨で発言したものと聞いている、SNSでの批判は言葉尻をとらえたものと認識している。ニュースに限らず対立する問題では、多角的に取り上げ報道するべきと考えている

 

Q 精神科医で、ストレスチェックの面接を行っている。パワハラやセクハラが発生した時、内部通報制度は証拠が必要とかハードルが高いので、労災補償制度として労働基準監督署に相談すると、迅速に調査してもらって助かったことがあった。この制度を周知してはどうか

皆川:貴重な情報ありがとうございます。フジテレビにおいては今回の事案を受けて、相談窓口の体制についても見直している。

 弁護士事務所に加えて、安心して相談できるよう臨床心理士が立ち会える形での相談窓口も設置した。悩み事、ハラスメントが起きた場合は、気軽に相談できる体制を整えた

 

Q 2011年ごろ、フジテレビが韓流ドラマをたくさん流していたことによって、抗議デモを起こされたが、今になってどう思っているのか

清水:2011年ごろから、平日午後に韓国ドラマを再放送して、非常に人気が出た。いくつかの人気作品を流したが、韓流ゴリ押しとか、言われなき誤解が多くあった。その結果、お台場のフジテレビの社屋の周りでデモまで起きたことは誠に残念なことと思っている。

 どの時間帯にどのような視聴者がいて、どのようなコンテンツを提供すれば一番みなさんに楽しんでいただけるかを総合的にマーケティング的にも考えて、番組編成している。何らかの文化の押し付けをしたいということはなく、あくまでもお客さまファースト、お客さまの視点で何が一番いいかを考えて編成している

 

Q 2024年のアニメ『スナックバス江』について。好意的な評価もあったが複数の問題が指摘されているが、どう評価しているか。売上など数字の評価、作品内容の評価、作品内容以外の関係者の発言に対しての評価など。取引先に人権意識は共有されているのか

深水良輔:アニメ『スナックバス江』にはポニーキャニオンが出資している。ただ、ポニーキャニオンは多数の作品を制作して、放送している。個別のアニメについての数字については開示しておらず、特にコメントすることもない。

 アニメ制作過程においてのコンプライアンス上の問題という点についても、適切に管理されてると聞いており、特に問題があったとは聞いていない

Q(すずき) 今回の事案は弱い立場の社員を守り切れなかった人権意識とコンプライアンスの欠如が要因。この意識に問題があると、また別の問題が起こる。清水さんが問題発生前、組織内外で弱い立場の人間が働きやすいよう主体的に動いた事例があれば具体的に教えてほしい

皆川:具体的に「こういう形がベストである」という明確なものは特にないかとは思う。それぞれの部署、それぞれのところで働いている人間のそれぞれの特性に合わせた形で対応するということになろうかと思う。

 私は清水の下で働いていたこともあるが、清水からは「上が隙を見せなさい」と言われた。要は上が何でもきっちりとやりすぎると、下が逆に萎縮してしまうこともあるので、「ある意味、下からツッコまれるような部署にしていった方がいい」と教育された。

 私が部下を持った時もそのように対応してくれた。

 

Q 取締役会として株主提案には賛同できないとのことだが、できれば提案者のダルトンさんから説明してほしい。株主提案にも、北尾吉孝さんや近藤太香巳さんら、メディア事業以外でも活躍されている人がいるし、不動産事業にも知見のある人がいる。どのように面談したのか

金光:当株主総会としては、その機会を設けるべく先方におうかがいしたが、「特に説明しない」という回答をいただいたと聞いている

皆川:提案株主からの候補者案については、一部の方を除いて、志望動機や特技、当社にどういった貢献ができるかの事前質問書をもとに面談させていただいた。当社役員、社外取締役も含めて、オンラインという形だがそれぞれの候補と30~45分程度面談。

 招集通知にも書いているが、それぞれのジャンルで非常に知見の優れた方たちで、今回、手を挙げていただいたことや、面談に協力いただいたことに厚く御礼を申し上げたい。

 ただし、招集通知の取締役会意見の方にも記載しているが、会社としては取締役会の人数のコンパクト化、独立性の確保、女性割合の向上といった部分を打ち出して、取締役会の構成を考えていた。その中で株主提案の候補者については、受け入れられないと決議した。

