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サイゼリヤ株主総会2024レポ|株主「デザートが全部茶色。季節メニューとかあってもいいのでは」→松谷秀治社長「デザートは一番力を入れないといけないと思っている。絶対に変えるので期待してほしい」

 11月28日11時から行われたサイゼリヤの株主総会。

 スパゲッティ専門店「Spaghetti Mariano」、カフェ「リフレスカ」、小型パスタ専門店「伊麺処」、ファストフード系イタリアンレストラン「ミラノ食堂」など多角化も進めていたのですが、直近では中心業態のサイゼリヤに一本化しています

直近経営資料 2024年8月期決算短信決算説明会資料2023年度有価証券報告書
株主総会資料 定時株主総会招集通知
前回 サイゼリヤ株主総会2023|松谷秀治社長「『値上げしない』とは意地で言っているわけではない。値段を先に上げてしまうと、努力なしで利益が出てしまう。まだ努力することがあるんじゃないかということでやらせていただいている」

 コロナが一段落したこともあり、業績は増収増益。

- 売上 営業利益 純利益 PER PBR 時価総額
サイゼリヤ・22年8月期 1442億円 4億円 56億円      
サイゼリヤ・23年8月期 1832億円 72億円 51億円 32.4倍 2.7倍 2838億円
サイゼリヤ・24年8月期 2245億円 148億円 81億円 24.5倍 2.2倍 2692億円
サイゼリヤ・25年8月期予想 2536億円 166億円 103億円
すかいらーくHD・23年12月期 3548億円 116億円 47億円 39.1倍 3.0倍 5091億円
ジョイフル・24年6月期 659億円 39億円 33億円 11.9倍 2.7倍 342億円

※株価は株主総会の前営業日終値を使用。PERは予想、PBRは実績

 地域別にみると、売上最大は国内ですが、国内の営業利益率は約2%。10%を超える営業利益率となっているアジア(8割超が中国)で利益を稼ぐ構造となっています。

 客単価は国内が822円(前年比3.3%増)、海外が875円(同2.9%増)と、ここ2年は海外の方が高くなっています。ただ、インフレの影響からか増加率は国内の方が2024年は高いです。

 国内では出店地域を広げているサイゼリヤ。2024年は徳島県と愛媛県に出店したことで、未出店地域は6県のみとなりました(12月に大分県出店予定)。

 ただ、店舗数をみると、実は国内は3年連続で減っていて、特に東京都など都心部で大きく減らしています。海外は485店(2023年)→531店(2024年)と大きく増やしているので、海外シフトが明確ですね。

 ただ、海外ではその中心となっている中国に暗雲が立ち込めていて、上海や広州では直近で既存店売上高が大きく前年を下回っているんですよね。中国の景気が悪くなっているという話もあるので、その影響かもしれません。

 

 サイゼリヤが今、何を目指しているかは決算説明会資料の最後の「今後の取り組み」というページをみると分かります。特定の年度だけでなく、毎年の推移をみていくと、考え方の変化も見えてきて面白いです。

 前年と比較すると、特に海外に関して「新拠点や新規国も含めた出店戦略」と前向きになっていることが分かります。具体的にはベトナムへの進出を進めていて、9月に現地法人を設立しました。

ここ一年の主な動き

2024年7月10日 株主優待制度の廃止に関するお知らせ

7月26日 サイゼリヤを毎日食べている正垣泰彦会長が「ミラノ風ドリアはなんてまずいんだ」と文句を隠さないワケ(プレジデントオンライン)

8月20日 サイゼリヤ、ベトナムに進出 9月に現地法人設立(日本経済新聞)

10月 徳島県初出店

10月9日 新工場建設に関するお知らせ

10月16日 当社におけるランサムウェア被害に伴う サービスの一部停止と情報漏えいに関するお知らせ

11月 愛媛県初出店

12月 大分県初出店(予定)

手元資金(ネットキャッシュ)の推移

 コロナで減少していた手元資金も、そこそこ回復してきました

- 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期
営業CF +218億円 +207億円 +241億円
投資CF -24億円 -59億円 -88億円
財務CF -164億円 -81億円 -148億円
- 2022年8月末 2023年8月末 2024年8月末
現預金 602億円 678億円 719億円
有利子負債 425億円 405億円 135億円
ネットキャッシュ 177億円 273億円 584億円

