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最後の電王戦の現地まとめと佐藤天彦名人に聞きたいこと

 5月20日に行われた第2期電王戦第2局。

 第2期叡王戦優勝者の佐藤天彦叡王(名人)と第4回将棋電王トーナメント優勝ソフトのPONANZAとの勝負で、先日、ドワンゴの川上量生会長が表明した通り、これが人間と将棋ソフトが戦う最後の電王戦。2012年1月、米長邦雄さんとボンクラーズが対戦した最初の電王戦から5年4カ月を経て到達した最終戦となります。

 →プロ棋士とコンピュータソフトが戦う「電王戦」は今年で最後 ドワンゴと将棋連盟が発表(ねとらぼ)

 対局の詳細はニコ生のタイムシフトを見ていただければと思うのですが、結果は第1局に続いて佐藤天彦名人が連敗。

 局後の記者会見で佐藤名人は「この6年間というのは、コンピュータ将棋が人間のトップに迫り、そして追い越すような過程をそのまま表したような年月だったのかなと思います」とコメント、完全に人間を超えているという認識を示しました。

 →第2期電王戦 二番勝負 第2局 佐藤天彦叡王 vs PONANZA(ニコニコ生放送)

 タイムシフトの記者会見を見ながら思ったのですが、もし僕が記者さんだったら「将棋ソフト開発に興味はありますか?」と佐藤名人に聞いてみたかったです。

 以前、将棋ソフトの棋力は開発者の棋力と関係があるかも、という声が開発者界隈であがったことがありました。ある時期までは将棋は素人に近い開発者も強い将棋ソフトを作れていたのですが、近年の将棋ソフト大会では棋力の高い開発者が上位に入る傾向が強くなっています。開発者がある程度、将棋を理解していることで、勘どころがつかみやすくなっているのではないかということです。

 実際、PONANZA開発者の山本一成さんはアマチュアとしてトップクラスの棋力を持っています。もし将棋ソフトの棋力と開発者の棋力の関係が正しいなら、人類最強の佐藤名人は最強の将棋ソフトを作れるのではないか、と。

 電王戦は、将棋という問題に対するアプローチにおいての地頭勝負という一面もあります。特に開発者のやねうらおさんの発言などからは「たまたま棋士の方が脚光を浴びる立場にあるけど、自分の方が棋士より地頭がいいぞ」というプライドを感じることがあります。

 佐藤名人には棋士トップ対将棋ソフトトップとしては負けたけど、将棋ソフト開発者同士の勝負としては勝って、「棋士のトップはやはり地頭が良いんだな」というところを見せてほしいですね。佐藤名人の開発した将棋ソフトが、世界コンピュータ将棋選手権でPONANZAにリベンジということになったら、アツイ展開じゃないですか。

 将棋ソフト開発で本業がおろそかになるのではという意見もありそうですが、将棋ソフトを研究で活用する棋士が一般的になった今、将棋ソフト開発は棋力向上に貢献する可能性も高いと思います。将棋ソフトが強くなると人間同士の興行が成り立たなくなるのではという懸念もあってか棋士が参加しにくい雰囲気もありますが、藤井聡太四段のフィーバーを見ているとそんなことはないと言えるでしょうし(完全解析されると違うかもしれないですが)。

 ぜひ、佐藤名人にはとりあえず手を付けてみる程度でもいいので、やってみてほしいですね。やるとなれば、プログラミングなどで助けてくれる開発者もたくさんいるでしょう。電王戦は将棋ソフトが棋士の世界に挑んできた印象があるのですが、その逆もやるのがフェアではないかと。

 さて、第2期電王戦第2局は最後の電王戦ということで、僕も現地の姫路まで行って、いろいろとツイートしていたので、追加画像も加えてまとめておきます。

 第3回将棋電王戦でやねうら王が端歩を連続で突いた時も「1000分の1の確率」と開発者のやねうらおさんがコメントしていました。ただ、そんな面白い都合のいい偶然がそう起こるわけないので、日付条件などで指定しているのではないかと。

 電王戦の大盤解説会場を借りているのは、なぜかドワンゴではなく「NATiON」という会社。

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 「第2期電王戦 エンドロール」を見ると、制作進行で手伝っている会社のようです。

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 姫路城の入城時間は9~17時。

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 ぶっかけそばを「ブッソ」と略してるのは関西らしいなと思ったり。

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 このバイクで関西将棋会館まで運んでいるのでしょう。

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 ついでに小雀弥から1キロほど離れた関西将棋会館にも行ってきました。

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 正面で升田幸三さんの「新手一生」、大山康晴さんの「王将」の扇子を展示。

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 夜中なので、1階のレストラン「イレブン」はさすがに営業しておらず。

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