Q 一連の人権問題や経営危機があったが、日枝相談役の考え方が一切伝わってこない。相談役の存在意義は何なのか。今後相談役を設けないとか、役員定年制を設けるとかあったが、みなさんこの一年間に日枝相談役に相談したのか。

和賀井隆:相談役という立場は、いつでも取締役が相談できる立場。日枝の豊富な知識や経験、人脈があるので、これに対して助言いただく。

 ただ、どういうご相談をしたのかは存じ上げていない。相談役の意義はあったが、今後は基本的には相談役という形ではなく、広い意味で取締役会が活性化されていくことを期待したい

 

Q 第3号議案について。清水専務が社長になるが、清水専務と金光社長のセクハラを告発する文書が出回っていると、週刊金曜日やサイゾーなどで報じられている、誹謗中傷であるなら訴えているのか

金光:この事案が起こって以降、身に覚えのないことをやられることがたくさんある。一時的に怪文書が出回ったり、名誉に関することでかなり振り回されている。

 第三者の弁護士を通じて、事実であるかという客観的な調査を行い、まったく根拠のないことだと判明している。

 こういうことが起こると、どうしても誹謗中傷や名誉棄損にあたるよう情報が流布される。今回、我々は反省を込めて、確認については第三者に委ねる方法をとって、実際にそういう事実が一切認められなかったという報告を受けているので了解いただきたい

 

Q 20年前、堀江貴文氏によるフジテレビ買収をめぐる一連の出来事は社会的にも多くの関心を集めた。当時、堀江氏が掲げていたビジョンと現在、フジ・メディアHDが掲げる未来像には共通点もあるのでは。今後の経営戦略を考えた時、堀江氏と何らかの協力関係は築くのか

清水:ご指摘の通り、堀江氏の知見、特にデジタル分野の知見は非常に優れたものと考えている。

 あの時代にインターネットビジネスが大きくなることを予見し、メディアビジネスがどのように変わるべきかというところの知見も確かなものだと、私は思っている。

 先ほども申し上げたが、配信事業などにおける、さまざまな提案、例えば切り抜き動画とか、バラエティの眠れる資産をどう活用するかということには、かなりすばらしい知見があると想像している。よって今後の競業などの可能性については否定するものではない

 

Q 全然違うことを質問したい。フジ・メディアHDは認定放送持ち株会社になっている。ネットワーク化して地方局などの経営基盤を強化するための制度の一番手として認定された。しかし、実際の子会社は仙台放送とフジテレビのみ。12局までOKなはずで、フジテレビは在京キー局なので7局分とみなされるが、あと4局ほどネットワークできるはず。しかし、他の会社は関連会社なので、別に認定放送持ち株会社にならなくても、マイナー出資してできる状況になっているはず。
買収防衛策として「単独の株主が3分の1以上持てない」というのが、この認定放送持ち株会社のルールとなっている。「こういった公共性の高い事業を特定の株主に支配されるのはよろしくない」みたいな建前になっている。
今回、ダルトンなどのアクティビストファンドからは「MBOして経営を立て直した方がいい」という提案もされていたと思うが、認定放送持ち株会社なのでMBOも難しい。あるいは特定のファンドにTOBされて上場企業でなくなれば、経営効率を上げるとか、不動産事業を切り離すとか、世界的なメディア企業になるとかできるが、認定持ち株会社であることが足かせとなっている。株価という意味でも、大きな買い手が来た方が上がると思うが、認定放送持ち株会社をやめる気はあるのか

清水:ご指摘されたことは、認定放送持ち株会社としてやっていくのであれば、今後どのように放送事業を続けていくのかということ。

 認定放送持ち株会社である以上、3分の1以上の議決権をとれないのは、マスコミ集中排除の原則から課せられている規制となっている。外資規制など、さまざまな制限があるが、傘下に放送事業を持つことによって放送法の縛りがある。国民全体に等しく知識、情報を行き渡らせること、必要な娯楽を提供することを目的にこのような制限がなされている。

 これについて果たして今後経営の自由度を高めるためにどのような方法があるのか。コンテンツ企業としてネトフリに対抗できないまでも、世界に打って出ようとか思った時、実は認定放送持ち株会社の縛りは制限となってしまい、なかなか思ったような自由な行動はとりにくくなる。