議案

(1)剰余金の処分→期末配当を1株につき25円に

(2)取締役(監査等委員である取締役を除く)3名選任

(2)監査等委員である取締役4名選任

前年株主総会 今回候補者
正垣泰彦 正垣泰彦(創業者、代表取締役会長)
松谷秀治 松谷秀治(代表取締役社長)
長岡伸 長岡伸(海外事業本部長)
▼中嶋靖雄(元内部監査室長) △益岡伸之(理事業務監査室長)
【社外】松田道春 【社外】松田道春(トーマツ出身)
【社外】荒川隆 【社外】荒川隆(食品産業センター理事長、元農林水産省農村振興局長)
【社外】江口真理恵 【社外】江口真理恵(弁護士)

株主総会のTwitter実況

  株主総会の様子は僕のTwitter(@michsuzu)で「#サイゼリヤ株主総会」のハッシュタグをつけてツイートしていたので、もろもろまとめておきます

 対処すべき課題については松谷議長が口頭で説明。

松谷:2024年8月期は海外が非常に好調で、国内も黒字化。創業以来最高の売上・利益を達成した。

 海外は中国が不動産不況を機に景気が悪い状況が続いている、業績がどうなるか心配されたが、不況でも営業は好調。もともとサイゼリヤは不況時に強いフォーマットで、日本でもバブル崩壊後の1991年から一気に伸びたという実績がある。逆に中国で不景気になったことで、人的な確保がしやすくなり、出店物件も増えて、成長への追い風になっている。中国本土以外も好調な状況。

 国内に関しては円安傾向が続いているので、粗利という意味では仕入れ原価の改善が進まない。ただ、客数・客単価の伸びが想定以上。売上が2024年8月期は前年同期比12~13%増で、ここ数カ月は30%増を超えている。

 当然、労務費やエネルギー費、物流費などの経費は上昇しているが、売上上昇で固定費部分が吸収されて、利益が出た。いよいよ成長が描けるステージに入ってきたかなと思っている。

 サイゼリヤは51年前に「食を通して暮らしを豊かにしていく」という考え方のもとに創業された会社。イタリア料理というおいしくて健康的な食事を、一部の特権階級だけでなく、普通の人たちに食べてもらいたいということで店舗を増やし続けてきた。

 2013年に国内1000店舗を達成したが、2024年8月期末で1038店舗と全然増えていない。再び成長に向かうため、フォーマットを転換して変えないといけないと考えていた。

 ここでいうフォーマットとは、どのような価格帯で、どのような品ぞろえを、どのような売り方をするかという業態類型の話だが、そういったものを変えないといけない。値下げして、より小商圏に変える必要があるとは考えていたが、実際は利益も出ていたので変えられなかった。

 2年ほど前に円安が進行、戦争や医療、気象などで仕入れ原価が上がり、さまざまな企業が「値上げしなければいけない」と追い込まれた時、我々は企業理念に沿った形で「値上げしない」と宣言した。実はそのことがフォーマットを変えるきっかけになったと思っている。

 当然、利益は出なかったので、売り方を変えないといけないということで、商品を絞り込んだり、セルフレジ、テーブルトップオーダーを導入して、2024年8月期は利益が出る状態まで改善してきた。

 社会貢献の重要指標は客数。既存店の客数は増え続けているので、今後成長していくための下地は整ってきたのでは。2024年8月期末の店舗数は国内外合わせて1500店超、客数は年間2億6000万人を超えた。ここからは成長に向かっていける。未来に向けた長期ビジョンとしては、国内2000店、海外8000店を目指していく。

 2025年8月期は、海外は成長戦略を実行に移す期としている。海外事業全体で出退店合わせて100店以上の純増を目標に出店政策を進めている。新規国としてベトナムを選んで、ホーチミンへの出店準備を進めている。さらに成長を向けたインフラとして広州に敷地面積1万2000平方メートルの大型工場を建設中。1000店舗規模の対応能力を持った工場として、2026年8月期の稼働開始を計画している。

 国内は客数・客単価が伸び、店舗での生産性も上がっている。ただ、利益がまだ少ない。そこを変えないといけないので、出店・成長戦略は2026年8月期から進めていく。2026年8月期から本格的に出店戦略するために、2025年8月期はより小商圏のモデルとしてのビジネスモデルをきちんと完成させないといけない。

 一番大事なのは商品政策、3月に正垣泰彦会長が書いた『サイゼリヤの法則』という本が出版された。冒頭、「サイゼリヤの料理はまずくて高い」というところから始まる。もちろんこれは現状に満足せず、おごらないためということで書いているのだが、健康的でどこよりも安いというサイゼリアの独自性を作っていく必要があると考えている。

