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日本をスルーしたトヨタ×LINE レンジャーのプロモーション、世界に広まるLINEゲーム

 韓国企業NAVERの日本法人NHN Japan(現LINE)が開発したインスタントメッセンジャー『LINE』。メッセージをやりとりできるだけではなく、『LINE POP』や『LINE:ディズニー ツムツム』といったゲームも数多く配信しており、それが収入の大きな柱ともなっています。

 そのLINEゲームの1つ、LINE レンジャー』で「おっ!」と思うコラボが9月11日に始まりました。それは特定のステージをクリアすると、LINEの人気キャラクターのブラウンがトヨタ自動車のクルマに乗ったユニットが一定確率で手に入るというもの。

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 まず、トヨタ自動車がゲームとコラボすること自体が珍しい話。ただ、豊田章男社長が就任して以来、アニメやボーカロイド曲を活用した、若者の関心を集めるようなプロモーションが行われるようになっているので、その文脈の延長線上にあるのかもしれません。

 

 

 僕が一番ビックリしたのは、手に入るレンジャーの名前がヤリスブラウンであるということ。「“ヤリス”って言葉、初耳なんだけど」と思う人も多いでしょう。

 実はヤリスとは日本以外でのヴィッツ系車種の名前のこと。つまり、このプロモーションは日本向けではないんです。

 主にどこに向けた宣伝なのかというと台湾です。台湾ではトヨタの台湾総代理店の和泰汽車が9月に新型ヤリスを投入します(参考:トヨタ新車販売、過去最高15万台へ - ワイズコンサルティング@台湾)。「ヤリスは価格に敏感な若者がターゲット」なので、その層と重なるLINEゲームで宣伝する案が出たのでしょう。

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 台湾App StoreでLINE レンジャー』はセールスランキング7位。最近はゲームに広まりがなくなっているのでユーザー離れが進んでいるのですが、つい最近まで台湾版パズドラの『神魔之塔』に次ぐ2位の座に居座っていました。日本の『モンスターストライク』のポジションに近いかもしれません。

 僕もYouTubeにLINE レンジャー』の動画をアップしているのですが、8月の視聴数の16.8%は台湾からのアクセスが占めています。日本からのアクセスは69.1%なので、人口差を考えると台湾での人気が分かるでしょう(台湾の人口は2306万人)。

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  日本だけでなく、台湾市場でもトヨタの販売台数は1位。表のKuozuiが和泰汽車=トヨタに当たるのですが、7月以外でも1位であり続けています(表出典:自動車販売台数速報 台湾 2014年 - マークラインズ 自動車産業ポータル)。

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 しかし、車種別に見ると、ヤリスは苦戦中(表出典:トヨタ新車販売、過去最高15万台へ - ワイズコンサルティング@台湾)。2011年を頂点として、販売台数減少が止まりません。新型ヤリス投入で巻き返せるか、というところでのLINEゲームでの宣伝に至ったのでしょう。

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 ちなみに僕のYouTubeの視聴数で日本と台湾に次ぐのはタイの8.03%。タイで新型ヤリスは2013年10月に発売されているのですが、そのてこ入れの意味合いもあるかもしれません(参考:新興国専用車「ヤリス」、まずタイに投入 トヨタ:日本経済新聞)。

 3年前、日本を起点に始まったLINEが、世界に広がっていることを示すような今回のトヨタ自動車のプロモーション。日本人がポカーンとするようなイベントが今後、増えるかもしれません。

 LINEゲームはイベントは地域別に行われているのですが、新キャラクターのような大きな変更の場合はバランス調整の問題で地域別ではやりにくいんですよね。