 ここに関しては、根源的な問いをかけられていると考えているし、今般さまざまな株主から問われている不動産事業をどうするのかとか、フジ・メディアHDとしてはどういう形になっていくべきなのかということを問われていると考えている。

 先般出した改革アクションプランでは、その先の答えはまだ示せていないと私は考えている。今後どのような形になるのか、それがどのような企業価値向上につながり、株主のメリットになるかについては今回の株主総会で承認いただけたら、独立社外取締役にもさまざまな知見のある新しい方がいるので、さまざまな検討をしながら話し合っていきたい

Q ベビーシッターを派遣している会社の社長が、2012年にフジテレビの厚生部を通じて「お前の会社は簡単に潰せる」「法務部に言えば大ごとにできる」と言われ、土下座を強要され、金銭を要求されたと言ってネットで話題になった。この調査はしているのか

皆川:今ご指摘いただいた事案については、把握できていない。株主総会終了後、早急に詳細を確認したい

 

Q 今回の発端の件について掘り下げて聞きたい。タレントのNさんへの損害賠償について訴えることも考えるとある。旧経営陣に対しては弁護士を立てた形でやっているので、同じことを並行してできるのでは。なぜ後回しになっているのか

清水:タレントNさんへの対応が後回しになっているわけではない。この事案が起こった後の対応に問題があったと第三者委員会の報告書で指摘されている。事案そのものでなく、事案が起こった後の会社側の対応、番組の継続について、人権侵害の認識が正しくあるか問われた。

 よって、我々としてはまず会社の中の対応の問題が一番指摘されている問題なので、それについての厳正な処分を考えた。社員の処分、取締役の責任の追及という点がそれにあたる。当該女性Aさんへの謝罪もおこなった。

 Nさんに直接ということではなく、Nさんの事案が起こったことへの対応が問われている。それはNさんとどこまで関係あるか極めて難しい問題となっている。この辺は弁護士などの助言ももらいながら検討しているところ

 

Q 連結計算書類について。役員退職慰労引当金が23億5600万円計上されているが、対象者は1人か。2008年に制度を廃止した時、支給決議はあったのか。また、功労加算金があったなら対象は日枝さんだと思うが、取り消しとか減額するとかのやり取りはあったのか

深水:役員退職慰労引当金は当社と連結子会社の合計の引当金。当社とフジテレビは2008年に役員退職慰労引当金制度を廃止していて、このタイミングで支給については確定している。こちらの支払いがまだ行われていないというだけで、支給についてはすでに決定している。

 23億5600万円は連結子会社すべての合計となるが、フジテレビはもちろんゼロ。連結子会社合計の数字。会社によって任期・期間によっても変わるので、具体的な数は出していない。

 日枝についての額も確定していて、すでに引き当ては済んでいる。バランスシートにも入っていて、その他負債の中に含まれている。個別支給額については開示していない

Q フジテレビ本社が近くにある。できてそろそろ30年経つが、今後も使い続けるのか。改装工事や新築立て直しするのか。近くの湾岸スタジオを本社として使うのか。会社が減益状態になので、将来的にはどうなるのかを聞きたい

皆川:お台場の本社ビルについては、1997年3月から営業していて、今年で28年目。50年使うことを前提として、25年おきに大規模修繕をしている。しかし、本事案を受けて。いったん大規模修繕工事を中断している。

 

Q 主要スポンサーが戻っていない状況が続いている。ここまで続くと、フジテレビに広告を出さなくても売上は変わらないと気付いてしまって、戻る補償がないのでは。配信サービスが台頭し、人口減少で、地上波5社体制は過剰なので、地上波放送からの撤退は考えているか

清水:フジ・メディアHDが今後どのような形になるべきかは、基本的には企業価値向上を第一に考えて、ゼロベースで考えることも必要かと考えている。

 地上波放送事業が本当に不採算事業になるかというと、今までのような明るい事業ではなく、今後については競争が厳しい事業と認識している。

 しかし、米国市場を見ると想像できるように、地上波放送事業がなくなるかというと、一定のシェア、それもかなり大きなシェアをとって生き残っていく。これほどのリーチメディアはないことは証明されていると思っている。