 「売るために安くしてるんじゃないか」とよく思われているかもしれないが、一品一品を安くすることで組み合わせて食べる、そういう暮らしの中で楽しめることを目的にしている。実際、客単価も伸び続けていて、客数や利用用途も広がり続けている。

 サイゼリヤのビジネスモデルは、世界中の最適地から原材料を仕入れ、工場で加工し、店舗へ配送し、店舗で最終調理をして提供する、いわゆる製造直販。そのビジネスモデルを完成させないといけない。

 今後、利益を増やしてくためには、作業を改善していかないといけない。テーブルトップオーダーはまだ400店舗にしか入っていないので、さらに広げる。工場や物流を含めて、作業を改善するバリューチェーンの仕組み作りを行うのが一番大事。

 そのための将来措置として、岐阜に敷地面積2万7000平方メートルの工場用地を取得した。2027年8月期稼働予定で、現在建築を進めている。

 これからさらなる多店舗化を進めて、店舗間の距離を縮めていく方針。このことは当然、流通の効率化にもつながる。

 成長戦略をとっていく上では、多店舗をマネジメントする組織が必要。2024年8月期は5人のゾーンマネジャーがマネジメントしていたが、2025年8月期は全体を7つのゾーンに分けてより密度の高いマネジメントをしていく。

 マネジメントの主体は人なので、人材教育が一番大事。現場の作業教育では、専門職としてインストラクターを組織化した。知識教育の方は、プログラムをきっちり作り、人材教育への投資を積極的に行っていく。

 成長へ向けて、正社員を2025年8月期は200人、2026年8月期は220人以上の採用を計画している。

Q(すずき)ここ一年ほど、メニューのクオリティが低下しているという声がSNSなどで目立つようになっている。客数は伸びてはいるが、クオリティチェックをどのように行っているのか。また、物価高騰下でもクオリティを維持するために、値上げについてどう考えているか

松谷:こちらから一方的に自信があるとは言えないが、中身は変えている。売れているものの品質を上げることは一番大事だと思っている。原価が上がってるので、「値上げをしないなら品質を落とす」と普通考えると思うが、逆に上げている。

 その分、メニュー数が減っていると指摘されている部分はある。売れていなくても我々が「これは入れないと」という商品は入れているが、お客さまにとって重複する商品は外して、品種の数は減らさない。品種を減らすと、組み合わせができないから。組み合わせができるような形で、品種は減らさずに、品目の中で今売れているものをさらにおいしくする。

 よくネットで、品目が減ったとか、商品がなくなったとは確かに言われます。その声も聞きつつ、データをみながら、商品をより良く変えられるようにということで、品質にはこだわっているつもりです。

 物価高ですが、原価率を高くかけると、やっぱり良い商品はできます。だから、粗利益率は減っています。粗利を守ろうとすると、なかなか良いものはできない。

 一般的な外食業だと粗利益率は60~70%ないと営業できない。一方、小売は20~30%の粗利益率で利益が出る。どこが違うかというと、小売は加工しないで、出てきたものをそのまま並べられるから。外食業は店舗で加工して、オーダーをとって、加工して調理した料理を持って行って、会計してといういろんな作業が入る。

 その作業を減らすことで、粗利益率がある程度低くても成り立つという考え方でやってきた。実際は作業が楽になることで、売上がどんどん上がるんですね。もちろん商品の品質も大事なので、品質を上げた。作業体制を変えて利益が出る体制が見えてきたので、対応できると考えている。

Q 株主優待券が廃止になるという記事を今夏みた。食事の優待券は復活する予定はあるのか

松谷:いろいろご意見をいただいている。貴重な意見として持ち帰って検討する。

 ただ、もともと自分たちは株価を上げて、配当を増やすところが一番本筋だろうと思っている。今まで、配当を全然上げていなかったので。株価を上げることと配当を上げることに集中していこうという考え方。

 エブリデイロープライスでポイント制度もないので、セルフレジで株主優待券の対処ができるよう、お金もかけていない。株主さまからお預かりしたお金をそこに使うことより、利益を上げて、配当を増やした方がいいんじゃないかということで決めた。

