官と民の癒着が問題視される天下り。実際に能力があって登用される例も多いのですが、手心や便宜を期待しての受け入れが批判されてきました。
そうしたことから国家公務員法で退職後の天下りの報告が義務付けられており、内閣官房が内容を3か月ごとに公開しています。
→国家公務員法第106条の25第1項等の規定に基づく国家公務員の再就職情報の報告(平成29年1月1日~3月31日分)
ただ、公開されてはいるものの、量が多いからか、あまりチェックされていないんですよね。そこで、官僚トップである事務次官・長官や気になったものに注目して、取り上げようと思います。
公開が3か月ごとなので、この記事も3か月ごとに作っていく予定です
▼大石利雄(総務事務次官→自治医科大学)
2014~2015年の総務事務次官。もともと桜井俊さんが次期事務次官の最有力候補と言われていた時に、官邸主導で消防庁長官から横滑りした方です。
自治医科大学は伝統的に総務省の天下り先であるようです。
▼桜井俊(総務事務次官→セガサミーホールディングス)
2015~2016年の総務事務次官。嵐の櫻井翔さんの父親として有名。2016年都知事選で候補として話題になりましたが結局、不出馬。
その後、三井住友信託銀行の顧問になったことが話題になりましたが(実名リスト・霞が関全省庁キャリア官僚108人「天下り先と退職金」)、さらにセガサミーの顧問にも就任。これは里見治会長との付き合いからでしょうが、カジノ関連での役割も期待されているのでしょう。
→豊洲カジノ化計画のキーマン セガサミー里見治会長の「金満伝説」
▼齋木昭隆(外務事務次官→辻・本郷税理士法人)
2013~2016年の外務事務次官。その後、三菱商事取締役に就任。
税理士法人というのはキャリアと合っていない気がしますが、個人的なつながりでしょうか。
▼村木厚子(厚生労働事務次官→日本司法支援センター、NPO法人モバイル・コ ミュニケーション・ファ ンド)
2013~2015年の厚生事務次官。障害者郵便不正事件で逮捕されたものの、無罪となったことで有名になりました。
その後、伊藤忠商事社外取締役に就任。偉いポストにふさわしいキャリアを持つ女性が少ないことから、各界でひっぱりだこです。
▼本田勝(国土交通事務次官→一般社団法人ドローン操縦士協会)
2014~2015年の国土交通事務次官。ドローン飛行は国交省の管轄ですね。
▼徳山日出男(国土交通事務次官→電通)
2015~2016年の国土交通事務次官。東日本大震災の復旧・復興を指揮。
電通の顧問になったのは、労働問題で危機的な状況にある同社の立て直しを期待してのことなのでしょう。
▼中原広(国税庁長官→シグマクシス)
2015~2016年の国税庁長官。シグマクシスはITコンサルなのですが、主な株主のインターネットイニシアティブ社長を元財務事務次官の勝栄二郎さんがやっているので、その流れでしょうか。
▼板東久美子(消費者庁長官→宮内庁)
2014~2016年の消費者庁長官。そこから宮内庁御用掛とは珍しいパターンではないかと。若い皇族も多いので教育係ですかね。
▼大坪亮太(国税庁東京国税局麻布税務署長→ジャニーズ事務所、ジャニーズ出版、つづきスタジオ)
つづきスタジオはジャニーズがレッスンやリハーサルに使っているとされる場所なので、3つともジャニーズ関連。
年商1000億円とも言われるジャニーズ。それだけに国税との関係も大切にしているのでしょう。
▼岡部勝巳(関東財務局総務部部付→横浜スタジアム)
横浜スタジアムは2016年にDeNAが子会社化。なのでDeNAが財務省との関係を深めようとする意図もある気がするのですが、どうなんでしょう。