 ただし、以前ほどの絶対的な王者ではなく、マーケット自体はある大きさで維持されていくとしたら、その中のシェア競争を勝ち抜く必要がある。勝ち抜ければかなりの利益をあげることが可能と考えている。

 そのためにどのようなことをやるべきかというと、放送事業の効率化、商品力の圧倒的な強化という、プラスとマイナスの両方をいっぺんにやらないと生き残れない。

 放送事業は決して不採算事業ではなく、収益事業化することも可能。コンテンツ企業として成長させるためには、コンテンツの宣伝出口としての地上波は以前有利なものはあると思っている。

 コンテンツ事業をドライブさせるためにも、メディア事業を持っていることは決して不利なものではない。そのような観点から、利益率をどう向上させていくか、放送事業の収益化というものはまだやり方があると考えている

 

Q 人権デューディリジェンスの本来の目的は仕入れ先に対する、「そんな企業と付き合いませんよ」というもの。フジテレビだと旧ジャニーズ事務所や吉本興業という前時代的な企業と付き合いませんということ。フジテレビのマークも変えて、変わる決意をしたら伝わるのでは

清水:人権デューディリジェンスとはフジテレビ社内だけでなく、取引先、出演者の事務所、制作会社、制作に関係するあらゆる取引企業とのことも含めたデューディリジェンス。

 その中で何らかの人権侵害、コンプライアンス違反があった場合は、お付き合いできなくなることになる。そしてそのようなものは一切許さない。私たちの番組という商品において、コンプライアンス違反があるものは許容しないと申し上げている。昭和の時代の関係とは違うようなものが今後は第一。

 ロゴマークを変えるべきかは検討のひとつとしてはあるが、まずは「楽しくなければテレビじゃない」から脱却することを、4月30日に8つの施策として申し上げている。放送法の理念に則り、原点に立ち戻った公共性で、社会に貢献できる企業としてフジテレビは生まれ変わると申し上げている。

Q 日テレでTOKIOのメンバーの人権侵害が問題になっている。第三者委員会の調査も含めて、当該人物による当社関係者への人権侵害行為は認識していないということでいいのか

清水:報道によるものしか認識していない状況。当該人物によるフジテレビにおける状況だが、今現在、私たちはそのような人権侵害、コンプライアンス違反があるという事実は認識していない

 

Q コンテンツクリエイションだけでなく、プラットフォーマーは目指さないのか。プラットフォーマーが日本から出ていなくて、YouTubeやネトフリ、Amazonなど海外に取られている。任天堂のように日本のコンテンツを世界に紹介できるプラットフォーマーは目指さないのか

清水:ご指摘の通り、一番強いのは世界に通用するプラットフォーマーとなることだと思う。実際、ネトフリまで大きく強くなれれば大きなアドバンテージとなる。デバイスを持っているAppleのように、iOSのシステムの中に入れられるなら大きな強みとなる。

 しかし、プラットフォームビジネスは規模のビジネスに直結する。国内でまだ多くの配信事業者が乱立する中、5~10年後にどこが生き残っているのかというと、かなり厳しい競争と考えている。

 そういう中で、フジテレビではFODという独自のオウンドプラットフォームを持っている。150万人のサブスク会員がいるが、規模としては小さい。しかし、そこにはフジテレビのコンテンツが好きな人が見に来てくれるという形はとっている。

 ただ、これがフジテレビの社内事業としてやっている分には間接費の付与なども考慮しなくてもいいので、事業としてはまだ成立しているが、独立事業としてやっていったら相当厳しいことになると思っている。

 そういう意味ではプラットフォーマーとしてやっていくには、現実的には1000万人くらいの会員を持つプラットフォームにならないと、将来的な持続的な成長はできない。そのためにいくらのコストがかかるのか、これは莫大な投資額、3ケタ億円の会員獲得コストがかかってくると想像される。

 そういう中で我々はどちらかといえばコンテンツプロバイダー、プラットフォーマーに対して、我々のコンテンツがユニークで強ければ、交渉の競争力が持てるだろうと思う。今でもフジテレビのドラマの供給では、ネトフリやAmazonに結構いい条件で売却できている。このようにコンテンツプロバイダーとしての道の方が、今は現実的には可能性があると考えている。