 一応は持ち帰って検討させていただく。

Q 配当金目当ての人もいると思うが、私のように配当より食事券の方がいいと思う株主もいると忘れないでいただければ

松谷:本当にそうだと思います。検討させていただきます。

Q 物価高騰下、経営改善で利益を出せるのは凄い。ただ、米価格上昇などで、さらに原価は上がりそう。東洋経済の記事で「日本では賃金が上がってないので値上げしてない」と答えていたが、「賃金が上がれば値上げする」とも読める。値上げ要因となるトリガーはあるのか

松谷:ビジネスを行っているので、赤字でいいということはありえない。値上げしないとは言いたくない。生活している人がこの価格でこういうおいしいものが食べられるということが大事。今、給料が上がってきたとみなさん言いますが、本当に暮らしは楽になっているかというと、自分は思わない。

 自分たちが暮らしを豊かにするために、そこは何とかできるんじゃないか。そこに努力の余地があると思っています。もちろん、みなさんの給料が上がっていくなら、それに見合った形で値段をつけていけばいいと思う。

 今までの慣習に流されないことが大事で、いったん値上げをしてしまうと楽に解決してしまう。意地で上げないわけではない、赤字になるなら当然上げないといけない。ただ、今、自分たちは「これで成長路線に乗れるんじゃないか」と思っている。

Q 石川県に出店しているが、一昨日、震度5弱の地震があった。能登地震の支援はどうなっているか聞きたい

松谷:石川だけでなく、いろんなところで災害が起きている。我々がやれることは限られていて、出している店でいかに営業を続けて、食事の場をいつものようにしていくかということ。営業を継続しながら、そこにいる人たちにおいしいものを提供することしか自分たちの力ではできないと思っている

Q せっかく正垣会長がいらっしゃるので、サイゼリヤをどうしていきたいのかを会長の口から聞きたい

正垣:周りがどんどん値上げする中、どうしてサイゼリヤは値上げしないのか。日本は商社や問屋がすごく多くて、そこはすごい利益が出ている。

 だからサイゼリヤは商社や問屋を通さない。もとから計画的に所有権を持って、無駄をなくしながら持ってくると、粗利は15~20%増える。自分のところで計画的に仕入れることができれば、それは簡単なんです。

 そうするためには人材とお金が大事。サイゼリヤを60年ほどやってきたが、何を一番やったかというと人材とお金の蓄積。やっとチェーンストアで、世界中に出ていく土台ができたところ。サイゼリヤは必ず伸びる。

 資産と人材の蓄積のために株式を上場したが、今からが第2弾。これからすごい勢いで伸びていく。安心してください。

 それから「おいしい」という定義が違う。フランス料理が悪いわけではないが、コテコテしたものが入っている料理は毎日食べられない。毎日食べる料理は空気みたいなもので、体に良くて、嫌みがない。それを出すと、みんな「まずい」と言う。

 サイゼリヤの場合は、一番大事なのは油。サイゼリヤのオリーブオイルは最高のものを使っている。チーズでも。嫌味もないしクセもない。信じてもらいたいのは、どこよりも安く本物を使っている。

 だから必ずお客さんも増えていく。どこをもって社会貢献というかというと客数だが、前年比30%増で伸びている。もちろん忙しくなっているので、作業のシステムが大変なことになっているが。人もいないので、品質の違うものが出て迷惑をかけているのを、いかに直していくか。店でできないことを工場でやろうとしている。

 サイゼリヤ以外に世界中に安くておいしい料理を出せるチェーンはひとつもない。だから今度、海外をやっていくんです。

Q 海外で8000店舗という話があったが、今後どういう風に目指していくのか。中国の経済状況が悪くなっているが、本当に大丈夫なのか。

長岡伸:海外事業本部長の長岡です。いずれそうなるだろうと考えてるが、現実的には10年後に3000店舗という絵を描いている。

 日本の資料だけをみていると、海外は値上げと言われるが、円安に振れている関係でそう見えて、ほぼ値上げしていない。5年で2~3%くらい、高いところで5%くらい値上がりしている程度。物価上昇率が年10%を超える国もある中、比較論では値下げしているに等しい

 現実としては、海外は500店舗を超えたところ。過去1年間に50店舗オープンして、計画としては1年で100店舗超の出店を計画している。

 どうやって出店するかというと、今、出店には追い風が吹いている。海外はだいたい5年間の店舗契約だが、「出ないでくれ」と言われている。非常に良い条件で契約更新できている。そういうところを生かして出店していく。

 どこにどういう風に出店していくかは一生懸命やっている。次に出るところはここと、中国とそれ以外の東アジアで分けて考えている。

 東アジアに関しては可能性がある国を全部回って、中国もこの都市だったら出店できるよねという街を全部回って、計画的にも3~5年後を考えている。横の会長から「いずれはヨーロッパ」という声もありましたが、考えていないわけではないが、グローバルにどういう戦略で売っていった方がいいかを考えている。

