スズキオンライン

なにか役立つことを書きたいです

サイバーエージェント株主総会2020レポ|藤田晋社長「2021年以降はABEMAの市場を海外に広げていくのが一番重要な命題。いつまでも日本国内だけで競争してるわけにはいかない」

 こんにちは、すずきです。

 12月11日13時から株式会社サイバーエージェントの株主総会が行われました。ネット広告代理店として成長してきましたが、近年はスマホゲームやABEMAの運営としても知名度を上げています。

直近経営資料 2020年9月期決算説明会資料CyberAgent Way 2019(統合報告書)
株主総会資料 定時株主総会招集通知
前回株主総会 サイバーエージェント株主総会2019レポ|「『ウマ娘 プリティーダービー』は今(事業)年度中リリースを目指して鋭意開発中。退社した石原プロデューサーに代わり、木村唯人が取締役として関わっており、専任Pも任命している」

 業績は増収増益。来期も増収見込みですが、営業利益は減益寄りの予想

f:id:michsuzuki:20201206061312j:plain

 サイバーエージェントが取り組む事業は「インターネット広告」「ゲーム」「メディア」の大きく3つ。

 主力のインターネット広告事業はコロナ下で苦戦はしているものの、増収増益を確保。四半期ベースでみると、第2四半期(1~3月)までの貯金が大きく、第3四半期(4~6月)が売上横ばいで減益、第4四半期(7~9月)が増収減益。

 先行き不透明な中、ここをいつ増益基調に戻せるかが、サイバーエージェントだけでなく、ネット広告業界全体の行方を占う上でも注目されます。

f:id:michsuzuki:20201206071531j:plain

f:id:michsuzuki:20201206071621j:plain

 電通の「日本の広告費」によると、2019年にネット広告の規模がテレビ広告を超えています。サイバーエージェントの時価総額が一時、電通を超えるなど、ネット広告業界にとってはひとつの到達点に達した一年と言えるかもしれません。

 ゲーム事業は巣ごもりの恩恵も受けて、増収増益。

 タイトル別では2014年度作品のグラブル、2018年度作品のプリコネが大きく貢献しています。新作の『この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズ』『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』も好調なようです。

f:id:michsuzuki:20201206072347j:plain

 ちなみに第1四半期資料では、好調な新作として『ワールドフリッパー』『ブレイドエクスロード』が挙げられていたのですが、調整ミスで大失速したからか、通期資料では存在が消されていました。

f:id:michsuzuki:20201206072845j:plain

 今後の新作で注目されるのはやはり『ウマ娘 プリティーダービー』。通期決算資料で「2020年提供予定」と書いてあるのですが、もう12月も半ば。

f:id:michsuzuki:20201206074001j:plain

 TOKYO MXなどでのアニメ再放送の最終回が12月27日で、「ぱかライブTV」Vol.2を12月に予定していることから、「その付近で何か動きがあるんじゃないかな」と個人的には予想しています。

 売上規模は最小ですが、現在の最重点項目となっているのがメディア事業。藤田晋社長自らがAbemaTV社長として指揮をとっています。その甲斐あってか、週間アクティブユーザーは増加基調。

f:id:michsuzuki:20201206080004j:plain

 一方、業績は増収減益で、年間180億円の赤字は改善していません。ただ、今期は特に第4四半期が売り上げが大きく伸びています。

f:id:michsuzuki:20201206075730j:plain

 売上増加の大きな要因となったのがペイパービュー。

f:id:michsuzuki:20201206080310j:plain

 iPhoneの9月セールスランキング推移を見ると、9月19~26日のLDH祭りに合わせて、ABEMAがランキングを上げているのが分かるでしょう。

 ただ、ペイパービューに加えて、月額課金のABEMAプレミアムも伸びているのに、先行投資がかさんでいることから赤字が減らないんですよね。「無理に黒字にしようとしていない」とは言えるのですが、先行投資の影響がなくなったらどうなるのか気になるところです。

f:id:michsuzuki:20201206081110j:plain

ここ一年の主な動き

2019年11月27日 スマホゲーム『ワールドフリッパー』配信開始

2020年1月14日 タレントYouTubeチャンネルの企画・開発支援サービスを開始

1月29日 プロレスリング・ノアがサイバーエージェントグループ入り

2月27日 スマホゲーム『この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズ』配信開始

春 テレビ朝日×AbemaTV初の共同制作ドラマ『M 愛すべき人がいて』をAbemaTVで独占配信

5月27日 テラスハウスでの木村花さんの訃報を受けて、「ABEMA」が番組出演者向けに誹謗中傷等インターネット上の被害に関する相談窓口を設置

6月5日 ABEMAが有料オンラインライブ「PayPerView」機能をリリース

6月15日 LDH JAPANとの合弁会社CyberLDHを設立

7月27日 プロレス事業会社CyberFightを設立

9月30日 スマホゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』配信開始

議案

(1)剰余金処分→期末配当金を1株につき34円に

(2)取締役5名選任→監督と執行を区分するため、取締役を大幅減員

前年株主総会 今回候補者
藤田晋 藤田晋(創業者、代表取締役社長)
日高裕介 日高裕介(共同創業者)
岡本保朗(ネット広告) 中山豪(全社機能管轄)
中山豪 中山恒一(社外、元リクルート副社長)
小池政秀(AbemaTV) 高岡浩三(社外、元ネスレ日本CEO)
山内隆裕(CyberZ社長)  
浮田光樹(アプリボット社長)  
曽山哲人(人事)  
内藤貴仁(広告技術・デザイン)  
長瀬慶重(AbemaTV開発)  
山田陸(AbemaTV広告)  
中山恒一  

 今回、大きく役員体制が変わるので、創業以来の取締役メンバーの変遷を動画でまとめてみました。

 役員体制を大きく変更するのは、昨年の株主総会で議決権行使助言業者が外部取締役比率の低さから、藤田晋社長選任の反対推奨をし、その結果、賛成比率が57.56%と非常に低くなったことを受けてのこと。

f:id:michsuzuki:20201206081754j:plain

 ちなみに、現社内取締役TwitterのFF関係は以下の通り(相互は赤線)。みんな基本的に相互フォローなのですが、一部つながっていないところがありますね。

 日高裕介さんは最終ツイートが2012年ということもあり、片思われが多め。最年少役員の山田陸さんは片思いが多めで、役員内での立場の低さを感じます。藤田晋社長は唯一、山田陸さんだけ未フォローなので、フォロー返してあげるといいのでは。

f:id:michsuzuki:20201206052017j:plain

(3)ストックオプションとして新株予約権を発行→内部取締役3名(予定)を対象に、25万3000株上限。行使期間は割当日の4年後からの6年間。権利行使時にサイバーエージェントに勤めていることが条件

株主総会の実況解説配信

 サイバーエージェントでは新型コロナ拡大を受けて、来場自粛のお願いと、ライブ配信実施を発表しています。

f:id:michsuzuki:20201210100431p:plain

 僕のTwitter(@michsuzu)で「#サイバーエージェント株主総会」のハッシュタグをつけてツイートしたので、ここでまとめておきます

 取締役会の構成を変えて、社外取締役の比率を高めたことが評価されてか、藤田晋社長選任議案の賛成率が昨年の57.56%から95.6%へと、大幅に改善しました

f:id:michsuzuki:20201215130606p:plain