 

Q レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長が「堀江貴文さんが社外取締役でいいんじゃないか」と数日前に言っていたが、可能性としてお話しできることはあるか

清水:本日のこの株主総会で取締役候補案を上程している段階。よって今の段階では堀江さんが候補として選任される予定はない。

 ただし、堀江さんの知見は取締役でなければ発揮できないものかというと、決してそうではないだろう。よって子会社フジテレビの配信事業などで、さまざまな知見のアドバイスを受ける可能性はもあるかと思っている。

 

Q 役員退職慰労引当金に、日枝氏の分がどれだけ含まれているのか。できればゼロという答えを期待したい。連結各社の方は結構なので、日枝氏についていくらになるのか開示をお願いしたい

深水:役員退職慰労引当金23億5600万円は、当社および連結子会社の合計。

 当社とフジテレビは2008年に役員退職慰労制度を廃止しているので、この中には当社やフジ・メディアHDの引当金は入っていない。それ以外の連結子会社の合計額となっている。

 日枝の部分は2008年に金額も、支給することも確定している。その他固定負債の中に含まれているが、個別の支給額についてはどの役員についても開示していない

Q 招集通知にスキルマトリックスが載っていて、専門性のあるところに〇がある。具体的に誰がどのような基準でスキルがあると決めているのか。デジタル・AIに〇がついているのは社外含めて4人だけ、今後はデジタルの知見が欠かせないと思うが、どう考えているのか

皆川:今後、フジ・メディアHDとして目指すべき方向性を定める上で各ステークホルダーと相談し、今回この8項目をスキルマトリックスとして設定した。法務・コンプライアンスは以前からあったが、新たに人事・人材開発、デジタル・AI、グローバルという項目も追加した。

 今回、取締役会をコンパクト化する中で、各ジャンルにバランス良く配置できるような形で人員構成を考えた。何よりもコンプライアンスの部分を最重要視した。

 「デジタル・AIが11分の4と少ない」というご指摘だが、清水もそうだが、若生伸子はTVerの社長も経験しているし、稲田雅彦さんは学生時代からずっとAIをされている。人数ということではなく構成のバランスという意味で、この11人体制がベストと認識している。

Q 招集通知が届いた後、御社から「3号議案に賛成してほしい」というハガキが届いて、「必死だな。費用はどれだけかかっているのか」と思った。こういうハガキを送るのは不公正として、決議取り消し事由に当たるのではと思った。ハガキを送ったことをどう思うか

皆川:各株主にハガキを送らせていただいた。

 当然、送ること自体や書面の内容について、法律事務所の確認を取った上で法的に問題がないと確認した上で、送付している。特に道義的に問題があったとは認識していない。

 

Q 第三者委員会の調査で元タレントらが高級ホテルのスイートルームに女性アナウンサーを呼び出してパーティをしたとある。その経費を制作費として会社が支出したと。不正請求は他にもあるのでは。時効の関係で限りはあるが、さかのぼって調査して返還請求しないのか

清水:番組の収録の場所という名目で制作費が申請されていた。実態として、その使用目的はタレントとの交際費的な意味の支出だったと認識している。よって実際の費用の項目としては違うが、費用の支出自体、使われている関係者についての事実関係は同じだった。弁護士とも相談し、社内規定とも照らし合わせて、これについては処分の対象とはしていない。

 これを踏まえて、会合や精算ルールなどは、より厳密なものを今、整備している。よって今後はこういうことがないようにする。過去にさかのぼるのも、このような不正請求などについては全社としてチェックしている

 

Q 報道機関として、どういう存在価値を発揮していくのか。SNSがすごく勢力を持ってきていて、マスコミの影響力が相対的に下がっている。マスコミが世論をコントロールしようとしているとみる国民も増えている。SNSなど、ほかのメディアへの認識も聞きたい

清水:フジテレビの報道姿勢については、ご指摘のように「マスコミが一定の方向にコントロールしようとしている」ということはない。報道については公平公正であること、真実であることを一番に扱っている。