 最後に2つ。海外人材は今までその地域、その店だけで活躍してもらうことが多かったが、上海で20年、それ以外でも10年以上経験して、それなりに現地社員も増えているので、新しい地域での出店や業務もやろうとしている。ここ2~3年のうちに、ある程度の役職の人間が現地社員で構成される日も来るのでは。

 海外の商品は日本のサイゼリヤに比べるとまだまだ。会長的に言わせると、「日本よりまずい」と思っている。今までは「ちょうどいい価格」で成功してきたが、商品はこれからだと考えているので、海外のスタッフを全部集めて、中国やイタリアを回って、我々はどういう原料を集められるのかといったことをやっている。

 5~6年前は直輸入をやっていなかったが、今は台湾を除き、自社で輸入している。台湾もおそらく1年以内に始める。グループ全体でどこからどういう風に買うというグローバルな活動を始めつつあるので、これから商品を良くすることで、事業拡大ができるのでは。

 全然簡単ではないが、8000店舗はともかく、10年後の3000店舗の青写真はそれなりにできている。

Q 海外からの仕入れ。円安の影響はどのようにあって、どう対策しているか

松谷:輸入品はやっぱり高いですね。為替の問題で仕方ないと思っているが、今、戦争などで原材料自体が入ってこないところもある。

 だから、今使っている原材料に限らず、ソーシング(日本国内に限らず、世界中の産地や製造現場、加工現場などを調査して、新しい商品の調達先を探す活動のこと)が一番大事。特定のメーカーやベンダーだけを使って安くすることはたぶん無理だと思う。

 為替が良くなることを期待しても分からないので、ソーシングを開発していくことが一番。

 そのために商品部の組織も変えた。今までは1人の商品部長だけが責任を持ちながら、各担当がいろんなものを探してくる形だったが、担当品目を絞ったマーチャンダイザーが世界中から探してくる体制を整えている。ただ、すぐには成果につながらない。今年中に新しいものを新しいベンダーから仕入れられる形を作っているところ。

正垣:サイゼリヤは中国にも豪州にもある。これから海外にも進出していくと、自動的に為替ヘッジができるようになる。円安になったら日本で利益が出なくなっても、海外で出ると考えている

Q 正垣会長がウクライナ情勢に関心があると経済紙で読んだ。私はウクライナの支援団体をしているが、公的な支援が滞る懸念がある。避難民への就労の道を開いてほしい。この場にふさわしくないかもしれないのであえて回答は求めない

松谷:貴重なご意見ありがとうございます

Q デザートは食事で最後に食べるもので、前の料理がどうだったとしても帳消しになってしまうほど重要。サイゼリヤのデザートはおいしいが、メニューをみると全部茶色。もう少し、季節メニューとかあってもいいのでは。デザートは別腹ともいうので、客単価も上がるのでは

松谷:その通りだと思います。デザートが変わらないですね。流行りを追う必要はないが、自分たちはイタリアまで行って、おいしいものを知っているのですが、入れられていないんですよ。だから、デザートは必ず変えます。食事の最後のデザートがおいしいかおいしくないかで、感想は分かれてしまう。一番力を入れないといけないと思っていて、進めている。絶対にやるので、ぜひ期待してほしい

Q 質問というより応援。学生時代からサイゼリヤを利用している。学生はお金を持っていないのでありがたい。お話を聞いていて、すごく努力されている。感激した。店では学生が多いが、老人組が少ないので、呼び寄せてほしい。応援のために参りました。サクラではございません

松谷:これから高齢化社会になっていくわけですが、年配の方々は一番価値を知っています。その人たちが、何かを買って家で食べるという形もあるが、いろんな人がいる中で1000円もかからないで食事できるという楽しみを、ぜひとも続けていきたい。これからも精進したい

 現在、教育記念館となっているサイゼリヤ1号店は本八幡の再開発エリアに入っていて、今後どうなるかサイゼリヤマニア(?)の間で話題になっています

 そこで、株主総会の時間外にスタッフさんに聞いてみました。「今は1号店はサイゼリヤの物件ではないのでどうなるかは分からないが、再開発後の新施設の中にサイゼリヤの店舗と一緒に教育記念館も入ってくれないかと、不動産会社が打診しているらしい」とのことだそうです