 しかし、テレビの報道が、視聴者からどのようにみえるかに関しては、テレビのショーアップされたところも部分的には出てきているかなと思っている。

 メディアのテレビ報道の価値は、かつては「新聞より速報性があります」ということがあったが、SNSが出てきた中では、速報性はもうネットにはかなわない。SNS報道がある中、「テレビ報道だからできることは何か」を考えないといけない時期になったのではないか。

 SNSでひとりひとりの力でやっていくことは難しい、組織として客観的な調査をすること。アクセスしにくいところまで取材として入っていき、取材内容をみなさんに示すこと、国民ひとりひとりにとって価値があることは何だろうか、その価値を提供できないとテレビ報道は意味をなさないと考えている。

 今の報道のあり方は、みなさまにどのような意味があるかをまず自分で示していかないといけないと思う。これまでより一層自らを磨いて、視聴者に何をお届けしたらいいのかが重要になってくると思う

 

Q 公益性と真実性に疑問符がつく恣意的な報道など、正当性を欠いた強大な力の乱用はさまざまな問題を引き起こし、SNSの台頭とともに視聴者の信頼低下を招いた。報道機関としてどのようなCSRのビジョンを描き、どのような方針で報道姿勢の改革に取り組もうとしているのか

皆川:フジテレビは、放送法にのっとり、公正中立かつ事実に基づいた報道を徹底している。

 人権尊重や公共性を重視し、編集方針についても事実に基づいて進めている。今後も視聴者の信頼に応えるため、客観性、中立性を重視した報道を継続していきたい。

 CSR活動に関しては、フジテレビを中心とした当社グループ各社で連携して、被災地支援や国内外の芸術文化団体への支援なども活動として行っている。

 

Q 「堀江貴文さんを役員にしては」という提案があったが、堀江さんに限らず、ダルトンの株主提案のメンバーの堤伸輔さん、福田淳さん、近藤太香巳さんらもいいと思う。ニッポン放送やフジテレビの社外取締役に就任していただく打診はしたのか

清水:ダルトンの株主提案の候補者はフジ・メディアHDの監査等委員でない社外取締役候補として提案されたもの。提案自体はフジ・メディアHDに対して行われている。それについての可否を問うのが今回の株主総会。

 よって子会社の社外取締役にするべきかどうかということは、この株主総会で議論されることではないと考えている

 

Q コンプライアンス違反がみられる企業と取引しないとあった。第三者委員会の調査報告書では、フジテレビの女性社員に対するセクハラが広告代理店、スポンサー、取材先から行われていたと記載されている。こういったステークホルダーに対して、今後どういう対応をするか

清水:第三者委員会で指摘されているような事柄については、その後、こちらでの調査なども踏まえて、確認できたものについては厳正な処分をすることにしている。

 カスタマーハラスメント的なものに関しても、人権デューディリジェンスの対象を広げてやっている。その中で出てきた事案、その中で確認されたものについては適切に厳正なる処分を下していきたい。

 

Q 3月に株を買ったが、理由はバリュー株だから。PBRが1を割っている。このことに危機感は持っているのか。私はフジテレビが大好きで、20年前カナダにいた時に『料理の鉄人』が流れた時、みんなシェフになりたいと言っていた。いい会社にできると信じている

金光:当社を応援するメッセージありがとうございます

深水:PBR1倍割れの状況が続いている。株価はさまざまな状況で決まっていくものと考えているが、PBR1倍を下回る状況は良くない、経営課題だと考えている。

 今回、中期グループビジョンの目標数値を変更して、改革アクションプランという形で公表している。こちらについてはROE8%の目標を出している。期日は記載していないがROE8%以上を目指すことで、PBRも1倍以上にしていきたい。

 そのためには成長投資。都市開発・観光事業は非常に好調だが、まず利益を伸ばして、ROEの分母となっている自己資本も株主還元などを通じて抑制することで、ROEを高めていく。来年に目指すというのは難しいが、できるだけ早期に目標を達成できるようにしたい。

Q BSフジの『プライムニュース』が好み。反町理さんがコンプライアンス違反で3月に突然いなくなって残念。女性2人が残って頑張っているが政治問題でのツッコミが弱い。選挙前とかだけ復活できないか。違反の程度が分からないが、もう永久に出られないのか

清水:反町キャスターについては第三者委員会での類似事案での報告ということで、改めて調査した。その中で過去のことではあったが、セクハラ・パワハラについての問題があったと認識している。

 その結果、今、キャスターとしての出演はしていない状況となっている。どのようになるかは今後のことなのでまだ分からない。問題がなければ変わるかもしれないが、今現在は出演の可能性は極めて低いと考えている

Q 日本のテレビニュース報道は横並びで、どちらかといえば左寄り。全局が左寄りなら、フジテレビが右寄りになれば半数を獲得できるのでは。既存スポンサー離れも懸念されるので、新しいスポンサーを獲得して日本版FOXニュースを目指してはいかがか

清水:確かに米国のFOXは非常に極端な報道をするので、ある意味、色が見えやすく、支持者からはみやすいものとなっている。

 しかし、日本のテレビの放送免許は放送法で縛られていて、公平中立な報道が義務付けられている。そのため、ご提案のような報道のやり方は採用できない。

 また、報道番組は実はなかなか内容と利益が結びついていない。ニュースの内容は会社の中でも独立した編集方針をとっているので、会社の経営、利益と直結していない

 

(動議) 初めて参加したが、もう十分に質疑の時間は尽くされている。何のために来たかというと、最後に議案に対する拍手をするためだけに来てるので、終わらないと帰れない。聞いていれば、さっきからくだらない質問ばっかりで時間の無駄。最初に質問を受けたご高齢の方はずっとあそこで理不尽に待っているじゃないですか。なので、むしろ株主にちょっと失礼かなと思うんですよね。パイプイスに座らせて。なので、もうここで打ち切りにして終わりにしてほしい。やめましょう、みなさん、決とってください。つまらないです、これ

金光:質疑打ち切りを求める動議がなされた。かなり多くの方に質問をいただいているが、まだ挙手されている方がいるので、もう少しすみません、この質疑を続けて、それで今のご提案もあったので、まだずっと挙手されている方もいらっしゃるので、何人か指名して、それで判断させてもらいたいと思っているので、今の動議には反対する。従って、もうしばらく審議を続けることに賛成の方は拍手をお願いします。

 (会場採決)

 ありがとうございました。ただいまの動議は否決されたので、この議事をしばらく続ける

Q 「面白さの追求で犠牲が出るテレビ番組を作らない」という公約を守ってほしい。テラスハウス事件でフジテレビは「ネット民が勝手に騒いだせいで、うちには責任がない」という見解を示した。炎上商法でしょう。フジテレビが非を認めて謝罪して賠償してはどうか

清水:テラスハウスに関しては、亡くなられた木村花さんに深く哀悼の意を表す。しかし、テラスハウスについては現在、訴訟を継続中。司法判断を尊重しつつ、原告の主張に真摯に向き合っていきたい。

 本件を大きな教訓とし、番組制作、放送に誠実に取り組んでいく

 

Q 今回の質問したい趣旨は株主代表訴訟について、私は御社から6月5日付で通知をいただいている、株主代表訴訟を起こすかをこの質問で判断する。UHB含めて事業局の減収減益を起こしたことについて、取締役としての責任はどうなっているのか

和賀井:ただ今の株主から、株主代表訴訟の前の段階の提訴請求というものを1月末に受け取った。

 いろんな理由があったが、過去の株主としての提案を何も受け入れなかったことから始まり、「この一年の一連の事案で損害が起きたのではないか」ということで、「フジ・メディアHDの常勤の取締役を全員訴えよ」という提訴請求だった。

 当社とフジテレビの監査役という立場で、独立した弁護士を選任して、3月末に出た第三者委員会の報告書も含めて検討した。

 選任された弁護士から5月末に報告書が出て受け取ったところ、内容はすでに報道されているが、「賠償請求しなさい」という通知だった。

 取締役の事案対応において会社に賠償すべき損害が発生したことは確かにあった。2023年6月の事案発生以降、今年1月までの段階の調査を行い、取締役の法的責任があったか確認したところ、港浩一元社長と大多亮元専務には、その期間そういうタレントを使った番組を継続していたことが、そういう扱いになると。

 フジテレビの監査役がその報告を受けて、訴訟を行う準備に入っている。法的責任があるかどうかというものを受けて、まだ訴訟していないが、準備に入っている。

 これを受けた形で、先ほどの株主の方からの提訴請求については、フジテレビの方で責任を追及するという形の結果を得たので、フジ・メディアHDの監査委員会としてはフジ・メディアHDで改めてプラスで訴追することはしないという監査委員会としての結論を出し、他の取締役についても報告がなかったという前提もあって「特に責任はない」と株主の方に通知した。

 

Q 直近のコンプライアンス違反騒動は他局と差別化できるチャンス。不動産事業はすべて売って、メディアコンテンツ事業に注力すべき。大株主もほぼ同じことを言っている。東証は資本コストを意識した経営を推進している。資本コストを意識した経営について開示しているか

深水:不動産事業を我々は都市開発・観光事業と呼んでいる。2018年の中期経営計画の時、メディアコンテンツ事業と都市開発・観光事業をふたつの柱として、今後成長していくとうたった。

 都市開発・観光事業のサンケイビルは2012年、観光事業のブランビスタは2015年に子会社化ということで、都市開発・観光事業自体は10年ほどと当社グループの中で決して歴史の長いものではない。当時50億円レベルの営業利益だったものが、今回240億円以上と大きく拡大している。当社グループに入ったことで大きく拡大できたと考えている。

 一方、メディアコンテンツ事業のフジテレビは、特に放送収入が伸びないどころか減少傾向が続き、今回の事案で大きく落としている。メディアコンテンツ事業は、不動産事業があるから伸びていないというわけではない。両方を伸ばしていきたいと考えている。

 株主資本コストについてはいろんな計算方法があるが66%前後と認識。なので、ROE8%以上を目指すところを今回の改革アクションプランで出している

Q 今回の人事で誰がフジ・メディアHDのコンプライアンスを統括するのか。コンプライアンス教育が重要だが、どういう教育をしているのか。雪印は専門家を入れて立ち直った。コンプライアンスの専門家を役員にしてはどうか

皆川:グループ全体のコンプライアンスの統括責任者は代表取締役社長が務めている。今は金光で、株主総会で承認されたら清水がなる。

 コンプライアンス教育については、動画による研修、対面による研修、いろんな形で研修活動、刷り込み活動をやっている。

 ただ、繰り返すことで、逆に教育を受ける側が馴れ合いになって、受け方が雑になってしまうこともあろうかと思う。刷り込み状況の確認も含めて、徹底していきたいと考えている。

 

Q 要望としては2020年に金の手帳を株主優待でもらい、縁起がいいので金運が上がるよう次回、金の手帳カバーをつけてほしい。質問としては性教育検定を導入してほしい。私が準備している途中だが大規模イベントで発表して注目を集めている。詳しい資料もお渡しできる

皆川:株主優待の手帳についてお褒めいただき、ありがとうございます。毎年、色は変更しているが、即座にとは申し上げられないが、株主の声として参考にさせていただく

 性教育検定の導入ということだが、現在の当社において最優先すべきはコンプライアンス意識の徹底と認識している。少なからず検討していきたいので、ご理解いただければ

 

(動議) 今日の株主総会が長くならないと思った人はいないと思う。長くて困る人は退出する自由がある。発言したい人が残っているのに、その権利を奪うのはどうなのか。最後の一人までやってほしい。それをみせるのが今日のフジの使命だ

金光:審議の続行を求める動議が提出された。本株主総会も開会からすでに4時間20分が経過している。この間、多くの質問や動議の提案などをいただき、十分審議は尽くされたと思っている。従って、審議の続行の動議には反対する。反対の株主さま、拍手をお願いする。

 

(動議) 別の動議を出す。最前列で最初からずっと手を挙げていたのに当てない議長は不誠実。議長不信任、議長の交代を求めたい

金光:今回の株主総会では多くの方に来場いただき、かなりの挙手があったので、基本的には無作為抽出という方法をとって、できるだけまんべんなく指名した。

 至らぬ件もあるが、精一杯、議長の進行に努めたので、このまま議長を続けたいと思う。従って、ただ今の議長不信任動議の提案には反対する。反対の株主さま、拍手をお願いする。

 (会場採決)

 ただ今の動議は多数をもって否決された。